「お替わりはいかが? 〜1367〜」

1999.04.01 (Thu) ==========================

□ 教員の人事考課 〜1〜

 民間企業の多くには、たいてい何らかの形で人事考課制度が存在し、その評
価結果に基づき昇進・昇格・昇給、時には降格・減俸が決められる。しかし、
世の中にはそうした評価制度がほとんど存在せず、さらに形ばかりの評価制度
はあるがそれが給与や賞与などには全く反映しないという、我が眼を疑うよう
な業界が存在するのだ。それは公立学校の教員である。

 現在の給与はほぼ純粋に年功序列的に決定され、一所懸命がんばって成果を
あげて同僚・上司(教頭や校長)・親の評価が高くても、のらりくらりと義務
的に形ばかりの授業だけを行い校内や親の評価が最低最悪であっても、それら
を反映した昇給や減俸あるいは移動などはまず存在しない。一所懸命に努力し
て成果を上げている教員が報われず、一方では教員失格の教師も同じ給料をも
らっているのは、どう考えても明らかに不平等(言い換えれば悪平等)であろ
う。

 しかし、その酷い制度もひょっとしたら東京都では変わるかもしれない。先
日東京都教育長の私的研究会「教員の人事考課に関する研究会」は、評価を待
遇や人事に反映させる新たな教育評価制度についての報告をまとめた。大まか
な内容は、
・自己申告制度を導入し、教員が校長・教頭との面接で教育目標を設定する
・自己評価にあたっては面接により助言を受け達成の度合いを評価する
・教員と日常的に接する教頭を最初の評価者する。
・面接だけではなく教育内容を把握するため授業を観察する
・クラスのマネジメント内容についても評価する。
・児童・生徒、父母らの意見を参考意見とする。
・評価結果を教員本人に開示し、フォローの仕組みも検討する。
といったものだ。これなどは私の勤務先でも随分昔から当たり前に行われてい
る評価内容にちかいものであり、個人的には全く驚くような内容ではない。

 この報告を受けて、東京都教育委員会は「できるだけ早い時期から実施した
い」としている。しかし、一方では例によって東京都教職員組合が反発し、毎日DailyMailの報道によれば、都教職員組合浦登書記長は「授業なども校長らの意
図した画一的なものになり、時代に逆行する。管理職の顔色をうかがう教師だ
けが生き延びることになる」と話しているらしい。

(続く)