「お替わりはいかが? 〜1343〜」 1999.03.08 (Mon) ========================== □ PDAの比較? 〜1〜 最近ある月刊誌(コンピュータ関係の雑誌ではない)にモバイル特集という 訳の分からぬものがあった。最近何故か「モバイル」という言葉をマスコミ、 とりわけ雑誌は頻繁に使いたがるようで、モバイルを知らぬは現代人にあらず といった風潮すら感じる。そもそも「モバイル」という言葉の元々の意味を知 って記事を書いているのだろうか。モバイルとは英語で"mobile"と書き発音も かなり異なるし、意味は「動きやすい」とか「機動性がある」とか「自動車」 とか「動く彫刻(モビール)」などをさす。いろいろな雑誌を読んでいると、 どうも「機動性のある電子機器全般」のことをくだんの月刊誌ではさしている ようで、記事をみると携帯電話、携帯パソコン、情報交換機能の付いた多機能 携帯電話(i-mode端末など)、デジタルカメラ、PDA・電子手帳の類を十派人 からげにして「モバイル」と名付けているようだ。これをいいとかわるいとか は言わないが、どうも「モバイル」という言葉から想像するものは人により結 構差がありそうに思う。 それはともかく、その記事の中でPDAについての記事があり、WindowsCE採用 のPalmsize-PC「CASSIOPEIA E-55」と最近日本語版が発売されたPalmOS採用の 「WorkPad(PalmIIIxの日本語版)」が比較されていた。 PDAというのは使ってみるとわかるのだが、それこそ手帳のごとくビジネス シーンや外出時には必ず身近に持っているべき物で、その使い方や要求する機 能は所有者の職業・職種や生活時間帯、ライフスタイル、通勤環境、嗜好など で実にさまざまになる。毎年年末になるとデパートや大手文房具店の店頭には ところ狭しと多種多様な手帳が並ぶのも、それだけいろいろなニーズや好みが あるからに他ならない。こういう道具(衣類で言えば肌に近いという表現にな るであろう)は一概に良いとか悪いとか言える物ではない。どんなPDAでもそ れぞれに狙ったユーザ層があり、横一線に並べて比較できるような代物ではな いのは明白だ。つまりカタログスペックでCPUは何MHzでメモリは何MBで、など という比較はナンセンスであるとしか言いようがないのである。 パソコンのスペック競争がマスコミの素人記者を毒しているのか、どうも CPUのクロック周波数やメモリ容量は大きければ大きいほど良い、といった風 な論調記事が多くて、さきの記事とて例外ではなく、実に無謀なことに CASSIOPEIA E-55とWorkPadのCPU周波数を比べているのである。片やRISCチッ プで片やCISCチップであるという違いは無視するし、OSの違いもほとんど無視 していきなり何MHzと何MHzだからといった話題の展開をしているのは、記事の 書き手の認識の浅さというか知識の薄さとPDAの何たるかを理解していないこ とを如実に物語っている。 (続く)