「お替わりはいかが? 〜1421〜」

1999.05.25 (Tue) ==========================

□ サマータイム 〜1〜

 このところサマータイム制度の導入の適否が議論され始めるようになったよ
うだ。いや、正確に言うと「導入の適否」ではなく「復活の適否」である。日
本では1948年から1952年にかけて欧米に習って導入されたことがある
から、「復活の適否」なのである。

 推進派の主要な主張は、照明やら冷房エネルギーの節約、欧米の先進各国で
は導入されているところが多いというもののようだ。一方反対派の意見は、人
間の体のリズムを崩す、寝不足になる、残業が増えるといったものだ。だが、
良く考えると、推進派の意見も反対はの意見もどちらも大いに説得力にかける
ように思う。

 照明や冷房エネルギー節約というが、エネルギー消費のかなりの部分を占め
る都市部を考えてみると、ビルのオフィスなどでは外が明るかろうが暗かろう
が室内照明は人が中で作業しているかぎりほとんどの場合は点灯されている。
これはオフィス床面積に比べて、採光部分の面積が非常に小さいからで、さら
に大きな窓があっても昼間日が差し込むとまぶしいとか日があたってパソコン
の画面が見えないなどの理由から、むしろ昼間のほうがブラインドを下ろして
いたりしてなおのこと照明が必要になる。冷房も同様で気密性が高く、自然の
空気の流れによる朝の涼しい風をオフィス内で味わうことはありえない。つま
り、現状の都市部のビル構造や執務形態を根本的に改革しない限り、朝早かろ
うが夜遅かろうがほとんど関係ない。まして、都市部は夜中も休みを知らない
24時間活動の世界だったりするからなおのこと無関係だ。

 また欧米が導入しているから我が国でも導入すべきだというのは、猿真似論
者の下らぬ風見鶏議論にしかすぎない。欧米は欧米の文化や生活スタイルがあ
るし、日本には日本なりの我が国の風土に適した文化と生活スタイルがあるの
で、馬鹿みたいに欧米に迎合する必要はない。単なる真似ではなく、きちんと
論理だった説得力ある理由があるなら聞きたいものであるが、残念ながら私に
は単なる欧米模倣主義の延長にしか聞こえない。

 一方反対派の主張はどうだろう。人間の体のリズムを崩すという説。ほぼ半
年に1度の割合で1時間進めたり1時間遅れたりしているだけで、そんなに大
きな悪影響がでるものだろうか。影響という意味では海外旅行による時差(ジ
ェットラグ)のほうがよほど大きいし、1時間の時差はグアムやサイパンある
いは台北、北京あたりと同じだ。経験的に1時間の時差はほとんど問題になら
ない。むしろ平時の生活の不規則のほうがはるかに影響が甚大であろう。また、
人間の体のリズムは24時間ではなく、25時間だという説もあり、リズムが
崩れるという説の具体的かつ論理的な根拠は薄い。

(続く)