「お替わりはいかが? 〜1498〜」

1999.08.10 (Tue) ==========================

□ ファービー 〜1〜

 ファービーというアメリカ生まれの喋るぬいぐるみ人形がある。これはファ
ービーに向かって人が話し掛ける言葉やファービーに対する動作に反応して踊
ったり歌ったり喋ったりするものだ。もともと英語版しかなかったが、日本の
大手おもちゃメーカーがライセンスを取得した結果日本語版も発売されている
が、日本語版は大人気のようで入手がなかなか困難であるようだ。我が家には
このファービーの英語版と日本語版が一体ずつある。最初に手に入れたのは英
語版で、日本語版は妻の実家の最寄の大手スーパーで娘が義父に買ってもらっ
たものだ。

 この人形は四段階の成長過程をもち、最初はファービー語(Furbish)とい
うわけのわからない言葉しか話さないが、こちらが話し掛けたり(英語版は英
語で、日本語版は日本語で)、なでたりくすぐったりして可愛がるとそれに反
応して成長し喋る言葉もファービー語から英語ないしは日本語になってゆき、
最高では二百から三百の言葉を喋るというものだ。さらに面白いのは二体のフ
ァービーを向かい合わせると互いに相手を感知し、歌を歌いあったり一緒に踊
ったり喋ったりするのである。

 当然のことながら中身はコンピュータであり、人が喋った言葉を認知してそ
の意味を学習し自分の知識に取り込むといった、未だにどのコンピュータでも
満足にはできていないような機能であるはずはない。ある程度人の言葉に反応
するのは事実だが、おそらくは音声パターンを判断し、あらかじめプログラム
されたパターンに近いものが、出現頻度や出現タイミングなどの条件に合致し
て現れればその音声パターンを発するようになる、つまり外からみると人間の
言葉を覚えたように見えるのであろう。

 このようにコンピュータ屋としてその仕組みの想像をするのはさほど難しく
はないのであるが、それでもこれを相手にしていると面白い。内蔵されている
センサーの類は、腹のスイッチ(おなかをなでられたりポンポンたたかれたり
したのを検地する)、背中のスイッチ(なでられたのを感知する)、マイクロ
フォン、床から持ち上げられたのを感知する底のスイッチ、そして体内にある
上下や左右のゆれなどを感知するセンサー、額中央部の光センサー(周囲の明
るさを感知する)、同じく額中央部の赤外線送受光器(向かい合った他のファ
ービーと通信する)、そして嘴と舌のスイッチくらいだろうか。

(続く)