「お替わりはいかが? 〜1416〜」

1999.05.20 (Thu) ==========================

□ どうなる成田空港 〜2〜

 東京都民である私の勝手を言わせてもらえば、成田空港より羽田の拡張・再
国際化のほうがありがたい。時間を短縮するためにJRの成田エキスプレスだ
と池袋からなら、大人片道3110円、子供なら2380円、京成のスカイラ
イナーでは大人片道2080円、子供が1500円、つまり家族三名が往復す
ればJRで17200円、京成ですら11320円もかかる。

 これが池袋から羽田空港ならモノレール使用で大人片道720円、京成利用
だと650円だ。つまり同じく家族三名の往復でモノレールなら3600円、
京成なら3240円。つまり最高で五倍以上の差がある。家族三名の往復で3
240円ならまだ許せるが、17200円となるとこれはかなり痛い。それだ
けの金額で目的地に着く国内旅行ならともかく、さらにそれから高価な航空運
賃がかかるのである。

 実際問題、何がうれしくてあんな遠くの空港まで、高価な運賃を支払ってゆ
かねばならないのか。挙句の果てに発着間隔は山手線並で、アクシデントがあ
るとあっというまに上空は着陸待ちの飛行機で埋まってしまうような危険な空
港にだ。さらに千葉にあるから千葉の人に便利かというと決してそんなことは
なく、場所によっては羽田のほうが便利だったりするかもしれない。便利な交
通機関がすべて東京との連絡しか考えていないからである。

 公共性と個人生活の保護(限度を過ぎた個人生活の保護主張はエゴとなる)
のバランスはいつの時代でも難しい問題であり解決に王道はない。法律をたて
に強制的に土地を収容するのは簡単だが、それは民主国家ではできるだけさけ
るべきであり、時間はかかっても話し合いによる解決をすべきだ。

 だから円卓会議以降国は話し合い路線を維持してきて、その結果地元の理解
も少しずつ得られるようになってきた。だが、その路線は政府と反対派の両方
により破綻してしまった。政府は2000年を期限とあせったばかりに、平行
滑走路の短縮場所移動という先の見とおしと実効性のない案を打ち出したし、
反対派はとにかく反対の一言だけであった。ここまで反対を固持されると第三
者としては合理的な反対の根拠がどこにあるのかもはやわからないのである。
反対している方が地元の支持も失いつつあるのがその証拠であろう。地元から
浮いてしまった強固な反対では勝手なエゴと言われても止むを得まい。

 もはや成田は現状にとどめ、貨物主体の空港とすればよい。運輸省は以前に
決めた方針にこだわるようなメンツをすて、羽田の拡張・再国際化による国際
線のトラフィック分散と今後の発着枠拡張を考えたほうがよい。以前はアジア
のハブ空港になどと大それたことを運輸省は吹聴していたが、滑走路一本でも
はや増便枠もない空港がハブになれるわけがない。ハブ空港にするなら香港の
新国際空港のほうが容量的にもずっと適切であろう。

(完)