「お替わりはいかが? 〜1370〜」 1999.04.04 (Sun) ========================== □ 都知事選挙 都知事選挙の選挙公報が新聞の折り込みで配達されてきた。一通り目を通し てみるが、これが毎度の事ながらあきれるほど情報が少ない。公職選挙法に乗 っ取った選挙公報としてはこれで役目を果たしているのかもしれないが、現実 の情報源としてははるかに不十分であり、これでは候補者情報の「じ」の字す ら得ることができない。公正な選挙のために制定されている法律に基づいた後 方だといってしまえばそれまでだが、これでは結局金や組織力のある候補者、 組織力のある候補者が、自力PRを大いにすることができ、弱小候補はこの申し 訳程度の広報に甘んじなくてはいけない。公平を目指す法律が不公平の原因に なっているような気がしてならない。もっとも近頃は政治無関心派が横行し、 内容を充実したところで無関心・無責任な有権者失格者どもがこうした広報を 読むわけはないから、税金の無駄遣いと言え無くはないかもしれない。 広報のスペースも内容も不十分すぎるのだが、その限られた内容をみている と、相変わらず美味しいことしか書いていない候補者が多すぎる。東京都の財 政は今は緊急事態に直面しているのは周知の事実であり、一歩間違えれば財政 再建団体に転落して自治権限を大幅に制限されてしまう。これは都民の一人と しては絶対に避けて欲しいと思っている。東京の主要自治権を国が握ったとこ ろで、今の国政を見ているとまともになるわけがないと思うからである。 ともかく、選挙の度に思うのは美辞麗句が多すぎることだ。財政再建、高齢 者や障害者福祉、障害者への物理的バリヤーの除去、障害者への心理的バリヤ ーが少なくなるような教育、少子化対策、小中高校の教育改革、先の見えない 湾岸開発への投資の再検討等々期待することは多い。しかし、全部を同時に完 全に満足せよというのは全能の神ゼウスではないのだから明らかに不可能であ ろう。どこかに重点を置き、どこかを徹底的に削り、どこかは先送りにしなく てはならないのは明白だが、このあたりになる諸団体や企業、官吏達の利権が 絡んできて一筋縄では行かなくなる。自分が期待するポイントと候補者が力説 する重点ポイントの接点を見いだすしかあるまい。そしてそれをよく記憶して、 在任中の施策や成果を事細かくチェックして行くのが私たち有権者の義務であ ろう。ただ、力説ポイントの中で実現性に疑問を持べき点がある。それは何か というと、具体的な財源案の提示もなく福祉の充実とか美味しいことを言われ ても現実味がなく、実行の段階では財源が確保できなくて頓挫するのが関の山 だ。 私が欲しているのは、オブラートに包んだ苦みの無い、甘いだけの公約では ない。苦い物は苦い、いくら苦くても飲まなければいけないものは飲まなくて はいけない、しかしその一方でこれだけはこういう根拠で成し遂げうるし、今 これだけは絶対にやらなくてはいけない、そういった確固たる主張である。有 権者も根拠のない甘い話しに釣られるようでは馬鹿と言って良い。自分にとっ て絶対譲れぬ所と、これは是認しようあるいは耐えようという点をはっきりす べきである。美味しい点だけを候補者に期待するのは甘え以外の何物でもない。