「お替わりはいかが? 〜1381〜」 1999.04.15 (Thu) ========================== □ 戦争マニュアル 〜1〜 先日の「ニュース23」においてキャスターの筑紫哲也氏は、今国会で審議中 の「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」は「戦争マニュアル」であ ると評していた。さらに同番組では、筑紫氏が元副総理の後藤田正晴氏との会 談した模様も放送されており、この中で後藤田氏は非常に興味深い指摘をされ ていたので、常日頃の私の主張とも合わせて考えてみたい。 そもそも日本は島国で近隣には韓国、朝鮮、中国、ロシア、台湾といった国 や地域が存在している。米国対ソ連という超大国同士の争いが無くなった今で は、地域紛争の大きな火種が世界中に散らばり、それは日本の目と鼻の先に存 在している。新聞やテレビなどのメディアで報道されているように、アルバニ アでの紛争では大量の難民が出ているが、それは決して対岸の火事ではないこ とを知っておくべきだろう。朝鮮半島で本格的な紛争あるいは戦争がおこれば、 必ずや日本に大量の難民が海を越えて流れてくる。その時日本は彼らを受け入 れることができるのだろうか、あるいはその心構えが出来ているのだろうか。 私が想像するには、おそらくそのような事は夢にも思っていない人が多かろう が、いざ朝鮮半島有事の際はその可能性は否定できないというのは覚えておく 必要がある。 「平和ボケ」という言葉を私は使うことが多いが、これは争いを好み平和に 退屈しているから「平和ボケ」といっているのではない。第二次大戦以降日本 は平和を謳歌してきたが、残念ながら今の世界情勢では平和を維持するのは非 常なる努力が必要なのである。日本人は水と空気と安全は無料{ただ}だと思 っているなどとはよくいわれたものだが、平和もそれと同じくらい私たちの日 常に根付いているにもかかわらず、その維持には多大の努力が必要だというの が理解されていないのではないだろうか。これから先、これまでと同じように 平和を維持するのはノー天気であってはいけないのであり、平和を維持するた めの努力が必要だ。争いの火の粉をよけるだけではなく、基本的に火の粉が立 たないような努力がなによりも要求されている。例えば朝鮮半島が本格的な戦 争となれば、日本は無傷では済むまい。直接間接にせよその影響は避けられな い。そうならないためにはどうすればよいかを我々は考えるべきであり、一人 一人が国際情勢に強く関心をもち、どうすれば平和を維持することができるか を考えるべきであり、そのような教育も家庭や学校でなされるべきである。 (続く)