「お替わりはいかが? 〜1404〜」

1999.05.08 (Sat) ==========================

□ 文句を言わない日本人 〜2〜

 あるいは、その場で文句をいうのは「上品ではない」ということかもしれな
い。それに日本では「ツー」と言えば「カー」と言う、あるいは黙っていても
通じるところがある、さもなければ否定的なことを言うときは間接的に物を言
うことが美しいとされているところに由来するのかもしれない。こういう間接
的な物腰というのは、日本人文化の特徴の一つであるのは確かでああろう。

 しかし、忘れてはいけないのはそこは日本ではないということだ。東京や京
都といった観光地に住んでいると外国人観光客の無作法な振るまいに、たまに
は眉をしかめることもある。それは自分たちの文化・習慣を全く無視したよう
な振るまいであることが多いからだ。

 日本語の諺に「郷に入っては郷に従え」というものがある。すなわち、その
住むところの風俗や習慣に従うのがよいということだが、英語にも同じことを
意味するものがあり、「When in Rome do as the Romans do.」というものが
そうだ。つまりローマにおいてはローマ人の為すように振舞えというものだ。
これが日本語のように処世を意味するのか、スパイの基本から来たのかはわか
らないが、まあ今となっては似たような意味で使われる。

 そう、YES/NOをはっきりといい、問題があればその場で指摘し解決をするの
が当然とされている国では、そのような振るまいが故郷では無作法とされてい
ようが、はっきりと物を言うべきであろう。はっきりと物を言うことは相手の
機嫌を損ねないだろうか、というのは日本人の愛すべき心遣いであるが、時に
それがあだになり逆効果になることもある。

 話がずれてしまった。とにかく、どうも不都合があっても文句を言わない人
が多いようだ。しかし、いつもいつも黙って耐えているかというとそうでもな
く、添乗員同行ツアーなどだと哀れな添乗員氏がその犠牲になることがあるそ
うで、やれエアコンが冷えすぎるだの何だのと昼夜を問わず引きずりまわされ
ることもあると聞く。

 私が読んだ一つの例。あるホテルに入ったらエアコンが壊れていて効かなか
った。その客はフロントに電話一つするわけではなく、窓を明けたり外に出て
みたりと悶々とした夜を過ごしたという。なんとも滑稽な話ではないか。私な
ら直ちにフロントに電話をし、ただちに修理をさせるか部屋を交換させるであ
ろう。停電でホテル全体が蒸し暑いならともかくなんとも理解不能な話である。

 クレームはクレームとしてはっきり苦情をいい快適な旅を楽しみたい。

(完)