「お替わりはいかが? 〜1330〜」

1999.02.23 (Tue) ==========================

□ 家を買うということ 〜1〜

 私自身は、親から独立して以来幸か不幸か持ち家というものを持ったことが
ない。しかし、父(と私たち家族)はかなりの回数の引越を経験しており、祖
父母の家はもとより、公団賃貸に住んだり、民間分譲マンションを二度ほど買
ったり、建て売り住宅を一度買ったりし、そのうえ一時期はマンションの自治
会長もしてマンションの定期修繕に奔走していたこともあった。従って父とそ
ういう話もする機会もそれなりにあったわけで、マンションなり一戸建てを買
うとき、いや、正確には買ってからどういう費用を見積もらねばならないか、
くらいはそこそこ理解している。

 まずは分譲マンションについて私がどう考えているかだ。分譲マンションは
決して財産などではなく「買い捨てる物」であるというのが大前提だ。分譲マ
ンションに資産価値など無い、転売で買い手が見つかればラッキーで、さらに
自分の買値より高くうれればそれは奇跡であるということだ。もちろん最初か
ら資産価値を狙った物件もあるが、それらは立地条件が非常に良く、建物その
ものの管理体制もしっかりし、居住者マナーもよく、専有面積もかなり広い物
だ。当然これらのものは俗に言う「億ション」であり、私ら貧乏サラリーマン
に手が届くしろものではない。ちなみにこの億ションを買う費用で、ハワイ島
だと5ベッドルームにプール付きの家が買えてしまうのだが...。とにかく資産
価値を維持できるような物件は初期投資も月々の維持費もかなりの額になるこ
とは確かであり、多少大げさに言えば、それ以外は住み捨てる、買い捨てる覚
悟が必要だ。

 分譲マンションを買う場合、代金を即金で支払うような恵まれた人は非常に
希であり、ほとんどの人はローンを組む。このローンの組み方も問題だ。ロー
ンを返すのに夫婦共働きをする人もいるようだが、私にはとうてい信じがたい
無謀な行為だ。夫婦が働いてようやくローンを返済でき、生活も維持できる状
態というのは非常に危険だ。家族の誰か、仮にそれが夫婦ではなく子供であっ
たとしても、病に犯され入院でもしたらたちまち妻の収入は途絶えてしまう。
大黒柱については、所得補償保険をはじめとしてある程度は保険でカバーでき
るかもしれないが、パートやパートに毛が生えた程度の他方の配偶者にはそこ
まで手厚く保険をかけている人はいまい。第一そんな保険掛け金の余裕がある
かどうかさえ怪しい。とにかく借金をして家を買い、借金を返すために共働き
をするというのは、私にはおよそ考えられない行為である。

(続く)