「お替わりはいかが? 〜1409〜」 1999.05.13 (Thu) ========================== □ リゾート通勤 〜1〜 先日、テレビの番組でリゾート通勤なるものを放送していた。リゾート通勤 とは耳慣れぬ言葉(造語)であり、字面だとリゾート地にある職場に通勤する ような感じがするが、実際はその逆で、リゾート地に購入した(あるいは借り た)自宅から、東京とか横浜へ通勤することをさすらしい。早い話が単なる遠 距離通勤を美化した言いまわしに過ぎない。 私はこの番組を途中からみたのだが、いずれも通勤者は平均的な日本のサラ リーマン家庭同様にお父さんであり、通勤先は都心あるいは横浜方面だった。 リゾート通勤という言葉から通勤時間はかなりかかって二時間は当たり前かと 思っていたのだが、実際には一時間半程度と練馬区の便利なところに居住して いるが、山手線も含めて三路線を乗り継いで通勤するあたしと大差ないのには 驚いた。 距離的には皆さんかなり遠くにお住まいで、伊豆方面とか熱海とか那須塩原 だったりするのだが、事例についてはいずれも新幹線通勤であるところが、通 勤時間短縮に寄与しているらしい。確かに通勤時間は都心近くに住み、山手線 を途中経由して郊外一歩手前に通勤する私と差が無いが、最終電車や電車の頻 度には大きな差が有る。 私が使っているのはメジャーで本数も多く終電もそれなりに遅くまである路 線ばかりだが、勤務先最寄駅を午後十一時四十五分にのれば自宅までタクシー などのお世話にならずに帰る事ができるし、池袋からなら午前零時四十五分が 最終である。義理で欠かせない宴会の類意外では外で飲酒することもなく夜遊 びとも無縁な私にはおよそ無縁ではあるが、とにかく最終はこの位だ。 それが、新幹線で大手町から那須塩原まで帰るとなると、駅から歩いて帰れ る距離だと仮定して、丸の内線で大手町を午後十時二十八分だ。これが那須塩 原からさらに在来線乗り換えで黒磯まで行くとなると、一時間繰り上がって午 後九時三十二分に大手町から丸の内線に乗らないと間に合わない。かくのごと く所要時間は同じでも終電の時刻がまるで違うし、西武線のように本数が多く ないから、乗り継ぎがわるいと結果的に二時間以上かかることもありそうだ。 とにかく、リゾート通勤のお父さんたちは大変なのである。 番組中で放送されていたあるリゾートマンションだが、都心の狭いマンショ ンに住む私からすれば、建物の内側はうらやましい限りの環境・設備である。 居室の浴室とは別に、居住者専用に大浴場があって温泉がひかれているし、同 じく居住者専用の室内温水プールだってある。夫が遠距離通勤で働きに出てい る間に、妻と子供たちは毎度リゾート気分に浸れるというわけだ。ところが、 その夫のほうは仕事に加えて遠距離が故に帰宅時間が遅くなり、大浴場の利用 時間帯には間に合わず、いつも居室の普通の風呂しか入れない。自分が一所懸 命働いてローンを返しているのに、その恩恵にはあまりあずかれないというの だ。何とも滑稽、何とも悲しいことではないか。 (続く)