第3日目 1 August 2004

三日目の朝

昨日は午後10時前くらいにホテルの部屋に戻った。室内には昨日クリーニングに出したズボンが届いていた。ちなみに、日本でズボンをクリーニングに出すと番号の書かれたタグはベルトループにステプラーで止められているのが普通だ。このズボンはどこを探してもタグがなかったので不思議に思っていたが、帰国後にタグを見つけた。ズボンのファスナーの布(内側にくるところ)に安全ピンで止めてあった。うーむ、なるほど…。

結局昨夜はシャワーを浴びて旅行記を書いてベッドに入ったのが深夜の1時頃で、今日もまた6時45分の目覚ましなので眠い。睡眠時間から言えば普通の平日と同じだが、こちらのベッドは良く眠ることができる。Got wetなNOKIA君はダメっぽい(汗)のでもうあっさりあきらめて、火曜日朝に空港見学(爆笑)に行くことにした。

7時40分ごろ、ホテル棟2階のレストランfortunesへ行き、朝食バフェを取る。メニューは昨日と同じで、長粒米の白米とおかゆがあるがちょっと怖くて手をつけていない。今朝は子供が白飯のほうを少量皿にとったので、それを一口食べてみたが、表面がばりばり(炊飯器の縁にこびりついた御飯がこんな感じになるか…)で、せめてお茶漬けにでも…と思うくらい硬いわ。

今日の予定

今日の予定は、こちらの知人のAさんとIさん(昨日の知人は現地の日本人だが、今日のは現地のオーストラリア人)が一日ほどシドニー案内をしてくれるというありがたい話だ。本来なら携帯に電話をもらうはずだが、携帯がアクシデントでつかえないので、ホテルの部屋のほうに連絡してくれるように伝えておいたので、9時ごろ部屋の電話が鳴った。10時にホテルのタクシードロップというかホテルロビーの前で待ち合わせということになった。

実は時刻は今はまだ9時過ぎでいささか時間があるので、昨日までの写真のバックアップをPCに取ってから、この日記を書いている。待ち合わせの前に水を買っておきたい。下のホテルのコンビにはえらく高いが小さな水だけなのでここは我慢。7〜8月のシドニーは真冬であるが、昼間の日差しは強くて日焼けするし暑いくらいだ。昼夜を通して湿度が低いから喉も乾くので、冬場の日本ならコートを着用してミネラルウォーターを持ち歩くことは考えにくいけれど、こちらだとどうしても必要になるようだ。冬も終わりとはいえ気温は下調べしていた以上に寒くない、夜は東京の3月中旬くらい、晴れた昼間は5月初旬くらいの感じで日差しはそれよりはるかに強くて日焼けする。日本の関東以北の人なら、山のほうへ行かない限りシドニー市内に居る限りは分厚いコート(例えばダウン)はまったく必要ないだろう。

シドニーに来てうらやましいのは空がとても綺麗なこと。晴れた朝は抜けるように空が青いし、夜も星空が綺麗だ。東京区部ではもはやのぞめないものがここにはまだあるのだ。

知人のAさんとの再会

10時少し前に下りてロビー前で待っていたら、Aさんが夫婦で現れた。彼の奥様とは今回初めてお目にかかるわけだが、オーストラリア人kで日本で一年半ほど働いた経験があり多少日本語は話せる。妻の英語と彼女の日本語とどちらがマシかいい勝負といったところだが、多分彼女の日本語のほうが妻の英語よりマシなのは残念。

今日のプランは、この知人がまず夕方前までシドニーを案内してくれ、その後もう一人の知人、つまり三番目の知人のIさんにバトンタッチして、夜までIさんが付き合ってくれることになっている。

Koara park

最初に向かったのはKoara park。シドニーのあるNew South Walesではコアラの抱っこは禁じられている(CarinsのあるQueenslandはOK)のだ。別に抱っこしたいとは思わないけれど、どのくらいまで近くで見られるかは興味がある。

知人がバウチャーを一枚用意してくれていて、大人一枚につき大人一枚無料となるので、残った人数分のチケットを窓口で購入する。外観からするとさほど大きくなさそうだ。筆者は知人といろいろ話しながら、妻のほうは片言の英語と知人の奥様の日本語とのミックスで話しながら園内を回る。

ひたすらぼんやりのカンガルー 網の間から顔を出すオウム(コバタン)
ひたすら眠るコアラ うるせぇな〜、安眠妨害!
コアラにタッチできちゃいます ユーカリをむしゃむしゃ
母乳を飲んでいるカンガルーの子供 カンガルーのドアップ!

規模的にはケアンズのワイルド・ワールドにははるかに及ばない。カンガルーの放し飼いエリアもあって、餌をやることもできる(餌は多分入口売店で買うのだろう)が、その規模というか数は圧倒的に少ない。だが、客に慣れたカンガルーの振る舞いは同じで(笑)、寝そべったまま顔だけ起こして餌をもらう奴や、きちんと立って餌をもらう奴、舌だけで餌を持ってゆくものや、掌に歯が軽く当たる食べ方をするものなど様々だが、共通しているのは奈良公園の鹿のようにド厚かましく人から鹿煎餅を奪い取るような行為はしないことだ。どれも大人しくもらえるのを待っている。

ここで一つ驚いたのは、コアラにタッチできたことだ。コアラ舎というかコアラのいる低い柵の横に普通に植わっているユーカリの低い木があり、丁度顔くらいの高さのところの木の股にコアラが腰をすえていてひたすらユーカリを食べている。誰が来ても気にするふうもなく、ひたすら食べている。普通はこういうシチュエーションだと近くに飼育係がいるものだが、その気配すらない。繊細なコアラには人に触られるのがストレスになるというが気にしないのだろうか…ちょっと不思議。

Bondi Beach

さほど広くないKoara parkを回り終えて、次に向かうのはBondi Beachだ。実は彼に話を聞くまで知らなかったのだが、Harbour Bridgeは朝晩の渋滞がひどいため、今は海底トンネル(Harbour Tunnel)もあるのだ。Koala parkまでの往路はHarbour Bridgeで、復路はHarbour Tunnelを通り、Bondi Beachに向かう。

夏(12月後半〜)は湘南並みに混雑するというBondi Beachの芝生
Mackenzies Pt.から望むBondi Beach Double Bayからcityを望む

Bondi Beachについたけれど、今日は天気の良い日曜日ということもあって車を止めるところを探すのに一苦労。いわんや夏場は…ということで、夏場(クリスマスとかお正月)にBondi Beachで一日を過ごそうというならば、車ならば朝早くにでることを強く推奨する。車でないならば、Bondi Explorerというバスを使うことだ。あるいは、Circular Quayからバスの380またはL82でBondi Beachで下りるか、CityRailでBondi Junctionまで行きそこからバスの380、381、382、L82を使うと良い。バスの本数も多いし、Circular Quayからは時刻表では40分程度、Bondi Junctionからならば10分程度だ。TravelPassのRedまたはGreenを買えば期間中はGreen区間内のCityRail/Sydney Ferry/Sydney Busesが乗り放題なので一週間程度滞在するなら是非GreenかRedのWeeklyを買うことをオススメする。筆者はCityRailの駅の券売機(画面が付いた小型のほう)で購入した。

ビーチを歩く前にまず腹ごしらえということで、名前は忘れたがイタリアンの店に入る。妻はペンネ・カルボナーラ、筆者がペンネ・アラビアータ、子供がフィットチーネ・ボロネーゼだ。味はなかなか良くて、初日の夜に食べたパスタとは全然違う。価格もこちらのほうが断然安い。このお昼は友人がご馳走してくれた。皆お腹が相当膨れたので、店を出てビーチのほうへと歩いてゆく。

[昼食メニュー]

Bondi Beachは比較的小さなビーチで、特に冬場の今は海水浴客もほとんどいない。だが、このビーチから眺める風景、左手にBen Buckler (ベン・バックラー)、右手にMackenzies Pt. (マッケンジーズ岬) を見る風景は実に絵になる。さらにもっと素晴らしいのはBondi Beachに向かって左手のBen Bucklerという岬の突端へあがってゆくことだ。Bondi Beachが一望できボンダイ湾を挟んで向かい側のMackenzies Pt. が実に美しい。ここは知人のお気に入りの場所のひとつで、ここの風景で癒されるという。

豪邸ツアー (Double Bay)

Bondi Beachはガイドブックにもあって行く人は多いし、Bondi Explorerという巡回バスも回っているので結構簡単に来ることができる。だが、Aさんの案内してくれるBondiツアーは、ここからが他の市内観光ツアーと違うものが始まる。Bondi Beachから反対側、つまり湾(ポートジャクソン)側に行くと、Double Bay〜Rose Bayのあたりとなり高級住宅地が立ち並び、最低でも数百万AU$、高いものは2000万AU$にもなるという豪邸があちらこちらに続くところを抜けてまさに豪邸ツアーである。

そして出たのがちょっとした高台の公園だ。大晦日にはシドニーの花火大会を見るためにその公園で早い奴は前夜からテントを張るのだという。その公園からはシドニーのHarbour Bridgeを中心に街が一望できるという素晴らしい場所だ。そこには外国人観光客など皆無だしもちろんツアーもBondi Explorerもやってこない。マウイの友人がオリンダの松林につれていってくれたように、こういう地元の人しか知らないような場所というのはいつまでも旅の思い出として残るものだ。今でもマウイのオリンダの素晴らしい松林のことをはっきり覚えている。

この後も、しばらく豪邸ツアーをして、というか周囲が豪邸ばかりなので自動的にそうなってしまうのだけれど、とにかく次の三番目の知人(オーストラリア人)との合流点に向かう。待ち合わせ時刻は4時頃。

知人のIさんとの再会

合流点の詳細な場所は分からないけれど、どこぞのPetrol Station (ガソリンスタンド)だ。ここで筆者たちと二番目の知人夫婦の乗った車(フォルクスワーゲンだ!)が入ると、既に三番目の知人のIさんが待っていた。筆者はIさんの車とか見たことが無いのでどれかわからなかったが、車から出てきたお腹の出っ張った彼の姿を見てすぐにわかった。そして助手席からは筆者の妻よりは年上であろう彼の奥様が出てきた。彼とは四ヶ月ぶりなので、再会の挨拶をして握手を交わす。筆者もとりあえず日本人なので、日本人同士では握手の習慣はないから自然に手が出ることはないけれど、相手が外国人だと自然に右手が前に出て握手をするようになった。握手というのは慣れれば友好を示す非常に良い手法だと思うが、相手の体に触れることを嫌がる日本人には定着しない習慣の一つだ。握手は定着しないが、通勤地獄では体同士がべったりくっつくような信じられない状況に耐えているのだから不思議である。

ここで、Aさんと分かれるときが来た。ガイド交代というわけだ。日本からはちょっとしたお土産を持ってきたので、それをAさんに手渡して分かれた。彼は仕事でも日本にしょっちゅう来ているのでまた仕事の上でも会うことも有ろう。

Manly Beach

さて、これから向かうのはManly Beach。オーストラリアにはビーチが沢山あるし、シドニーの周囲にもビーチが沢山ある。Iさんによればシドニーから南に80kmほど行くと、夏のピーク時でも自分たちだけで独占できるような美しいビーチがあるのだという。日本は島国で海岸線は長いけれど、砂浜というのは意外と少ないから、美しいビーチというのも結構少ないのでこれはうらやましい。

Manly Beachは、シドニーからだとCircular QuayからSydney Ferryまたは高速フェリー(Sydney FerryのJet Cat)で行くことができる。日本のガイドブックにも触れられてはいるが、Bondi Beachほどの大きな扱いではないようだ。彼によればここは観光客に人気のスポットだそうだ。といっても、圧倒的に国内の観光客が多いのだそうだ。真夏のクリスマスシーズンになるとBondi BeachもManly Beachも大変に混雑するのだという。日本在住経験のあるAさんの友人の奥様によればまるでクリスマス休暇シーズンのBondi Beachは、夏場の湘南みたいだという(苦笑)。

ここのビーチはBondi Beachより大きい。Manly Beachについたときはまだ日は暮れていなかった。ここの景色もBondi Beachに負けず劣らず美しい。シドニーにはSydney Aquarium(シドニー水族館)もあるが、ここにもOceanworldという水族館がある。フェリーターミナルの真正面は終日歩行者天国のThe Corsoで、道路にはカフェのテーブルと椅子が並び昼間は軽食やお茶を、日が落ちてからはビールやワイン、食事を楽しむ人がいるわけだが、今日は冬場の日曜日の夜ということもあって人が少ないようだ。

ビーチラインに沿って、彼といろいろ話をしながら歩いているうちに、ふと気づくと日が暮れてきた。休日のビーチ付近というのは散歩する人が多い。ケアンズでもそうだったし、ハワイでもそうだ。何を求めるでもなくそぞろ歩くわけだ。ここのビーチラインには、松(Australian Pine)が植わっている。どれも樹齢は100年を超えているような大きな松ばかりで、Norfolk Islandのほうから持ってきた松らしい。

入場料を払うような観光ポイントもいいけれど、こうやって無料で自然を楽しめる場所というのもいい。まして、日本人観光客があまり訪れないような、あるいは地元っ子しかこないようなそれでいて素晴らしいポイントというのは、現地に知人がいるからこそ筆者たち観光客も知ることができるわけだ。

既に日は落ちてあたりは暗くなった。海岸の端のほうの岩場のほうの上まで歩いてゆくと、ここからは対岸の街明かりが非常に美しい。車を置いたまま歩いて反対のMANLYのフェリー乗り場のあるほうへと歩いてゆく。Circular Quayからフェリーにのると15分もしくは30分でここにつくというわけだ。なるほど、30分フェリーに乗るだけでこういう素晴らしいひと時を過ごすことができるのだ。このフェリーターミナルのある側にシドニーとしてもう一つの水族館「Oceanworld Manly」があるわけだ。

昼のパスタがしっかりしていて量も多くて家族全員お腹がすかない。Iさん夫婦も遅いランチだったのでお腹がすかないという。だが、お腹がすかないという割には、奥様のほうはピザ屋でピザを1ピース買ってほおばりながら歩き、さらに別の店では細長いpita (ピタパン)を旦那(=Iさん)に買ってもらっていた。Iさんのほうは呆れた顔をしながらも支払をしていたけど(笑)。

とはいえ、さすがに喉が渇いてきたので、どこかでティーでもということになり、日の落ちた路上の歩行者天国にテーブルを出している店で、知人がお茶だけでもOKかどうかを確認した上で席に腰を落ち着けた。筆者家族は人数分のBlack Teaと、ワッフルとアップルパイを頼んだ。だが、しばらくしてブラジル人のウェイター氏がやってきて、アップルパイは売り切れだというのでワッフル二つにした。このワッフルは大正解で軽くて癖がなくホイップクリームとうまくあって非常に美味だった。

日はすでにどっぷりと暮れている。とりあえず皆お茶で満足してしまい(笑)、一旦車に戻ってから、シドニー市内の夜景を一望できるノースヘッドのほうに向けて車を進めた。残念ながらこの時期時間が遅くて中には入れなかったが、それでも途中で車を止めて見ると、それは美しい。まさに100万ドルのシドニーの夜景といっても過言ではない。香港では100万ドルの夜景というが、香港は東京以上に空気がよどんでいて汚くて昼間の香港は恐ろしくバッチイから夜景しか価値が無いともいえる。だが、ここは違う。昼間も夜も大変に美しい。空の青さときたらそれはもう…。しかし、周囲は真っ暗で人っ子一人いないから、よく知った地元の人と一緒ならいいが、レンタカーでなれないシドニーという場合は常識的な安全上の理由からあまりすすめられない。

このあと、彼は車を私たちの宿であるStar City Hotel and CasionoのあるDarling Harborのほうへと進める。途中、またもや高級住宅街を通り、まわりの家は数百万AU$から千数百万AU$もするという。驚いたことに、彼の父親もその一角に家を持っているのだという。うーん、お金持ちのお坊ちゃまだったのか?(笑)。

Iさんとサヨナラ

走ること30分くらいだろうか、高級住宅地ツアー(笑)から普通の住宅地になり、やがてHarbour Bridgeを渡り、Darling Harborに入ると、Star Cityは目の前だ。Star Cityのハーバー側(ホテル正面ではないほう)に車が横付けになった。ここで彼にもやはり渡すものがあるが、部屋においてきてしまった。彼ら夫婦と筆者の妻子はしばし車のところで待っていてもらい、いそいで部屋にお土産を取りに行って戻ってきた。

彼はAさんのように頻繁に日本にくることもないので次にいつ会えるかもわからない。彼の奥様は日本は行ったこともないし、日本人の知り合いというのもおそらく居ないかごく少数であろう。シドニーのことは大変気に入ってまた是非遊びにきたいと本気で彼らと話していたのだが、別れ際には、夫婦で異口同音に次に来るときはホテルは取らないで是非自宅にとまるようにとすすめてくれた。

夫婦の子供は既に大きくなって独立しているらしいから部屋は余っている。また小さいながらもプールがあるしビーチも近いので是非夏(=日本の冬)に遊びに来いという。ゆっくりと休暇を過ごすにはもってこいの場所だから、次にシドニーに来たときは自宅に泊まれとまじめ顔で強く勧めてくれた。そういえばマウイの友人も勧めてくれたっけ…。だが、そんなふうに薦めてくれる友人の住んでいるところにかぎってなかなか訪れるチャンスがないのは皮肉なものだ。

夜食

結局、今日は昼のパスタがしっかりしていたので、お腹があまりすかないまま夜を迎えた。シャワーを浴び終わって旅行記を書いているころになってさすがに小腹がすいてきたので、買っておいたマギーのカップ麺(チキン)を作って子供と食べた。マギーのは袋麺でもカップ麺でもチキンが日本人の舌にはあうのではないか。スープの感じはエースコックのワンタンメンにちょっと近い。

[夜食メニュー]

AさんとIさんに感謝

ともあれ今日は、知人夫婦二組に大変お世話になった。貴重な日曜日の半日をそれぞれ筆者家族のために費やしてくれて、それも筆者が大変好むような、普通の観光地ではない、素朴だけれど地元っ子ならではという場所に案内してもらえて、それはもう感激だった。あらためて彼らに感謝。

(第3日目終了) 

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