「あいちゃんの散歩道」

第29回 フレッツISDNからフレッツADSLへ


■ 定額接続の衝撃

 我が家に待望の定額接続を導入したのは、昨年の11月のことである。それまでは定額接続はおろかテレホーダイとも無縁な生活を送っていた。朝6時前に起床して支度をして出勤をする私には、深夜23時から、それもあらかじめ登録した電話番号だけが定額通話になるというのは、とんでもない話であり、およそ受け入れがたいものであったからだ。

 しかし、フレッツISDNは違う。これはあらかじめ登録したプロバイダを使う限りは、24時間いつ何時どれだけ接続していても、通話料は定額であり、逆に一切使わなくてもやはり定額が請求されるというシステムで、厳密には常時接続とは異なるものだ。

 24時間、いつ何時でも電話代を気にせずにインターネットに接続ができるというのは、私のインターネットの使い方を激変させた。我が家の場合、居間の私が座る場所のすぐ横にPCが置いてあるから、何か調べたいことがあったりしたら、ちょっとインターネットで調べてみようという事が非常に多くなった。昔は自宅では調べる術がないことや、図書館や本屋などへ行ってもわからない海外の最新事情やニュースなどが、欲しいその場で手に入るようになった。インターネット上には、その時の状況や利用目的により有用な情報も多いが、そうでないものも多く調べものをするときには、やたら時間がかかることもあるのだが、従来は電話代が恐ろしくてとてもそんなことはできなかったし、ニュースサイトをじっくり見ることも怖くて、なんとかオフラインで読むべく巡回ソフトをいくつか試したが、どれもいまいちでダイナミックなコンテンツには追従できなかったりするから困ってしまう。

■ ISDNのメリット

 自宅のISDNではたかだか64Kbpsだから、速度的にはモデム接続と極端な差はないのだが、定額接続でなくてもISDNになっただけで感激することが一つある。それは接続完了までの所要時間の短さである。V.90のアナログモデムだと、ダイヤルを開始してからプロバイダのアクセスポイントに回線がつながり、それからモデムのネゴシエーションが始まりこれがしばらく続く、そしてようやくダイヤルアップの認証になって、それが終わってやっと使えるようになる。

 それが、ISDNでは時間的にはアナログ回線で電話が相手につながるかつながらないかくらいの所要時間でダイヤルアップ認証まで行くから感激だ。接続時の待ち時間についていうなら、アナログ回線とISDNでは自転車とポルシェほどの差があるといってもよかろう。

■ ダイヤルアップルーターとターミナルアダプタ

 我が家でのISDN導入は最初からフレッツが前提になっているし、複数台のPCがあるのでTA(ターミナルアダプタ)接続というのは、最初から全く念頭にはなかった。当然導入すべきはダイヤルアップルーターである。

 ターミナルアダプタに比べてダイヤルアップルーターにはいくつものメリットがある。多くのパーソナル用途のISDNダイヤルアップルーターはNATeなどでのアドレス変換機能を備えていて、LAN側にはスイッチハブなどを挟めば複数台のPCを接続することが可能だ。これがターミナルアダプタだと、原則としては1台だけの接続になってしまう。

 接続のセットアップまでの手間もかなり違う。ターミナルアダプタはデスクトップPCの場合シリアルポートに接続しドライバソフトウェアを組み込み、さらにダイヤルアップの設定をする必要がある。これが何台かのPCでターミナルアダプタをつなぎ変えたりするときは、全てに行わなくてはいけない。しかし、ダイヤルアップルーターだと、各PCにLANカードのドライバソフトウェアを組み込む必要はあるが、あとはIPアドレスの設定などは通常不要で、すべてダイヤルアップルーターから自動的にDHCPを使って割り当てられる。Windows系OSではLANカードさえ組み込めば、ダイヤルアップルーターなら標準インストールの状態で、ネットワークケーブルをつなげばいきなりインターネットアクセスができる。

 また、途中にNATeなどによるアドレス変換を挟むため、接続中にいきなり外部からPCが直接アタックされる可能性も少ない。もちろん鍵と泥棒の関係で泥棒に開けられない鍵は無いというが、アタックで破られないダイヤルアップルーターも存在しないと言う保証はない。しかし、直接PCを接続しているのとはそのセキュリティにおいては大きな違いがある。

 ダイヤルアップルーターによっては、電話の通話記録や着信記録、ネットワークのアクセス記録などもかなり詳細に残せるものもある(私が使っていたNECのCOMSTARTZ ROUTERがそうだ)ので、その意味でもかなりありがたい。

■ フレッツADSLへ

 ダイヤルアップルーターを使ったフレッツISDN接続にはかなり満足していた。何より安定度が非常に高いからだ。しかし、できればもうちょっと速いほうがよい、と思うようになったのは人の煩悩のなせる業だろう。

 我が家がフレッツADSLのサービス区域に入ったのは2月になってからで、それからまもなく申し込んだ。しかし、さすが天下のNTT東日本さんだ。Webから申し込んだが、工事日についての通知は全く無い。Webを見ると、どうも機材の不足ということで、聞くところではADSLモデムが在庫切れになっているらしい。フレッツISDNのときも、しばらく放置していたが全く連絡がないので、頭にきてこちらから電話をしたが、いつでも話中。それでも根気良く毎日数回一週間くらい電話をしていたら(まるで嫌がらせ電話みたいだ)、一週間目にしてようやくつながって、いつになるのか、せめて連絡くらい欲しいと告げたが埒があかない。

 世間の噂ではフレッツISDNは、クレームを入れた者勝ちだという噂があったのだが、私は別にクレームをいれたわけではなく、単にいつごろ開通するか知りたいといっただけだが、数週間は最低かかるだろうくらいしか回答はもらえなかった。しかし実に不思議なことに、この電話から数日後に開通予告電話があった。どうやら世間の噂は本当だったのかもしれない。

 フレッツISDNはこのような事情であまり待たずに済んだが、では放置したらどうなるのか、フレッツADSLではNTT東日本のWebサイトから申し込んでそのまま一切こちらからは連絡をしなかった。申し込んだのが、2001/2/20で、工事日通知がきたのが一ヶ月以上たった2001/3/30、そして開通したのが2001/4/27である。つまり二ヶ月もかかったことになる。救いなのは開通がゴールデンウィーク前で、ゴールデンウィークにはブロードバンドを堪能できそうなことだ。

 フレッツADSLは、PCとADSLモデムをネットワークケーブルで直接結び専用ソフトで繋ぐ方法があるが、常時接続で何の保護もなく、いきなり自分のPCをインターネットにつなぐほど無謀な話はあるまい。私は当然NATe対応のブロードバンドルーターを間に挟んだのはいうまでもあるまい。

 これから、本格的にADSLやCATVなどの常時接続サービスを利用しようとする人は絶対にNATeなどアドレス変換対応のルーターを挟むべきであり、間違っても自分のPCを直接つなぐべきではない。CATVの中には、ルーター接続を禁止しているところがあるが、そういうところは使わないにかぎる。どうしても繋ぎたかったら、そういうCATVネットに繋ぐPCには、一切の個人情報や大切な情報をいれず、いつ何が起こっても平気な屑環境のPCのみとし、そのPCと他のPCは絶対に直接接続しないことだ。

 もっとも、最近はADSLがかなり安くなっており、価格的に高め設定で、ルーター接続禁止で、複数台繋ぎたいときは追加料金でアドレス割り当ての追加を受けなければならないような一部のCATVネットは生き残れないのは間違いあるまい。

■ 実効速度

 ADSLはISDNとちがい原理的にも環境による速度差が大きい。また、接続している業者やプロバイダや地域差も大きいようで、夜はISDNより遅くなるといった方もいらっしゃるようだ。最高は1.5Mbpsだがこれはあくまで理論上であり、現実には通信のオーバーヘッドなどもあるからそんなには出ない。

 さて、我が家の接続速度はどうか。RWINなどのパラメータは調整しているとはいうものの、地域IP網までは常に1Mbpsを超えており、ほとんどは1.2Mbps前後である。また、複数の速度測定サイトを使った結果も1.2Mbps前後をテレホーダイタイムでもキープしているのは立派なものだ。

 1.2Mbpsのメリットというのは現状では大きなソフトのダウンロードやWindowsUpdateにかかる時間が劇的に短くなったことくらいだろう。もちろん大抵のWebサイトは、非常に早くなり、はっきりいってオフィスで見るより遥かに速い。Webで調べものをするような仕事の場合は、自宅で仕事をしたほうがはるかに効率があがるだろうと思うくらいだ。

 一方、1Mbpsを超える速度のメリットを享受できるコンテンツはあまりない。IBMのサイト ( http://video.ibm.co.jp/ ) や、Appleのサイト ( http://video.ibm.co.jp/ ) で見ることができる映画の予告編くらいだろう。他には、Windows Media Playerで見ることができる WindowsMedia.comのニュース関係のコンテンツとか、ISDNではちょっとひっかかりが出るインターネットラジオくらいだろう。

 私が気にっているのは、大好きなハワイのラジオ局が、インターネットラジオで聞けることだ。内容は様々だが休日などはハワイのインターネットラジオを聞きながら、ハワイ関係の旅行コンテンツを書いたりするのは楽しいものだ。

■ とにかく定額接続・常時接続を

 ブロードバンドはまだまだこれからであり、本格的な画像コンテンツになると1.2Mbps程度では遅すぎるのは事実だ。そういう意味では今のフレッツADSLは実に中途半端だが、ブロードバンドコンテンツが無いに等しいから現実にはこれで十分だ。ブロードバンドコンテンツが充実してきたころには、接続速度も最低数Mbpsくらいにはなっているだろう。

 それより、日常自宅でパソコンが近くにある人は、フレッツISDNでもいいから是非定額接続あるいは常時接続を入れてみて欲しい。インターネットの使い方が相当変わるはずで、使い方がいきなり幅広くなることは間違いない。


Copyright (C) 2001, あいちゃん, All rights reserved.
筆者に無断でこのホームページの全部もしくは一部を転載、複写、再配布することを堅く禁止します。