「お替わりはいかが? 〜1430〜」 1999.06.03 (Thu) ========================== □ 盗聴法案成立か? 〜1〜 組織犯罪対策三法が6月1日の衆議院本会議で、自民・自由・公明の3党の 賛成多数で可決され参議院に送られた。この中で気になるのはもちろん通信傍 受法案である。 各社の報道は、やたら不安を煽り立て騒ぎ立てすぎている傾向があり、それ が冷静な議論をさえぎっている感さえ出てきているが、マスコミ各社はこぞっ て反対を表明し、インターネットサービスプロバイダ(ISP)は、傍受の際 に義務付けられている立会人としては弁護士をたてることも検討し始めた。I SPに果たされた通信の秘密を守るという大きな責務を脅かしかねないという ことのようだ。 このように新聞各誌やISPはこぞって反対を唱え、週刊誌に至っては例に よって無責任に咆哮している。その中でちょっと注目すべきは「読売新聞」6 月2日付け朝刊の社説である。何が主張したいのかよくわからず、八方美人的 な文章でとてもプロの手になる文章だとは思えないのは別として、いろいろ懸 念はあるが「いたずらに結論を先延ばしにせず、一刻も早く成立させるべき だ」というのが「読売新聞社の主張」のようだ。読売新聞社は文中で「一般市 民の生活が日常的に盗聴にさらられるという誤った情報のたれ流し」と決め付 けているが、現実問題としてそのようにはならないという根拠が何もしめされ ていない。言い返すなら「盗聴にさらされるといった誤った情報のたれ流しは 誤りだ」という主張を無責任に垂れ流しているのと同じで、どちらもひどく無 責任だ。 傍受法の中の規定を引き合いに出し、対象犯罪の限定・立会人を置くこと・ 令状制度・傍受記録の封印および裁判所保管・実施状況の書面による裁判所提 出といった法案の「厳しさ」をその根拠としているが、そんなものは高校生に だって簡単に木っ端微塵にできるのではないか。 対象犯罪の限定というが、盗聴対象となるのは容疑者の発する言葉に限られ るなどとはどこにもきめられていない。「犯罪を疑うに足る十分な理由」とあ るだけで、その関係者であるという濡れ衣が着せられないという保証はどこに も存在しない。捜査当局がそのように信じこめばそれで疑うに足ることになり、 それを客観的に現実に判断できるところは存在しない。 (続く)