現地第八日目 (2005/5/12[木])
天候:小雨

最後の朝

目覚ましは午前4時35分という半端な時間にセットした。不思議なことに目覚ましが鳴る数分前に目が覚めて、目覚まし(宿備え付けのもの、Nokia 3120携帯内蔵のもの、愛用旅行用の目覚まし時計)もなる前に止めた。

昨日のうちにパッキングはほとんど済ませており、あとは洗面用具の一部(ハミガキとか)、パジャマ代わりのトレーナーくらいだ。パジャマ代わりのスパッツのほうはかなりくたびれてきたので、長い間旅行でお世話になったがこれでお別れだ。スリッパは我が家は毎回古くなったものを一旦洗って海外旅行に持参して滞在中ホテルで使い、そのまま捨てて帰ることにしているので、スリッパもお別れである。

朝食は結局カレーフレーバーのヌードル。まあ、飽きずに七日間毎朝インスタント麺にしたものだ。カップ麺を買うならお勧めはチキンかカレーフレーバーである。ビーフはちょっと癖があるので好き嫌いがあろう。もちろん日本人の舌に良く会うのは日本のそれに決まっているし、種類の多さでもダントツだ。他にバナナ、オレンジジュース、紅茶で朝食をとり、着替えをして最後のパッキングを済ませスーツケースを綴じる。

[朝食メニュー]

筆者は一人旅のとき、滞在中であっても朝部屋を出るときは基本的にほとんどのものをスーツケースにしまってスーツケースベルトをかけてクロゼットにスーツケースをしまう。決してスーツケースを開きっぱなしとか出しっぱなしにしないし、部屋の引き出しに衣類を入れたりはしない。もちろん月単位の滞在になれば別だろうけど…。

何度も忘れ物がないか、ベッドルームやバスルーム、ダイニングやリビングを確認する。こういった確認をするとき人間というのは見ているようで実は見ていないことも多いので、電車の運転手よろしく指差しをして声に出して確認する。傍目で見るとヘンな感じだと思うが、これはポカ忘れ防止に絶大な効果がある。一度お試しあれ。

さよならSpring Hill Mews

さて、時刻は5時50分。外はまだ真っ暗だが、ぼちぼち時間なので外へ出なくてはならない。昨日おばちゃんに聞いたとおり、電話代をメモとともにテーブルの上に残しておく。電話代というのはPCでモデム接続したからだ。だが、昨夜はイマイチ調子がわるく(PCではなくてローミング先などの問題だろう)、応答がなかったり認証が通らなかったりして四度ほどやって断念した。

今回最初はいつものようにSo-netのローミングを使ったが、初めて@niftyの定額ローミングを使ってみた。接続完了までの時間がこいつはえらく遅い。So-netは普通の時間だが、@niftyのほうは通信経路として繋がって接続アイコンがタスクトレイに出てからが長い。

それはともかく、6時ほぼ丁度にタクシーがやってきた。実際にはこのときはまだ雨は降っていなくて、万一タクシーにすっぽかされても、かなりの余裕で駅まで行って電車で空港に向かって平気なだけの時間を見ている。飛行機に乗るときは時間がぎりぎりより余るくらいのほうがはるかに良い。

タクシーで空港へ

空港までの道路はすいているけれど、それでも20分以上かかった。タクシードライバーといろいろ話をしたが、とくにこの時期は通常は雨はほとんど降らないのだそうで、今年は特別のようだ。似たような台詞を昨年同時期のトロントでもカナディアンの友人から聞いたことがある。そうえいば、昨年その友人の実家を訪れて両親ともお目にかかったが、妻によればお父さんからカードが来ているそうだ。なんとも嬉しいことである。彼らが日本に来たら(友人が再び日本で働くことになったら〜その可能性は高いらしい〜また遊びにくるという)ぜひ会いたいものだ。

さて、タクシーの運転手の話だが通常はカラカラなのでこのところの雨は歓迎だという。観光客にとっては通常であればいつだって快晴であってほしいが住んでいるほうとしてはそうはゆかない。ニュースでも "Welcome Rain!"と報じていた。天気図でも丁度気圧の谷がオーストラリア東海岸に停滞しているようで、その影響で東海岸は広い地域で雨(小雨、シャワー)の様子だ。ケアンズもシドニーも例外ではないもよう。

ふと思いついてメルボルンへ行った事があるか?と尋ねると、あるという。どんなところかと聞くと、ブリスベンの人口は200万人だが、メルボルンは400万人でいいところだが大きな街だという。ほとんどニュージーランドの人口じゃないのさ。でもちょっと興味有りだな、とか思ったりする。

Brisbane Airport

6時半前に空港に到着。まずは重い荷物を預けてしまうためにチェックイン。チェックインは特に問題なく終了。セキュリティチェック前にもいくつかの店があるので見て回るが別に大したものは無い。

以前は空港で洋書を結構買ったものだが、今回は空港で買うのをやめた。というのも、昨今洋書は洋販が値下げしているし、Amazon.co.jpではさらに種類豊富に安くで納期も比較的短くて買えるからわざわざ空港といった高いところでかうこともあるまいというわけだ。日本では書籍は再販制度が適用され、どこで買っても基本的にはその場の支払は定価通りだが、海外では違うことが多いようで、米国やオーストラリア、ニュージーランドなどもディスカウントされているところが結構ある。

さほど広くは無いが明るくて気持ちよいチェックインカウンター

筆者が、昨日Myer CentreのQBDという書店で購入した"DEEP BLACK:BIOPWAR"という書籍はAU$9.95だったが、空港の書店ではAU$28近くの定価販売である。いくつか書店を見たが、さすがにDAN BROWNといった新刊でベストセラー真っ最中のものはどこでも同じような値段でほとんど差が無い(厳密には多少差がある)が、そうでないものは随分差がある。ブリスベンではこのQBDという書店が結構安い。読みたい本が決まっているなら別だが、そうでないならQBDか、あるいはショッピングセンターの中で結構書籍のワゴンセールをやっているので、そういうところから探すのがよかろう。

出国手続

さて、チェックインも終えたしまずは中に入ってしまおう。日本の空港と違って、筆者の経験の範囲では海外の空港は大抵は制限区域内にもいろいろな物販店が多く、免税店しかないクソッタレ成田空港とは段違いなのである。法的な問題などあるのかもしれないが、もう少し利用者の立場に立ってほしい。混雑時などは早めにセキュリティチェックを受けるようにとアナウンスしているが、早めに入っても時間をつぶす店も無い。また、海外では到着ゾーンにも免税売店があるところが多いが、日本でもこれをやればかなり売れると思うけどなぁ。

成田ではパソコンをもっていても出せとは言われないが、海外では大抵別にX線検査をうけさせられるし、時には起動してみろとか、バッテリーを外して再度通せとかいわれる。今回は、事前にパソコンを持っているから?と聞かれ、持っているというと、それでは出して別にX線を通すようにいわれる。

パソコンとリュックとジャンパーを別に通して特に問題なし。と思ったら、X線検査と金属探知機を抜けたところで係員がリュックを指差して、傘を持っているか?という。確かに持っている、それもトロントで買ったやつを滞在中もいつも持ち歩いていた。傘をリュックから出せという。その後、女性の太ったおばちゃん係官が「クロジャバ(バはほとんど聞こえないくらい)」と言った。はん?「Sorry?」と聞き返して二度目に理解した。"Close your bag."だったのである(爆笑)。うーむ、空港でこういうシチュエーションで聞き取れなかったことはなかったが、まだまだ修行が足りんな(笑)。おばちゃんは傘を開いてみて確かめ(傘は凶器にはならんだろう…)、再度X線を傘とバッグ別に通して納得したらしく"Thank you."と無事終了。傘を出してくれと言われたのは初めてじゃのう。

制限区域内のショップ

中に入るといくつか店がある。しばらくいろいろ見て回るがあまり興味を引くものはない。コーヒーが飲みたくなったのと、ちょっと小腹が空いたので何か探すが、どうもアホラシイ値段がついているのはいずこの空港も同じ。普通のトーストでいいんだが…そういうものはないので、"FINE FOOD"という店で、カプチーノの小(AU$3.80と高い)、ガーリックトースト(サンドイッチ用みたいな薄い奴がAU$2.95)を頼んで休憩。この後、この店で知人のお土産にオーストラリア産のマカダミアナッツと自分のために小さなKIT KAT BITE(KIT KATのチョコボールのようなやつ)を購入。さらに別の店で、いざお土産が足りないというときのために一応マカダミアナッツチョコレート3パックを購入。コアラのクリップ1個のオマケ付き。

制限区域内のショップやカフェ

JL762

成田へ向かうJL762便に搭乗したのは、8時40分ごろだ。同便は残念ながらB747-400(通称dash400)ではなくB747LRで個人テレビのないタイプ。JL762は予定時刻10分ほど遅れて飛び立っち7000kmあまり先の日本へ進路を向けた。さよならブリスベン。機会があったらまた来るよ。オーストラリアはまだまだ行きたいところが沢山あるのだよ。

シートベルト着用サインが消えた。筆者の席は帰りは通路側を選ぶことにしているが31Cで、31A-Bと年配の夫婦が乗ってきた。うわ、三列フルかよ。しかしシートベルト着用サインが消えたら結構空いているし、客室乗務員が三列フルのところには空いているところへ移ってどうぞと声を掛けているので、即座に移動。移動先は35Cで後ろがドアのところ(つまり気兼ねなく倒せる)。さらによいことにここは誰も座ってこない。つまり往路と同じ三列独り占め。

10時35分、機内食のランチが配られる。過去JAL機内食では日本行き便の鳥料理で何度もしくじっているので、素直にポークカレーを選んだが、なんと、カツカレーだった。うまいというほどではないが満足。他に、五目寿司(こちらはちゃんと酢がきいている)、ポテトサラダ、パン、Japanese sweetとして大福饅頭が一個。とりあえずお腹一杯。

[昼食メニュー (機内食)]

三列をフルに使ってシートに足を伸ばして楽チン楽チン。ただ、窓際に体を持たれかけると映画が見えないってーんで、映画を見るときだけ35Cに座る。あとはABC全部使って足を伸ばして、昨日買ったペーパーバックを読み始める。

16時35分ごろ、軽食。JALはこの軽食がまずくてヘンなデニッシュのことが多いが、今回は珍しくまっとうでパストラミサンド。うまいとはいわないが機内食の軽食としてはかなりまっとうなほう。ほかにフルーツゼリー(パイナップルと黄桃)、ビスケットだった。

[軽食メニュー (機内食)]

成田到着

その一時間ほどあと、17時40分ごろだろうか、着陸態勢に入るのでシートを戻して35Aに普通に座る。もどってきちゃったよ〜、うぇーん、戻りたくなかったよ〜。到着したのは第二ターミナルのはずれのほうでタラップで下りてバスでターミナルに向かう。

入国手続はすぐさま終了するが、例によって成田は荷物がでるのが本当に遅い。今までの経験では平均的には他国のどこの空港より遅いのである。どうなっているのかわからないけれど、他のところは大抵もっと早く出てくる。カートのそばで待ち飽きたころにようやくスーツケースと予備バッグ(衣類)が出てきた。

特に問題なく税関も通ったが、筆者の数列前方に座っていて黒いパンツで黒いTシャツ、丸刈りにピアスを口につけた兄ちゃんは、トランクの全開検査を受けていた。子連れの家族連れだとまず何も起きないが、男性の一人旅ってのは行き先によっては面倒な検査を受けることもあるようだ。

筆者はニュージーランドとかオーストラリアとかカナダとかせいぜいハワイくらいしか一人で行かないし、それも日本との間は直行便なので滅多なことはない。これが東南アジアに一人で行くとどうなるかわからない。筆者の会社の同僚は仕事でよくシンガポールで仕事をしたあとオーストラリアにも仕事で向かうことがあるが、彼はオーストラリアでは毎回バッグにスーツケースフルオープン検査を受けさせられるというのだ。寄港地の違いか、それとも人相の差か(笑)。

電車は日暮里に到着し、山手線に乗り換える。それにしても、京成のホームにはちゃんとエスカレーターがあるのに、JR山手線ホームには無いとはこれはJRの陰謀に違いないといつも思う。

違和感

丁度ラッシュ時の山手線ターミナル駅で乗り換えるとき、東京のあまりの人の多さ、殺伐とした雰囲気というか一触即発の危機をはらんだ殺気を感じた。人間には他人との一定の距離が必要だが、今の東京の人口密度はそれを確保することを許さない。他人との距離が近づくと人は殺伐とする。本能的な縄張り意識と自己防衛本能だろうか。東京は大好きな街ではあるが、人が多すぎて人が人の心をもって生活できない場所でもある。やはりここは長い間人の住むべき街ではないと感じる。今の東京に長い間すむことは自分を失うことでもあるような危機感を感じた。

(おじさんブリスベン一人旅終了)

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