第5日目

サマータイム初日

ニュージーランドでは今日の午前二時から時計を一時間繰り上げるからサマータイム(ニュージーランドでは "Daylight Saving Time" といいサマータイムとは言わない)が始まるため、昨夜のうちに部屋の時計や自分の時計、目覚ましなども昨夜のうちに一時間進めておいた。ホテルからも注意書きが各部屋に入れられていた。だから、昨日はベッドに入る時刻も一時間それまでより早くなったことになる。

目を覚まして窓の外を見ると、今日も空はどんより曇っていて今にも降り出しそうだ。おい、おい、滞在中ずっと雨は勘弁してくれよ、と祈るような気持ちになる。

ハワイの時と違って、クィーンズタウンでもオークランドでも実にぐっすりと良く眠れる。この時期のニュージーランドは、着ているものによっては、深夜には室内でもちょっと暖房が必要になる程度という気候が影響しているのかもしれないが、昼間は一日中歩き回っていてくたびれているというのが正解だろう。特に家族旅行と違って自分のペースでガンガン歩くから、一日かなりの距離を歩いているはずだから疲れているのだろう。

目覚ましが鳴ったのは7時半だが、ベッドから抜け出したのはやはり8時前。昨夜はペストリーが近くに売っていなくて、買っておいたジュースだけを飲んで出かける。まだ雨は降ってこないようで助かった。曇っていても雨が降らなければラッキーだと思うしかない。

オークランド・エキスプローラー

クィーンエリザベス・スクェア(QE2スクェア)のところにあるダウンタウン・ショッピングセンターに隣接した海寄りのハーバービルで、「オークランドエキスプローラー」のチケット販売中という看板を見つけたあ。「オークランドエキスプローラー」とはユナイテッド航空が運行する観光バスみたいなもので、市内14箇所の観光ポイントを順に止まってゆき、一周するのに一時間かかり、夏は30分置きに出ている。これを利用してどこかに行ってみようというわけだ。

料金は一日パスがNZ$25、二日間パスがNZ$40とこちらの物価水準としてはかなり高い。どちらにしようか迷うが、明日も必ずどこかに出かけるであろうから、清水の舞台から飛び降りたつもりでNZ$40を支払って "2DAYS PASS" を購入した。そこで乗り場を教えてもらうが、まだバスがくるまで10分ちょっとあるので、ハーバーサイドというフェリー乗り場の建物の中をしばしうろうろ...するほどでのもなでもなく、あきらめてバス停に行って待っている。

パンフレットではダブルデッカーのバスが来るはずだが、どういうわけかチンケなマイクロバスに毛が生えたようなものがやってきた。「AUCKLAND EXPLORER」というステッカーが貼ってあるので、運転手に確認したところ間違いないという。せっかくダブルデッカーに乗りたかったのに...。

乗客は私一人だけで、運転手にダブルデッカーじゃない理由を尋ねてみると、米同時テロ以来、横っ腹にでっかく「UNITED AIRLINE」という文字とロゴマークがでかでかと書かれたいかにも「アメリカでござい」とPRしているバスを、当局が暫定的に禁止したのだそうで、その結果「UNITED AIRLINE」の広告が横っ腹にあるバスは走れなくなったのだそうだ。ニュージーランドはテロに対して平静だと思っていたが、さすがに「いかにもアメリカ!」というやつは警戒しているようだ。そのわりに、随所にニュージーランド国旗とならんで、星条旗を見かけるのはなぜ?

一人なのでテープによる観光案内に加えて運転手の生の解説が加わり、こちらからもいろいろ尋ねたりしてまるで貸切気分だ。

オークランド博物館

バスに乗ったのは10時だったが、走ることおよそ30分でオークランド博物館についた。ネイティブハワイアンとニュージーランド先住民のマオリとは、祖先を共通にしており、その言語もさかのぼると同じ祖先となっている。ハワイのホノルルにあるビショップ博物館のニュージーランド版ともいえるのがこのオークランド博物館だ。

展示内容は古代マオリの文化の紹介を主に、ニュージーランドの自然、第二次大戦のニュージーランドまで幅広く展示されている。ここで私が驚いたのは、に第二次大戦中のの英国の戦闘機であるスピットファイアーと日本の零戦(よくゼロ戦というが正しくは零式艦上戦闘機であり、ゼロ戦というのはアメリカがゼロファイターと呼んでいたところから来たのであろう))の実機が展示されている。このゼロ戦については博物館内でおそらく唯一日本語の解説が併記されている。多くの博物館は撮影禁止のところが多いが、ここは商用目的は許可が必要だが、個人での非商用撮影に限っては三脚を使わないことを条件に事前の許可無くできる。

ハワイでビショップ博物館に興味をもった人は、オークランドに来ることがあれば、ぜひともオークランド博物館を訪ねて欲しい。市内中心部からは私がのった「オークランドエキスプローラー」か「リンクバス」が通っている。ちなみに、この大きな博物館は「オークランド・ドメイン」という巨大な公園の一角にある。

ビクトリア・パーク・マーケット

博物館を出ると天気は一転して雲は残っているけど快晴といってよい天気になっていた。再び「オークランドエキスプローラー」に乗ったのが12時丁度。次の目的地は市の中心部であるダウンタウンを挟んでオークランドドメインとは反対側にあるビクトリア・パークの傍の、ビクトリア・パーク・マーケットだ。マーケットといってもスーパーではなく市場であり、いろいろな店がレンガ造りの元清掃工場を改装した中に立ち並ぶので、なかなか面白い。大して安くないものも多いが良く探せば掘り出し物があるかもしれない。どちらかといえば「のみの市」的なところである。

ぼちぼちお腹がすいたので、ここでラムのケバブとダイエットコークを頼む。ケバブは結構サイズがでかくて(くるくると丸めた状態でおそらく直径は7〜8cm、長さは25cmくらいあるだろうか。ラムのケバブがNZ$6.00、ダイエットコークがNZ$2.20だった。味はちょっとソースの酸味がきつい気がするけど悪くはない。まあ、日本円換算300円なら立派なものだ。どこぞのハンバーガーよりよほど栄養のバランスもとれていて味も良いではないの。一見小さく見えたが食べ終わる頃にはお腹いっぱいになってしまった。

余談になるが、このように何でも円換算して評価するのは大きな間違いの元である。経済状態もかなり違う他の国と比較してもそれは比較ではない。あくまで、その国の中で高いか、安いかを問うべきであろう。そういう意味ではNZ$6.00というのは、内容を考えると適切であろう。

ニュー・ワールド(スーパーマーケット)

結局、今日のところはここでは何も買わなかった。昨夜のうちに「ロンリープラネット」の「オークランド」で調べた情報によると、この近くに「NEW WORLD」という大きなスーパーがあるらしいというので、マーケットから出てしばらく通りの左右を見てみた。すると「NEW」というロゴの入ったプラスチック袋を下げてゆく人が時々いるので、その人たちが歩いてきた方にしばらく歩いてみると、マーケットから三分ほどあるいたところ、高速道路(モーターウェイ)のガードをくぐった先にあった。私はスーパーとB級グルメに関しては鼻が効くのである。

規模はマウイ島ラナイナのフードランドとほぼ同じくらいだろうか。ただ雰囲気は全然違ってこちらのほうがずっと明るく近代的。フルーツと野菜の種類もハワイの同規模スーパーより断然多いし、私が気づいた最大の違いは、魚の切り身というか1/2から1/4身が、かなり新鮮な状態で売っていることだ。ハワイは海に囲まれているくせに、魚といったらろくなものがない。日本人からみるとどうにもならないものしかないが、それでもメインランドの大抵のところよりはマシらしい。しかし、どうもニュージーランドは違うみたいで、この「NEW WORLD」は結構いいものが売っている。と、いっても、ここで魚を買っても仕方ないので、お土産のお菓子類や雑貨少々を買い求め、一旦ホテルまで帰ることにした。

ここからニュープレジデント・ホテルまでは、ガイドブックの地図上では1km〜1.5kmくらいで、歩くと15分くらいだろうと思って、バスは使わずビクトリアストリートをまっすぐ歩いたが、やはりクィーン・ストリートにつきあたるまでほぼその程度であった。

部屋で買ったものを片付けていると時刻は15時前になった。今日は日曜日でダウンタウン(市内中心部)の店は片っ端から休みか、午後の2時とか3時には閉店してしまっており、まるで正月元旦の銀座みたいなものだ。このままだとまたしても晩飯難民になりかねない。そこで今日もIMAXシアターのフードコートにすることにした。

スカイタワー

そのまえに行くところがある。それはスカイタワーで、オークランドのシンボルともなっている高さ328m(東京タワーには5m及ばない)のタワーは、三段階にわけて工事が行われ最終的に管制したのは1997年だ。展望フロアにはカナダのトロントのCNタワーや東京タワー同様、一部の床がガラス張りになっており、地上300m近い高さから素通しで足元が見えるというものだ。

入場料はNZ$15と高く、さらにアッパーデッキ(上層展望デッキ)に行くにはNZ$3.00追加が必要になるというところなどは、東京タワーと同じ。しかし、東京タワーと大きく違うのはその眺めだ。ほぼ同じ高さから眺めても東京タワーからは、東京の空気が汚れていて遠くは見えないが、ここではかなり遠くまで見通せる。見通せないとしたらそれは大気汚染のためではなく、単に天候が悪いだけである。

ここから、さきほど行ってきたオークランド・ドメインやオークランド博物館も手にとるように見える。ためしにNZ$3.00追加してアッパーデッキに行ってみると、その眺めはさらに良くなり、オークランド市内では最も高いところから見下ろしていることになる。このあと普通の展望デッキに下りてみると、階数にして10階くらいの差にすぎないが、眺めた感じはかなり異なることがわかった。入場料は安くないが、一見の価値はある。

ミッドタウン・ミニ・スーパーマーケット

スカイタワーからおりても、まだ食事には早いので、クィーン・ストリートを昨日同様うろうろしてると、もうひとつロンリープラネットにあったミニスーパーを見つけた。クィーン・ストリートとビクトリア・ストリートの交差点をQE2スクェアに向かって左側の歩道を歩くと、最初にダーハムストリートがクィーン・ストリートにぶつかるので、そこで左をみると看板が出ているのが「ミッドタウン・ミニ・スーパーマーケット」だ。

とりあえず値段と種類を問わなければ一通り揃う。「ロンリープラネット」ではクィーン・ストリート沿いにDEKAというマーケットがあることになっているが、すでに撤退して空家になっているので要注意だ。

クィーン・ストリートとビクトリアストリートの交差点のすぐ傍に、"FROEMDS M<ART"という小さコンビニエンスストアがある。歩道にある看板を見ると、これが東京でも良く見かけるコンビニエンスストアと同じ系統のデザインであり、正直なところかなり驚いた。(左上写真)

驚いているばかりでは能がないが、オークランド市内を走るステージコーチというバスのチケットがこの店で買えるのである。ステージコーチはその名前の通り区間(ステージ)間で料金が決まるバス(コーチ)であり、均一料金制ではなく、料金はNZ$0.50〜NZ$7.90だ。いちいち現金で支払うの面倒であろうから、そういう場合には "DAY PASS"(一日券)がある。

一日パスには、一人用(NZ$8.00)と四人までのグループ用(NZ$16.00、ただし午前9時以前は使えない)、三日間の一人用(NZ$19.00)がある。ほかにもショッパーパスとよばれる平日の午前10時から午後2時までの間だけ使えるパスがあり、こちらは通常料金はNZ$5.00である。このチケットは、いくつかのスター・マートや上の写真の "FRIENDS MART" で買えるのである。

KATHMANDU

そのあと、クィーン・ストリート沿いのアウトドア衣料ショップの「KATHMANDU」でシーズン終了で50%オフになっていた厚手の裏地付きフリースを購入。

安くなっていないものも多いのだが、まっさきに50%OFFの赤札のところを探していたら、店員が「何をお探しでしょうか」というので、私が目をつけていたデザインのを引っ張り出して「これのミディアムサイズがほしいんだけど」というと、「それは大きいのしか残っていない」という。「メディアムは向こう側になります」と陳列ハンガーの反対側をさすので、そこをあさっていて見つけたのが、裏地付きでかなり物が良い厚手のフリースだ。

商品が決まったのでレジで支払いをして店を出てまもなく、店員がドアをロックし閉店作業を始めた。どうやら私は閉店間際に飛び込んだ客だったようだ。

ここはこれから夏になるけれど、日本はこれから冬なのである。しかし、丁度この時期は日本とニュージーランドの気温差は少なく体はらくだが、ここにいると日本もこれから暑くなる(夏が終わったばかりだというのに)と勘違いしてしまう。それほどまでに西欧文化圏の国の中では、雰囲気としては日本人には違和感が少ないところではないかと想像する。

ニュージーランド・ラム

そうこうするうちに五時半近くになったので、今日は昨日の塩辛い中華はやめて違う店にした。そこで「ローストラム」を頼んだ。ローストラムに、各種温野菜の付け合せがついて、中盛で9ドル、スプライトの小をつけてもジャスト10ドル(およそ500円)とは安い。

味はというと、ラムとそれに掛けられたソース(これは好みで掛けないこともできるがぜひ掛けるべきだ)が抜群で、ラムは天国の柔らかさ。日本人はラムのことをマトンごっちゃにしているケースが少なくないと思う。マトンはニュージーランドの人が臭いといって食用にはしないで輸出したりドッグフードにしたりするのであって、柔らかくて癖のないラムと同列にあつかうなどとんでもない話だ。

ラムはちゃんと料理すればとても柔らかいしクセもないし低脂肪な良い肉だ。実際、こんなフードコートで食べてもかなり美味しいと感じた。同じフードコートでもアメリカではめったにこんな美味しいものには出会えないから、ニュージーランド人の味覚は、まだ平均的アメリカ人のように麻痺してはいないようだ。つけあわせにしても、山ほどのフレンチフライオンリーともいってもよいアメリカに比べて、ここはゆでたジャガイモ、サツマイモ、にんじん、ブロッコリー、かぼちゃなど温野菜がたっぷりついてきてヘルシーだし、それも結構美味いのだ。

どうやら住むなら食に関してはアメリカよりニュージーランドのほうが、はるかにまともだといえるので、こちらのほうが良いのではないか。

(第5日目終了) 

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