「お替わりはいかが? 〜1349〜」

1999.03.14 (Sun) ==========================

□ PDAの比較? 〜7〜

 さて、最後にくだんの某雑誌が触れていたメモリ容量である。まず現行製品
ではWorkPadは4MB、E-55は16MBである。単純計算E-55はWorkPadの四倍のメモ
リを搭載しているから数字だけみれば確かにE-55のほうが多い。

 だが実際には、このメモリの使い方が全然違うのである。WorkPadのメモリ
は、全部がCPU用のメインメモリ(実行用メモリ)であるのに対し、E-55は実
行用メインメモリ(Windows95/98/NTでいうメインメモリと同じ意味)と、プ
ログラムやデータを記憶するためのメモリファイル(RAMDISKみたいなもの)
を兼ねている。つまりプログラムはそれ自身が記憶される領域と、実行時にロ
ードされて展開される領域が必要なのだ。

 たとえば、E-55の16MBのうち、実行用に8MBとると記憶用には8MBしかのこら
ない。実行用8MBというのはこれは複数のソフトウェアを起動すると、それら
のソフトウェアや作業領域が全部メモリ上に展開されるため、意外と容量が食
われてしまい、内蔵PIMソフトやらフリーウェア・シェアウェアなど複数を起
動するとたちまち食い尽くしてしまう。その上、内蔵PIMには終了機能がなく
メモリが足りなくなったらOSが勝手に終わらせてしまうような仕様になってい
る。現実にはここまでくるとソフトウェアの切り替えや動作そのものがかなり
亀になってきて耐えられなくなる。面倒だが別の手段でこまめにソフトウェア
を終了させるかリセットをかけるしかない。なんともひどい設計だ。

 一方WorkPadのほうは、全部メインメモリでありファイルとして展開するの
ではなく、メモリ上に全部展開してしまいアプリケーションを実行するときは
それらをロードせずにそのまま実行してしまうようだ。だから記憶するためと
実行するためというダブりがなくてすむ。

 さらに決定的に違うのは、プログラムサイズである。E-55用のプログラムは
小さいものでも数十KB、大きくなると200KBをこえるものだって少なくない。
その一方WorkPadのプログラムは小さい者だと数KB、大きいものでも20〜30KB
程度(例外的にプログラム内に多くの情報データを持ったものはもっと大き
い)程度で、およそE-55の十分の一といってもよい。

 こういう差があるから、単純にWorkPadの4MBとE-55の16MBを比較してE-55の
ほうが大きいからと手放しには喜べない。ただ電池駆動時間はさらに短くなる
がE-55にはコンパクトフラッシュという数十MBの補助記憶が使えるが、
WorkPadのほうではそういう汎用補助記憶は使えない。もっとも、PDAでそんな
でかいデータを必要とするような使い方が数多くあるかというと非常に疑問で
はある。

 とにかく、某雑誌で単純におそらくは使い込みもせずにカタログだけか、ち
ょっと表面的に触っただけで比較しているような軽率な記事にふりまわされて
はいけない。

(完)