「お替わりはいかが? 〜1386〜」 1999.04.20 (Tue) ========================== □ グアムの歴史 〜2〜 その後43年間にわたり米国統治が続いたが、太平洋戦争が勃発し1941年12月 10日から31ヶ月にわたり日本が占領し日本の統治下となった。戦争末期には米 国がグアムを奪還し、ここから沖縄にむけて55万の大艦隊を発進し沖縄戦が行 われた。 こうして、グアムは米国領に復帰し1898年以来途中三年間を除けば現在まで 100年以上にわたり米国統治が続いており、マゼラン寄港以来スペイン統治に 続く長い米国統治となっている。1941年トルーマン大統領はグアムを自治権が ある準州と定めアメリカ市民権が与えられた(ただし準州であるため大統領選 挙への投票権はない)。 グアムは首都をアガナにおき、米国海軍と空軍基地の巨大な基地を抱えつつ 1962年には旅行制限が撤廃され、1967年には当時のパンナムが日本-グアム線 を開設し、本格的に観光産業に力を入れ始めた。そして現在では太平洋地域で は、米国ハワイ州を除けば最大規模の観光産業を構築しており、日本を筆頭に 韓国、台湾、香港、インドネシア、オーストラリア、フィリピンからの定期便 が就航しており、それらの国々からの観光客が多く訪れている。 グアムの特長の一つには、スペイン統治時代以来のカトリック教会にある。 今でも各村にはパトロン・セイントと呼ばれる聖職者がいて、彼を中心た晩餐 には村中の人たちが参加するほど賑やかなものだという。それだけではなく家 族内でも洗礼やファンダンゴ(結婚式、勤行、葬式、祈りなどの儀式)が行わ れているらしく、敬虔なカトリック信者が多いことは心に留めておくべきだろ う。 これが同じマリアナ諸島でも現在は米国自治領の北マリアナ連邦に属するサ イパン島になると、途中にドイツ統治時代が入り込み、また日本の委任統治時 代も入ってきてさらに話がややこしくなる。 それはともかく、グアム島に観光目的で日本人が行くようになったのは 1962年の旅行制限以降であり、事実上は1967年のパンナムの日本-グアム線開 設以来のことであろうから、よく見て30年、実際には十数年とか20年とかいっ たところであろうか。日本は高度経済成長の波に乗って国民所得は急増し、生 活にゆとりができたので、身近なアメリカであるグアムに気軽に行けるように なった。今ではタモンのホテルロード沿いには日系ホテルが多く立ち並び、中 には日本人宿泊率99%などというところもある。 身近な海外ではあるが、歴史は深い。 (完)