「お替わりはいかが? 〜1358〜」 1999.03.23 (Tue) ========================== □ 茶碗蒸し 私が好きな料理の一つが茶碗蒸しである。自分でも時々つくるのだが、これ が何度作っても難しい。私が好きなのは具に牡蠣を使った茶碗蒸しである。茶 碗蒸しの具と言えば、鶏肉や銀杏が一般的であるがこれらではあまり美味しい、 という感じがでないのだ。牡蠣をつかうと牡蠣の風味が全体にひろがり、牡蠣 の味が卵にしみ出て非常に美味なのだ。 まず、用意するのは出し汁。これは鰹と昆布でとった出し汁であり、間違っ てもインスタント出しの素などつかっていけない。味の濃いみそ汁系に、間に 合わせの緊急避難でインスタント出しの素を使うくらいが限度だ。微妙な味付 けの茶碗蒸しや吸い物などには間違っても使うべきではない。そんなものを平 気で使う奴は愚の骨頂以外の何物でもない。そして卵汁とあわせるから当然十 分にさましたものでないといけない。まだ暖かい出し汁なんかつかったら、た ちまち卵の中のタンパク質が固まってしまう。 次に卵である。卵と出し汁の割合は概ね卵1に対して出し汁3程度が手頃。好 みとしてはもう少し出し汁が多い1:3.5くらいでも良いと思うが、これ以上出 し汁が多くなると、固まりにくくなってくるし、卵が多すぎると茶碗蒸しでは なく卵豆腐になってしまう。卵と出し汁をあわせてよく混ぜる。そして二度ほ どこすのである。本当は裏ごしのような目の細かなものを使うのがよいが、と りあえず網のお玉でもよい。二度ほどこすと卵の混ざらなかったもろもろなど がこしとれてなめらかになる。これをやらないと蒸し上がったときに、あちこ ちに白い固まりや黄色っぽいかたまりがあったりしてよろしくない。 具は私の推薦は牡蠣だ。新鮮な牡蠣を一人当たり二つ〜三つほどもあればよ かろう。牡蠣のシーズンは"R"の付く月だとも言われており、単純には九月か ら四月まで、まあ、安全を見れば十月ごろから三月までであろう。では、牡蠣 の無いシーズンはどうするか。私が美味しいと思ったのは、ホタテの貝柱の缶 詰である。すでに加熱調理してあり柔らかく、これまたものすごく良い味が卵 にしみ出る。ホタテなら缶詰の貝柱を一人当たり一つか二つほどでよかろう。 銀杏は定番だが、あまり美味い物でもない(あれは絶対焼いたほうが栗のよう になって美味い)のでお勧めできない。これらを蒸し茶碗にいれて卵液を注ぎ、 器の内側の周囲の泡を丁寧にとる。 蒸し器のほうは、がんがんに湯気を立てておき、そのなかに蒸し茶碗を入れ て最初は強火で失った蒸気を復活させ、同時に周囲を固めてしまい出しだけが しみださないようにする。時間的には一分から二分程度で表面をみてかたまっ ているようなら火を弱火に落とす。大切なのはここから先で、蒸し器の蓋をほ んの少しずらすなどして隙間をあけてやるのである。こうしないと温度があが りすぎてすが入ってしまう。こうして弱火で十数分から二十分ほど蒸せば美味 しい茶碗蒸しの出来上がり....の筈だ。 まあ何度も失敗しなくてはうまくならない。何度やってもなかなかこれだ、 という蒸し上がりにはならない。が、しかし、うまくやれば見かけはそこそこ でも味はかなり良い物ができる。