「お替わりはいかが? 〜1326〜」

1999.02.19 (Fri) ==========================

□ 車内の携帯電話

 携帯電話の普及率は鈍化するどころか益々台数は伸びているらしい。実際問
題、朝や夕方の通勤車中などで注意深く眺めていると、かなりの人が携帯電話
をもっていることに気づくであろう。この時間帯に限れば普及率は八割を越え
るのではないかと想像している。

 個人的には電車の中の携帯電話の使用マナーは普及し始めたころよりはマシ
になっているような気がする。昔はあまり聞くことができなかったが、今はよ
く耳にするのが、「今は電車の中だから後でかける」という台詞だ。やむを得
ず小さな声で口元に手を当てて話している人もいるが、最低限の要件を短時間
に聞いてあとは電車を降りたらかける、と言っている人が増えてきた。

 電波発信によるペースメーカーなどへの心配がこれでなくなるわけではない
のだが、一頃よりマナーはマシになったと言う点ではそれなりに評価できる。
だが、全部が全部こんなによくなったわけではない。私の経験範囲では十代か
二十代の女性が、大きな声で周囲への配慮もなく電話の相手と二人だけの世界
に入り込んでいる人はまだまだ多い。

 先日も、勤め先から帰るとき、西武池袋線各駅停車で池袋駅からずっと電話
でしゃべり続けていた人が居た。私が乗ったのは豊島線直通の電車で石神井公
園とか所沢へは行かない電車であり、豊島線との分岐点である練馬駅で乗客の
ほとんどが降りてしまいガラガラになる。くだんの女性はそのガラガラになっ
た状態でもまだ大声おしゃべり状態だ。そして電車は豊島園に到着し残り少な
い乗客も全て降りた。私も当然降りたのだが、突然後方ですっとんきょうな女
性の大声が響き、ホームを改札へむかっていた人たちは何事かと一斉に振り向
いた。声の主はくだんの女性で、あきれたことにまだ電話でおしゃべりしてお
り、それも「やっだー、としまえんまできちゃったよぅ。けらけらけら...」
といった様で転げ回っている。どうやら練馬で乗り換えるか、途中の駅で降り
るつもりだったのだろう。居眠りをしてしまい乗り過ごしたというのなら良く
ある話だが、携帯電話の大声長話で乗り過ごしたというのは珍しい。

 電話ではないが、話をして乗り過ごしたことが私にもある。ある駅どまりの
地下鉄(東京ではない)にのって、その終点駅に気づかず友人と話し込んでい
たのである。ふと気づくと周囲に人はなく駅の先の留置線に入ってしまった。
そして通路を車掌氏が冷たい視線をこちらに投げかけながら、「もう少しした
ら発車します」と言い残して去っていった。これは実に恥ずかしかった。

 そんな訳で乗り越しそのものを非難する権利は私にはないのだが、だが、あ
の車中に響きわたるほどの大声携帯電話乗り越しはいただけない。正直なとこ
ろ、ざまあ見ろと思ったくらいだ。ともあれ、乗り越しにはご用心。