「お替わりはいかが? 〜1422〜」 1999.05.26 (Wed) ========================== □ サマータイム 〜2〜 寝不足になるというのも同じだ。むしろ暗くなってから1時間早くベッドに 入ることになるから、日の出の早い夏の間でも暗い間の睡眠時間が長くなるか らむしろ好都合な面もある。1時間繰り上がった直後は、なかなか寝付けない かもしれないが、それでも朝寝坊せずにきちんと起きれば1時間程度はすぐに 慣れるものだ。だいいち寝不足については、1時間の差より普段からの夜更か しや夜遊びのほうが影響が甚大であるのはさきほどと同じだ。 一番不思議なのは残業が増えるという主張だ。仕事の開始は時計による定時 で始まり、終わりは時計とは関係無く日没で終わるような仕事であれば、確か にサマータイム導入前より1時間労働時間が自動的に増えてしまう。だが、し かし、「残業」という言葉が適当だと思われる仕事で、そういう不思議な時間 管理をしているところがいったいどれくらいあるというのだ。多くのビジネス マンは時計に従って仕事をしている。最近はフレックス制度を導入する企業が 増えてきているが、それでも仕事の開始や終了は時計できめる。ふと時計を見 て「ああ、もうこんな時間か、今日はこれくらいにしよう」と思うわけだ。別 にオフィスで日暮れをみて「これでやめよう」と思うわけではないから、これ また論拠が希薄で説得力が無い。 1時間早くなる事で、欧米の例も含めて考えられる影響は、こうしたことよ りもアフター5の生活パターンである。定時にあがれば例えば今まで6時だっ たのが、5時相当の時刻になるわけであるから、まだまだ外は明るい。そうな ると今まで赤提灯に向いていた足も自然と遠のき、酒ではなくジムで汗を流し たり、家族と過ごす時間に宛てたりすることができるようになる。赤提灯で時 間と金を浪費するよりよほど健全であろう。毎晩飲んだくれて帰ってきた父親 が、家族と過ごすことができる時間が増えるのは決して悪いことではない。家 庭に早く帰りたくない、とか、早く帰ってきて欲しくないと家族が思うような 家庭なら、いっそ早いうちに崩壊してバラバラになったほうが、各人の新たな 人生のためにも幸せというものだ。社会という大きな単位を構成するのは、一 人一人の個人ではなく、家族という小集団であることを忘れてはならない。 とにかく、安直な説得力無い議論ばかりで、どうもいまいち気合が入ってい ないのが、サマータイム導入可否の議論だ。いかにも底の浅い安直好みの近頃 の日本人らしい。 (完)