「お替わりはいかが? 〜1383〜」

1999.04.17 (Sat) ==========================

□ 偏り

 このところ新聞の三面記事やテレビのワイドショーのトップを「則定衛{の
りさだまもる}(60)前東京高検検事長」の醜聞が飾っている。それだけではな
く、醜聞を暴露した「噂の真相」の記事を朝日新聞が引用したことを、最高検
の堀口勝正次長検事が「検事長追い落としのための謀略だ」と非難し、さらに
「確かに浮気はあったかもしれないが、そういうことを活力にしているんだ」
と、他に数社の記者がいるまで発言したらしい。その後の報道や堀口次長検事
の発言によれば、どうやらその発言そのものはマスコミのねつ造などではなく
ほんとうにそのようなことを言ったらしい。

 検事・判事・弁護士といった法曹界の仕事をするにはかなりの頭の良さと勉
学における努力が必要であり、私のような並み頭の平々凡々な人間には雲の上
の世界であり、そこにたどり着くまでの法曹界の人々の非常に大きな努力には
敬意を払うのに躊躇いはない。しかしこのような醜聞や醜聞に輪をかけたよう
な弁解が相次ぐところをみるとクビを傾げる点がある。テレビであるキャバレ
ーのママがインタビューに「綺麗な花畑をみてついすーっと引き込まれたので
はないか」と答えていたのだが、これは面白いが鋭い指摘ではないかと感じた。

 よく「くそまじめ」ということがあるが、とにかく一所懸命に生き努力の固
まりだったから、ひびがはいりやすかったのかもしれない。昔から「柳に雪折
れ無し」というように、人が生きるにはがちがちの固まりではなく、いろいろ
柔らかな面も知らなくてはいけないのではないか。別に異性との遊びに走れと
いうつもりはなくて、社会でのいろいろなところをよく知る必要があるのでは
ないだろうかということだ。判事にせよ検事にせよ弁護士にせよ、法律で仕事
をする以上、人を裁き訴え護る以上は崩れすぎることは許されないのは確かだ
が、堅物過ぎるのも考え物だ。

 私は身内に公安関係に就いていた者がいるが、まじめ一筋で崩れることがな
かったのだが、極端に言えば普段人を下に見て頭の上から怒鳴るようなところ
があって、これは公職の間だけではなく、職を離れてもどうもつきあいづらい
ところがあって好きにはなれない。私に多分に偏見があるのは確かだが、一般
の下っ端の人々多分に普通のサリーリー万に近いのだろうが、エリートコース
を行くような人々には一抹の不安を感じる。単に高潔なだけではなく、人とし
てのバランスの良さが非常に重要なはずなのだが、どうもバランスがとれてい
ないようなところが強いように思える。