「お替わりはいかが? 〜1428〜」 1999.06.01 (Tue) ========================== □ ピロー売り場の洋の東西 日本人が日本でピローを買う場合どこで買うかというと、スーパーマーケッ トの寝具売り場、デパートの寝具売り場、寝具専門店といったのが主力で、時 にはベッドと一緒に家具店で買い求めることもあるだろおう。一方私がこよな く愛するダウンピローを購入している米国ではどうかというと、大して事情は かわらなくて、スーパーマーケット――といっても規模が日本のそれとは段違 いに大きい、デパートの寝具売り場、寝具店、そして米国を特徴付けている通 信販売であろう。 私が愛するダウンピロー(グースダウンだけを使ったピロー)は、日本で販 売されているのは未だかつて見たことがないし、作っているという噂も聞いた ことがない。日本のスーパーマーケットでは、得意の化学合成物質をふんだん につかったきわめて心地の悪いビーズやらパイプやらという身の毛もよだつ物 ――ピローというのはあまりにもひどい代物だ――や、ポリエステル綿、座布 団にしか使わないような粗悪な堅い羽根、私の大嫌いなそば殻などを使って、 形をあれこれ変えて見たり、小さな枕を寄せ集めて大きな物にしたりという馬 鹿げた代物ばかりが目に付いて反吐がでそうだ。ときにはWebページを開設し ている寝具屋にいたっては、フェザー100%の代物を「ダウンピロー」と称して いるというとんでもないところさえある。デパートで売っている物はピローケ ースの生地がよかったり、デザインがブランド物だったりして、ひたすら値段 を上げているだけだ。その中間が寝具店といったところでとにかく大差ない。 一方米国のほうはといえば少ない経験ではあるが、やはりスーパーマーケッ トのほうが価格層が低い。シングルサイズ(20×26インチ)でおおむね米ドルで 10ドル台〜せいぜい数十ドル程度までで、充填物はほとんどがポリエステル綿 である。これがデパートになるとダウンピローやダウン+フェザーのピローも 見かけるようになり、価格層はおおまかなところで40ドルから80ドルとか90ド ルくらいであろうか。私が驚くのは、安物のポリエステル綿のものでも、ソフ ト、ミディアム、ファームと三種類ほどのものが揃えてあることだ。大きさも シングル、クィーン(20×30インチ)、キング(20×36インチ)とそろえてあるこ とが多い。だが、もっと種類が多いのは、私も時々買っている(コレクション している?)通信販売で、サイズもさらにコンチネンタル(26×26インチ) と いうのもあるし、中身も使っているダウンの種類でさらに分かれたりしている。 こうして比べてみると、日本の場合はあれこれ材料を変えたり、作り方を変 えたりしてギミックに走り、目先の目新しさで勝負しているように思える。一 方米国のほうはといえば、材料の種類は少ないが、大きさや堅さが実にいろい ろあって、個人の好みに応えようとしている。どちらが良いの悪いのとは単純 に言えないが、私の価値基準では圧倒的に後者のほうがまっとうである。たか がピローではあるが、こだわりをもっているのは日本人より米国人かもしれな い。