「お替わりはいかが? 〜1329〜」 1999.02.22 (Mon) ========================== □ キラウェア火山 昨日の日曜日、午前9時半から11時までNHKのBS1(およびハイビジョン)で 「これがハワイ島キラウェア火山だ」という番組をやっていた。生中継(現地 時刻では土曜日の午後2時半から4時)というのがこの番組のウリの一つだろう。 この島は、ハワイ諸島の中では、最も東にあり、合衆国五十州の中で最も南に 位置し、ハワイ諸島では最も面積が大きく、同じく最も新しい島、まだ火山が 活動しており、地球の息吹を直に感じることができるところだ。 私と家族はこの番組を、おそらくは他の多くの視聴者とはことなった感情を 持って見ていた。理由は簡単で、およそ一月半ほどまえにハワイ島を、キラウ ェア火山を訪れたばかりであるからだ。この番組を家庭用の小さなテレビで見 ている限りは、世界でも有数の規模の活火山であるキラウェア火山の迫力は伝 わってこない。それは丁度ジャングルのど真ん中からテレビ中継をしてもその ジャングルの大きさ・深さは伝わらないし、太平洋のど真ん中から中継をして もやはり大海原の広さは視聴者には伝わらないのと同じである。つまりそれだ け規模が大きいということだ。 キラウェアの噴火による溶岩流は島の南へと流れ込んでおり、今でも真っ赤 に煮えたぎる溶岩が海にそそぎ込み、海水は瞬間に沸騰して水蒸気となり白い 大量の湯気となって立ち上っている。その溶岩流の東側には昔カラパナという 街があったのだがほとんど跡形もなく溶岩に飲み込まれた。このカラパナに近 い溶岩流の端のほうから海岸にむかって歩いて行くと、あたり一面は黒々とし た溶岩ばかりである。遠くには緑の林が見えるがそれ以外はどこを見ても一面 真っ黒なのだ。いたるところに亀裂が走っていたりおおきくうねっていたりす る。そこにたつと、この大地は生きている、いや、まさに地球は生きているの だと足下から伝わってくる。ところが、当然のことながらテレビではこれが伝 わらない。これがかりに360度の立体映像であっても、この生きている大地の 感じは絶対に、絶対に感じることができまい。キラウェア火山のあの大地にた ったその時、目の前に広がる巨大なクレーターを見たとき、溶岩トンネルを自 分の脚で歩いた時でないと大地の命を感じることはできない。 そういう意味では、キラウェア火山のあの大地に立ったことのない人には、 「ふーんすごいね」とか「なんか何にもないね」という感想しか出てこないか もしれないが、それを責めることはできない。番組のアナウンサー達は若干上 気気味であるかのようにみえたかもしれないが、あの生きる大地の上にたって 淡々と冷静でいられるほうがおかしい。なんといっても世界でも有数の規模の 火山なのだから。