「お替わりはいかが? ~1398~」

1999.05.02 (Sun) ==========================

□ 旅のプラン ~1~

 旅をする楽しみには四段階あると思う。第一段階は行き先を決める段階であ
る。ただ、これは往々にしてすっ飛ばされるときもある。何かの理由があって
目的地が最初から決まっている場合などはこの段階は存在しない。ルーブル美
術館へ行きたいからパリへ行く、ライン河畔から古城を眺めたいからドイツへ
ゆく、ディズニーワールドへ行きたいからフロリダへ行く、グランドキャニオ
ンへ行きたいからアリゾナへ行く、ヨセミテに行きたいからカリフォルニアへ
行く、キラウェア火山を見たいからハワイ島に行く、とまあこんな場合は目的
地はすでに決まっている。だが、「どこかへ行こう」と決めたは良いが「どこ
にしよう」という場合はこの段階がある。休みがまとめて取れて、そこそこレ
ジャー費も確保できる場合などがそうだ。西海岸にしようか、近場のハワイに
長期滞在しようか、とああでもない、こうでもないと悩むわけである。

 行き先が決まれば第二段階に突入する。どこそこへ行くと決めたら、つぎは
そこでのプランである。日本人は忙しく動き回ると言われるが、忙しく動き回
るのは日本人だけではない。日本に観光にくる外国人や仕事で半年とか一~二
年滞在する外国人も、少しまとまった休みがとれると日本国内を精力的に観光
しまわっている。現実問題、観光名所があってその土地をはじめて訪れる場合、
観光しないほうがどうかしている。何も無いリゾートアイランドへ行くなら、
ホテルのプールやビーチでひがなのんびりしているというのならうなずける。
とにかく行き先が決まってから、現地でのプランを考え準備して出発するまで
が第二段階だ。

 旅立ちの日、荷物を下げて自宅を一歩出たときから第三段階が始まる。すな
わち旅の実行段階だ。事故でもおこらないかぎり、遊びの旅行であればこの段
階が楽しさのピークであるのは言うまでも無い。仕事ならともかく、遊びにゆ
くのにいやいや行く人はいないはずだ。

 旅が終わり荷物とお土産をかかえて自宅の玄関に入る。このときから第四段
階である。これはあまり楽しくない段階だ。洗濯物の処理や義理土産を配った
り、支出を計算してみたりといろいろやることはあるが、何より「はあ、また
日常生活に戻ってしまった」という気持ちが重くのしかかってくる。しかし、
そんな重みの中にも楽しみはある。写真を撮る人であれば写真の整理、私のよ
うにデジカメを使って旅行記を作る人であればその楽しみがある。旅を思い出
しながら旅の記録を整理するわけだ。ちまちまとそういう作業をしているいと、
「よしまた遊びに行くぞ、そのためにがんばって働くぞ」という意欲が沸いて
くる。遊び人生を楽しむ糧を稼ぐために仕事をしているのであって、仕事のた
めに仕事をしているのではない、仕事は人生の時間の半分くらいを占領するが
しかし断じて仕事は主役ではないし仕事命ではない。主役は自分と家族の楽し
い時間である。

(続く)