「お替わりはいかが? 〜1322〜」

1999.02.15 (Mon) ==========================

□ M32トラブル 〜3〜

 落ちたモジュールはVBA332.DLLであるといっても、それは元々の悪さではな
いことが多く、もっと処理の手前のほうの何らかのエラー、それも本来はそこ
で救うべきエラーが救われなくて後々まで影響を引きずり、ついにここへきて
破綻したということが多い。私は長年ソフトウェアを作って食ってきたから、
こうしたことが大いにあり得ることなのが想像がつく。想像はついても、完全
ブラックボックスのアプリケーションだからユーザ側ではどうにもならない。
もっとも例えばトレースができたところでソースコードやモジュール設計書が
ないと、ほとんど無意味であるのもこれまた事実なのだが。

 簡単に Word98 といっても非常に巨大なアプリケーションである。ワープロ
として眺めてみても日本市場ではジャストシステムの一太郎としのぎを削り、
その機能はどんどん肥大化してゆき大きく重くなってしまい、あまつさえビジ
ュアルベーシック (Visual Basic) スクリプトでプログラムというかマクロま
で組み込むことができるようになった、もはや一つの処理系と化している。

 さらにやっかいなことに、Windowsアプリケーションの多く、とりわけマイ
クロソフト社製のアプリケーションに言えることは、Windowsシステムとべっ
たりくっついたものが多く、Windowsシステムディレクトリにきらぼしのごと
くDLLをはじめとする種々のファイルをまき散らすのである。きらぼしのごと
くといえば聞こえはよいが、きたなく汚しまくるといったほうが正しい。アプ
リケーションの構造や規模にもよるのだろうが、アプリケーションディレクト
リ内だけで閉じており、システムディレクトリやシステムファイル、レジスト
リには一切手をつけないお行儀の良いアプリケーションも居るのだが、それは
例外であり、多くはシステムを汚しまくるし、おそらくはそうせざるをえない
のであろう。特にマイクロソフト系のオフィスアプリは最悪といってよいレベ
ルで、Windows95がデビューしその後Office95がデビューしたとき、Office95
を動かす為に、Windows95のシステムを書き換えたというのは有名な話である。
実際にどこをどう書き換えたのは知らないが、事実だとするととんでもない話
で、一般のアプリケーションベンダーではやりたくてもできないし、やっては
いけないこと鉄面皮にもやってのけるところが、いかにもマイクロソフトであ
る。どう考えてもあの会社は、アプリケーション部門とOS部門を完全分社すべ
きであろう。他との競争がフェアではないとかそういう問題より前に、OSから
アプリケーションまで全てを一手に握ることでどんどん腐って行くのである。
いや、もう腐りきっているのかもしれないが....。

(続く)