「お替わりはいかが? 〜1379〜」

1999.04.13 (Tue) ==========================

□ 次期東京都知事 〜2〜

 とにもかくにも選挙期間中の石原慎太郎氏の眼中には、どう控えめに見ても
東京都政というものが写っていなかったように思えてならない。一部報道では、
氏の主張があまりに国政レベルの話ばかりなので、選挙スタッフがあわてて福
祉などの項目を選挙演説項目に加えたという話すら伝えている。それが事実か
どうかは調べる術はないが、氏の演説内容を思い起こすに、まあ大いにあり得
ることだと思われた。そんなに、国政がやりたければ何故国会議員を辞めたの
か、そんなに国政がやりたければ何故首相にならなかったのか。氏が自民党総
裁選にすら出なかったのは、推薦人20名をあつめることすらできなかったから
らしい。そういう背景があるから、国政の夢を都政に持ち込んだように思えて
ならなかったのである。

 そして、石原氏は当選を果たした。氏の主張がどのように受け取られたのか、
あるいは主張など聞かず雰囲気だけで票を入れたのか、とにかく公職選挙法に
のっとり堂々と知事の座を獲得したわけである。昨日は早速在京のテレビ各局
にひっぱりだこだったようでご苦労様のお疲れさまである。いくつかのテレビ
での氏の話を聞いていると、現実に知事の椅子が確定したら、急に都政・都議
会が現実の物として見えてきたらしく、さすがに横田基地返却を叫び繰り返す
ようなことは少なくなった。

 東京都が直面する現在の最大の難問は七兆円にものぼる都債である。箱物行
政・建設行政の結果残ったのは不況と莫大な借金である。石原氏がこれにどう
対処するのか。氏はまずは都の全資産のディスクロージャだという。七兆円の
借金の一方で、三兆円近くの債権等があるというがその内訳や実体がわからな
いから、まずこのあたりからはじめて全てを日の光の前にさらせと言う。そし
て処分できる物は処分し、少しでも借金返済につなげてゆけばよい、というの
が昨日時点での主張だ。また知事交際費については全てを公開してよいといい、
キャスターからの、明に暗に知事にかけられた圧力という物を定例記者会見の
席などで公開してはどうか、という提案に賛意をしめしていた。確かに、今の
国政は永田町の暗闇の中、都政は新宿やらどこやらの奥深くで知らぬうちに動
いている現状はよろしくない。都民としても情報がないから善し悪しすら判断
できないのである。氏の確固たる主張と議論とやらで、ぜひとも全面ディスク
ロージャを実現していただきたい。氏のこの主張はしかと私の記憶にとどまっ
た。

 選挙時の空想的とも言える主張を批判するのはほどほどにして、これからは
新知事の手腕を拝見したい。いや、都民としては拝見ではいけない、都や都政
が自分に何をしてくれるかではなく、都民として都に何ができるかが重要なの
だ。自分の住んでいる街のことが高見の見物であってよいわけがない。

(完)