「お替わりはいかが? 〜1360〜」

1999.03.25 (Thu) ==========================

□ 不審船問題

 一昨日あたりから日本の船名を名乗っている不審船の問題が新聞やテレビニ
ュースを埋め尽くし、世界の主要な国は出来事そのものは些細なことだが日本
の対応を注目している。国内のメディアには極端に攻撃的なタカ派の意見から、
極端に弱腰なハト派の意見までが入り乱れているが、こういういろいろな意見
が堂々とでることそのものは、民主主義がかろうじてまだ我が国にも生きてい
ることを示しているようだ。もちろん特定のメディアに着目すれば、ハト派的
な意見でといつしているもののあるし、その逆もある。だから、特定のメディ
アだけに注目してその影響だけで自分の意見がそれに左右されるのは非常に危
険であり、それこそメディアの世論誘導の罠にはまる。新聞やテレビだけでは
なく、WebのニュースやE-Mailのニュースサービスなども利用して、より多く
の報道と論調に耳を傾け多様な情報を収集することが肝心だ。

 いろいろなメディアからの情報から想像するに、どうやら不審船は北朝鮮の
スパイ船あるいはスパイ母船とみるのが妥当なように思える。日本には外国の
諜報員の動きを関している公安関係の警察の部門があるが、法に触れない限り
監視にとどまるのが通例で、欧米諸国にくらべるとその対応は非常に手ぬるい
のが実状らしく、その結果日本はスパイ天国などと言われている。

 北朝鮮の現政権は経済困窮の中でもいまだにハリネズミ政策をとり、いっこ
うに軟化する気配はない。北朝鮮国内の国民生活の現状というものが情報とし
て国の外へほとんど出て行かないため、経済困窮状況でのハリネズミ軍事傾倒
政権の影響が、実際の国民生活にどの程度の影響をあたえているのかは、想像
の域を脱しない。だが、ときおり漏れ出る情報に耳をかたむけていると、実体
はかなり苦しいらしい。なぜ、こんなことを書くかというと、問題視するとす
れば、それは北朝鮮という国や国民ではなくその政権と政策であることを強調
したいからだ。

 朝鮮半島で紛争がおこれば米国も黙ってはいまい。そうなると日米地位協定
に基づき日本は後方支援という形ではあるが、民間空港の米軍が利用すること
になる。これを単なる後方支援と言って眺めていては大きな間違いである。相
手にしてみれば自国を攻撃していくる航空機が離着陸している空港をたたくの
は当然であり、対ミサイル防空能力がほとんどない日本は相手に攻撃能力さえ
あれば非常に簡単な的であろう。

 とにかく、日本は地理的にも立場的にも、北朝鮮がかたくなにハリネズミ軍
事政策をとるかぎりはかなり危険な立場におかれているのだ。だからこそ外交
努力による平和的な解決が最も重要なのであるが、その一方で平和ボケせずに
自分の身は自分で守る努力も必須なのである。現状ではどちらか片方だけを重
点にするのは非常に危険だ。

 今回の不審船さわぎは軍事機密のベールのむこうであり、民間人による目撃
や調査などはないから、これはすべて世論をある方向に向けるための芝居では
ないという証拠も存在しない訳ではない。だが、しかし、自分の身を守るとい
うことについては、日本人も日本国もかなり平和ボケしているのは確かだ。も
うすこし目を覚ましたほうがよい。