「お替わりはいかが? 〜1415〜」

1999.05.19 (Wed) ==========================

□ どうなる成田空港 〜1〜

 成田空港の2500m平行滑走路の西暦2000年の完成がついに頓挫した。
川崎輸相と新東京国際空港公団の中村総裁は去る10日に2000年完成の目
標を断念することを決定して、同日その旨が発表された。これは平行滑走路予
定地内に居住する反対派農家2件を含む合計約4.8ヘクタールの土地の買収
交渉が、2000年度内完成から逆算した買収期限の1999年5月の連休明
けまでに成立しなかったためだ。

 成田空港の利用数の増加には驚くべき物があり、1978年には年間発着回
数は36689回だったのが、1997年には124819回にまで膨れ上が
り(空港公団発表)、現在の一日当たりの発着回数は現状の4000メートル
のA滑走路だけの限界数である370回にあと数便しかないという。また数値
はちょっと古く1995年のものだが、国内の国際空港での発着回数シェアで
は成田空港は約53%、旅客数では57%、貨物量では驚くべきことに71%
を占めている(いずれも数値は空港公団発表)。

 これだけの割合の旅客や貨物が4000メートルのA滑走路一本で成り立っ
ている現状は、まさに綱渡り以外の何物でもない。土地買収には当初の強引な
強引なやり方が祟って難航を極めた。そして平成6年の円卓会議で話し合いの
上での双方納得した上で進めることがきまり、時間をかけた話し合いの結果多
くの農家は買収に応じた。そして4.8ヘクタールだけが残ったが、丸四年か
けてもこれらの所有者と政府との交渉に進展は無かった。

 成田空港をかかえる地元はどうかといえば、地元商工会が結成した「空港早
期完成促進協議会」では、平行滑走路完成を求めた署名が13万人に達したと
して早期工事再開を運輸省に要望し、当初は空港に反対していた地元の町長は
「反対派も地域社会の中で生きていることを理解してほしい。昔と変わったの
は、地域が建設を全面的に受け入れていることだ」(毎日新聞の報道より)と
述べており、空港の早期整備を望んでいる。

 一方東京都は、定期便では中華航空以外の国際線定期便を成田に奪われてし
まっているが、国際線定期便を強く望んでいる。羽田空港への主要な足はモノ
レールであったが、今は京浜急行がビッグバードへ延伸工事を完成さえ、直通
電車を走らせるようになった。京急本線と空港線が立体交差でなく地上交差で
あるために本数の多い本線を縫うように空港線を走らせねばならないという難
点があるが、これも立体交差化の計画はあるようで時間の問題だといえる。

(続く)