「お替わりはいかが? 〜1346〜」

1999.03.11 (Thu) ==========================

□ PDAの比較? 〜4〜

 くだんのとある雑誌ではCPUのアーキテクチャの違いを完全に無視してクロ
ック周波数の違いを比較していたようだが、では実際にE-55とWorkPadでの標
準ソフトウェア(つまり一般には店頭展示機の状態)で同じ様なそうさをして
比べてみると良い。特に複数、それも三つや四つのアプリケーション間をつぎ
つぎ行ったり来たりしてみるとよい。そのクロック周波数信仰はものの見事に
うち砕かれるであろう。記事を書いた方は今からでも遅くはない、両機を店頭
でじっくりじっくりさわり比べてみるとよかろう。自分があさってのほうをみ
ながらボールを投げているのがいたいほどわかる筈だ。

 手を加えないで同じ件数だけのデータをいれて、ToDo、アドレス、予定表を
行ったり来たり、入力したり修正したりしてみると、両者の差はもう歴然とし
ている。はっきり言ってE-55はかなり遅い。私が持っているPDA達のなかでも
飛び抜けて亀である。それでも普通に使っていれば私にはまあ我慢できるぎり
ぎりであろうが、誰かにスケジュールを聞かれてもすぐには答えられないで
WorkPadより数秒遅く答えが出るのはまず間違いのないところだろう。CPUのク
ロック周波数は相当な開きがあるが、E-55はRISCだしWorkPadはCISCだから同
一に比べることなどできるわけがない。

 想像だが、この速度の開きをつくっているのは、WindowsCEというOSであろ
う。Microsoft社はPCの世界ではOSやアプリケーションの重さを、メモリ容量
とCPUの速度でカバーしてきている。そうでないとウィンテル連合の「テル」
側が売れなくなることもあるのだろうし、とにかく多機能化して重くなっても
ハードが解決してくれるという腹があるのだろう。これがハイパワーなデスク
トップPCなら許されようが、ノートPCやPDAにまでこの悪癖が及んでいる。ノ
ートPCも可搬型デスクトップのようなタイプならいざ知らず、携帯重視の小型
ノートまでその悪影響をうけ、速度は速くなってもバッテリー駆動時間はどん
どん短くなって行くばかりで、それをカバーするためにより大容量バッテリー
などが必要になり、携帯性がどんどん失われて行く。さらにこれがPDAにまで
及んでいるようで、今のモノクロPDAでもろくな速度もでずバッテリー駆動時
間もノートPCに毛が生えた程度なのに、さらに色をつけて処理を重くしバッテ
リー駆動時間を犠牲にする必要があるだろうか。色がつくのは悪いことではな
いが、そのまえにPDAとしては解決すべき問題があるはずだ。そういう意味で
PalmsizePCのカラー版のデビューを聞いて、PDAとしてのWindowsCEには先は無
くなったと私は判断した。

 PDAとはいろいろな使い方があるが、基本はポケットなりバッグから出せば、
待ち時間ゼロですぐに使えて、ある程度限られた機能の中で手帳のページをく
るがごとく、すいすいと動かねばならないし、そこに精神的負担を感じるよう
なら長続きはしない。重要なのはそのPDAが速いの遅いのと比べて優劣をつけ
ることではなく、それぞれが自分の感覚にフィットしているかどうからだろう。