第7日目

不幸は突如としてドアをノックする

ここ二日ほどは、旅日記を夜にまとめて書くのではなく、昼間のティータイムに書いたりしているので夜に書く分が少ない。したがって夜が暇になり早くベッドに入れるのだ。昨日なんぞは22時過ぎにベッドに入ったら、早すぎて眠れなかったのだが...。

いつもの通り7時半に起床。着替えてから、昨日買ったオレンジジュースとクロワッサンと備え付けの紅茶で朝食だ。テレビでマンガを見ながら(せめてニュースでも見ろ!って)クロワッサンを食べていたら、ガチンと歯にあたる物があった。うみゅみゅ、何か入っていた。異物なら文句を言ってやろうと思ってその堅い物を口から出してみた。

確かに堅い異物である。だが、それは予めクロワッサン内に存在していた異物ではなく、もともと筆者の口の中に固定されて存在していた物体だった。筆者は左下一番奥の歯にクラウンがかぶせてあるのだが、何とした運命のいたずらか、これが取れてしまったのである。歯がかけたりしたのではなくて良かった。が、しかし、何も旅先でとれることもあるまい。ヤオヨロズの神々よ、道祖陣よ、そこいらへんを漂う正体不明の神様・仏様よ、我を見捨てたもうかとか、大げさなことを考え出すのも、歯の詰め物が不意に取れたときの精神的特徴である。

気を取り直して、そのクラウンの内側を見ると薄い白と茶色でやわらかなものが詰まっている。ぐわ〜、内側がそんなにもぼろぼろになっていたのか、ショック! 神様、仏様、キリスト様、マリア様、 アラーの神よ、ギリシャ神話の神々よ! ああ、いや、ここはニュージーランドで仏様はきっと管轄外に違いない。ああ、神様、ついにそのときがやってきたのかと、「抜歯」の二文字が脳裏をよぎったが、良く見るとそれは租借されたクロワッサンのなれの果てであることがわかったので一安心。そこまで歯がぼろぼろになっていたら抜くしか無くなるからだ。大体、クラウンにつまったやわらかなくにゃくにゃの物体が、歯の慣れの果てか、クロワッサンの残骸か区別が付かないところからして、虚ろになった頭の中と動揺した精神状態を表しているといえる。

さて、歯ブラシでクラウンの内外を丁寧に洗ったら、やはりセメント(接着材)と金属性のクラウンの接着面が経年変化で外れたようだ。歯の方はセメントが残ったままになっているのは幸いでありこれがとらないようにしばらく左側で噛むのはやめよう。そもそも歯、セメント、金属性クラウンという三種の材料の特製からして、歯とセメントの親和性は極めて高いのだが、金属とセメントという間柄ではどうしても、歯とセメントの強力なパートナーには負けてしまう。従って歯の詰め物が外れたなんてのはよくある話で、筆者もこれが二度目だ。

筆者はチューインガムとかヌガーやキャラメルなどは嫌いで一切食べないのであるが、前回はロールケーキを食べているときに違う場所の詰め物が外れてしまった。そして今回はクロワッサンときたものだ。まあ、でも、外れたのが帰国前日の今日であったのは幸いだが、どうせならあと二日ほど持ってくれれば良かったのにとちょっぴり恨めしく思う。

歯の詰め物がとれるという小さな現象ではあるが、けっこう気持ちが落ち込む物だ。詰め物が取れた場合で噛むのに不便な場合などは、かかりつけの歯科医師は予約無しで優先的に見てくれるので、かえってから見てもらうしかあるまい。憂鬱。時間があくと詰め物は作り直しになるのが困るなぁ。それともまた削られるかなぁ。

気を取り直して…

憂鬱になっていてもしかたない。お土産物は昨日のうちにほとんど買った。前回のケアンズでは、箱物菓子などを沢山買ったので、えらくかさばり数も沢山あったが、今回は箱物は極力敬遠することにした。できるだけ小さく、あるいは薄く、軽くである。あとは知人でいつもちょっとしたお土産をもらっている人と妻にハチミツを買うくらいか。予備にチョコレートバーとキャンディーをもう少し買って置いても良さそうだ。このチョコというのがくせものでかなり重いのだ。筆者が買うのは綺麗な箱入りではなく、スーパーで売っている普通に市民が消費するものなので、極めて質実剛健で包装は薄く、中身は大きくなので、非常に密度が高いのだ。だから、大きさの割にかなり重い。

Stagecoach (市内バス)の1日チケットを買おう

さて、ここ二年ほど年賀状の写真は海外で撮ったその年の干支の動物の実写にしている。昨年はマウイの馬、今年はニュージーサンドの羊だった。来年は猿、再来年は酉なので、これをぜひ撮っておきたい。幸い買い物はほとんど済んでいるので、オークランド動物園に行くことにした。

行くことにしたのはいいけれど、さてどうやって行けばよいか。とりあえず行ってみるのはビジター・インフォメーションだ。IMAXシアター近くにあるので、まずはそこへ行ってみる。ここのはバス(Stagecoach)の路線図や時刻表がある。係員に尋ねると042,043,045のルートに乗ればよいという。該当ルートの路線図をもらって見ると、なるほどZOOと書いてある。バス乗り場は目の前だが、Customs St.とQueen St.交差点近くのFRIENDS MARTにStagecoachのチケットがあったはずだ、ということで行ってみると、存在はするがここでは扱っていないので、フェリービルのビジター・インフォメーションで尋ねると良いという。そこへ行くと、そこでは売っていないということで、今度はすぐ右手のチケットオフィスへ行けと言う。チケットオフィスの窓口で尋ねると、ようやくStagecoach/Linkの一日チケットAuckland Pass(NZD8.00)が買えた。

バスでオークランド動物園へ行こう

さて、これで今日は一日StagecoachとLinkは乗り放題。まずは、動物園ということで、近くのバス停から、たまたまやってきた043に乗る。乗ったのはよいが、初めて行くところでは下りる場所がわからない。自宅からプリントアウトしてきた地図(http://nzdaisuki.com/)、もらった路線図、窓から見える通りの名前や道路のカーブなどで現在位置の見当を付ける。

結果的には、良いタイミングで下りることができたのだが、読者の方には後者場所を知る有効な方法を授けてしんぜよう。まず、ビジター・インフォメーションでルート042/043/045が一つになった路線図を入手する。街中の交通量が多い所を過ぎると、モーターウェイ16(高速道路16号線)の上を道路は高架で通り過ぎる。その後道路はGreat North Rd.となり逆S字の緩やかなカーブを抜けて直線コースとなる。ここから右手に注意すべし。まずMOTATという白地に青の字の看板が見える。何かというと交通博物館だ(ここは次回行ってみようと思う)。続いて道路の右側に路面電車(tramという)の軌道と架線が見えてきたら合図の紐を引けばよい。 Auckland Passでない場合は多分2stagesでNZD2.40だと思う。バスを下りたら道路の向かい側のT字路に動物園の看板があるので、あとは案内にそって歩けばよい。

オークランド動物園

ワライカワセミ (Laughing Kookaburra)

この日は、まさにbeatiful dayで、外を歩くにはもってこいだ。動物園そのものは特筆すべきものはあまりないが、全体が入り組んでいて自分がどこにいるのかよくわからない。とりあえず来年の干支の猿と再来年の干支の酉は撮らねばということで、いろいろ歩き回る。結局、小さな猿やガラス越しのチンパンジー、ウンコをするチンパンジー、ダチョウやクジャクや思いきり太った鶏の一種などをカメラに納め、カフェでお昼をとる。

時は12時半。いきなり園内にサイレンが響きわたり、係員が、カフェの外側にいた客は私も含めて中に入れと言う。何が始まるのか、係員は客を中へ入れると、ドアと窓をすべて閉め切った。外にある食べ物は当然持って入れという。聞くところでは、動物が来るって....は?へ?なに?って感じで、英語は理解できるが、いったいなんのことだ?って感じ。結局、カフェの側は何も通らず平穏無事に再び客は解放された。いったいなんだったのかな。後で聞いてみようと思っていたのだが、結局聞くのを忘れてしまった。

筆者のお昼のメニューはパイナップルジュース(NZD3.00)とThe Lamb Stack(NZD11.95)だ。後者はラムのハンバーグステーキにパンと野菜とミントソースとフレンチフライだ。フレンチフライはあつあつで火傷しそうだった。ラムのハンバーグは、なるほどこういう味になるのか、というかハンバーグにするとラムの味が薄くなるのねぇ、って感じ。要するに良く焼いた普通のハンバーグに限りなく近い。

ガラパゴスゾウガメ (Galapagos Tortoise) 園内に放し飼いになっている孔雀
The Lamb Stack(NZD11.95) Stagecoachを降りてこのT字路を右に入ると動物園

このあと、園外へ出るためには必ず通らなければならない売店で、マグネットとキーチェーンを購入。来た方向を戻り反対側のバス停でバスを待つ。ここから市内に戻るには来るバスのどれに乗っても良いので楽賃。全部合わせると、数分おきにあるので便利だ。園内は平日と言うこともあって、幼児連れの地元の人ばかりで、日本人などゼロである。そもそもわざわざここまで来て動物園にくるかという話もあるが...。が、時間があったらおためしを。日本の動物園とはかなり趣が違い緑が非常に豊かなのが印象的だ。

市内へ戻る

市内にもどり、スカイシティでエアポートバスの始発をチェック。ここからは5:00amが始発で以降20分おき、18時以降は30分置きで料金はNZD13.00だ。国際線搭乗なので安心度を考えて、やはりSuper Shuttleを予約しようと決めた。空港までのシャトルはこの会社に限る!

動物園到着が10:50ごろ、食事を始めたのが12:20ごろで、動物園をあとにしたのが13:20ごろだ。さてとりあえず市内まで戻ったが、この後どうするか。ふと目にとまったのがLinkという循環バス。Auckland Passも使えることは購入時に確認済みなのでこれに乗ってみるとしよう。NEW WORLDにも行けるしね。でも、どうせなら遠回りをしてみようと、時計回りのバスをホテル前のバス停で待つ。待つことしばしでやってきたので、パスを提示してのりこむ。均一料金なのでパスでなくても行き先をいう必要はない。

パーネルビレッジ

バスはパーネルロードにさしかかった。そういえば前回は雨でパーネルビレッジ散策を断念したっけ、と、突然思いついて下車したのは15時前。しばし、パーネルビレッジの散策だが、平日なので人が少ない。ここで、スターバックスをみつけてテラスでいつものカプチーノを飲みながらこれを書いている。

パーネルのStarbucksのテラスより 素晴らしい天気のパーネルビレッジ

さて、もう少ししたらバスの続きを乗ることにしましょうかねぇ。つぎはどこで降りますか....。と思ったらとなりのテーブルに「個人旅行ニュージーランド」と、アイスラテ(かな)とデニッシュを持ったお兄さん(と言うにはちょっとふけて見えるが...ごめんなさい)がやってきた。おやまぁ。5月5日の15時頃オークランドのパーネルのスターバックスで「個人旅行ニュージーランド」を広げていたお兄さん、もし、これをお読みになったら、ぜひ「旅路の部屋」の掲示板に書いて下さいね

NEW MARKET

パーネルの散策とコーヒータイムも終えたので、再びLinkバスの旅に戻る。やはりここはニュージーランド最大の都市だけあって車の量が非常に多い。15時をすぎると帰宅ラッシュが始まるので道路はなお混むようになる。バスはようやくNEW MARKETにやってきた。NEW MARKETと言ってもショッピングセンターではなく、普通のショッピングタウンである。尿意を催してきたのと、ここでも降りてみようと思い立って、手ごろなバス停で降りる。はじめての街なので、バス停の位置をしっかりと頭にたたき込んでおく。

まあ、クライストチャーチの街やオークランドの街の中心部をさんざん歩き回った身にとっては、別段珍しい物があるわけでもないので、手ごろなショッピングビルに入ってトイレを済ませて、本屋やいくつかの店をのぞいたりしながらぶらぶらしてみる。オークランド中心部と違ってこのあたりには観光客はほとんど居ないようだ。土産物屋など観光客相手の店はちらりとみた限りではほとんど見られない。

またも NEW WORLD

しばらくうろうろしたあと、16時15分ごろに再びLinkに乗り、今度こそスーパーのNEW WORLDに向かう。道路が混雑していて、NEW MARKETからVICTORIA PARKのNEW WORLDまで30分とかなり時間はかかったが、オークランド・ドメイン、大学などいろいろなところを通るのでちょっとした市内ツアーだ。ここで残りの土産などを購入。昨夜同様にマンダリンを4個購入するがうまいんだ、これが!大抵の日本のみかんよりうまいですぞ。

ニュージーランド最後の夕食

買い物を終えてホテル前へ向かうLinkに乗ったのは17時半。ホテルに戻り買った物の写真をデジカメで撮ったあと、今度は夕食のために外出なのだが、時計はもう18時だ。こうなると開いている大きなフードコートはIMAXシアターしかない。

昨日食べ損なったLAMB ROASTがあるか、どうか、尋ねてみたが「申し訳ありません、今日はポークしかないんです」と、つれない返事だ。迷った挙げ句、PIZZA PLANETという店でPIZZA COMBO(NZD7.90)を頼んだ。ピザは何にしようかと思ったが、悪魔のささやきでHAWAIIANというハムとパイナップルのものにした。他にベイクドポテトと飲物がつくので、飲物はダイエット・コークを選ぶ。ポテトのソースを聞かれたので、トマトソースを頼んだ。このピザはまさに悪魔のささやきというべきもので、はっきりいってかなりまずかった。大きいのでお腹はふくれたけれど、決してうまいとはいえなかった。左側の歯をかばって右だけで噛むからなお食べにくい。

座った場所が、MATSU SUSHIという寿司ショップの前で、面白そうなので観察してみることにした。太巻き(具はいろいろあるが日本のそれではない)が一切れNZD1.00、にぎりもどき(のっているのは生魚ではない)がNZD1.50とNZD1.80の二種類。店員は東洋人だが、喋っているのは日本語にあらず。どうも韓国語みたいだった。

そこへテレビのERに出てくるカーター先生そっくりのビジネスマンが現れて、皿に手早く巻寿司を5切れほどとり勘定をして彼方の席のほうに消えた。離れながらもちらりとみると、器用に箸を使って食べている様子だ。その後も売り場を見ていると結構地元の白人がとっかえひっかえやってくる。この店意外といいのかな。少なくとも日本の巻寿司とは似て非なる食べ物であることを最初から覚悟すれば、それなりにいけるのかも。筆者が食べたくだんのピザ屋より流行っているのは間違いない。うーん、MATSU SUSHIにすればよかったかな(笑)

パッキング

長いようで短いニュージーランドの旅もほとんど幕を閉じた。Super Shuttleのピックアップも電話で予約し、明日の朝午前5時にホテルにきてくれることになった。そうそう、今朝ほど取れた奥歯のクラウンを治してもらうために、自宅に電話をして歯医者の予約を頼んでおく。あとは、荷物の整理をするだけだ。クライストチャーチでは意識して買い物はしなかったのだが、ここにきてスーパーで菓子類を買い集めてしまったので、トランクが「お、重い!」。

ま、いいか。

ニュージーランドは二度目だがやはり楽しい。何より治安は日本の東京並かそれ以上には良いようだ(もちろん東京同様危険なところだってあるわけだが)。日本だって都会の暗い路地裏なんて何がおこるかわかったのものではないが、それは多分全世界共通。食べ物も比較的味はまともだし、ある程度の歳になったら、一年の半分くらいはこの国で過ごしてみたいと真剣に考えている。

手ごろに発展しバスの便も整備されているのはクライストチャーチだろう。気温は低めであるが(クライストチャーチではセーターが手放せなかったが、オークランドでは昼間はカジュアルシャツで十分で、街には半袖ポロシャツ姿も沢山いたけど、それくらい気温が違う。だが、多分、筆者のような外国人が暮らしやすいのはクライストチャーチだと思う。

(第7日目終了)

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