「お替わりはいかが? 〜1440〜」

1999.06.13 (Sun) ==========================

□ 図書の亡失率

 子供につきあって近所の図書館に行ってきた。そこの書架の横に貼ってある
一枚の張り紙に気づいた。最近貼ったわけでないと思うのだが今日まで気づか
なかった。その張り紙には何が書いてあるかというと、図書の亡失――貸出手
続きを経ずに図書が持ち出されてなくなること――についてである。

 練馬区内には何箇所か図書館があり、すべてオンラインで登録者と図書の管
理がなされており、一箇所で利用登録(もちろん練馬区内に在住もしくは通勤
あるいは通学していないといけない)すれば、区内のどこの区立図書館でも借
りることができ、それをどこの図書館に返却しても良いという行政にしては珍
しく便利なシステムである。だから、たまたま行った自宅から離れた場所の図
書館でみつけた本をそこで借りて、地元の図書館で返しても良いのである。

 さて、図書の亡失率だが、一年間でどれくらいの本が貸出手続きを経ずに無
断で持ち出されそのまま帰らぬ本となるかご存知だろうか。平成九年度は一般
書籍で蔵書の一割近くの9%ちょっともあり、雑誌に至っては二割を超える2
1%ほどが亡失している。亡失といえば聞こえは良いが、図書館に入ってきた
者――正規登録者とは限らないので正規利用者だけではない――が、登録も貸
出手続きも経ずに持ち出すのだから、これは立派に窃盗罪である。

 練馬図書館は全蔵書が開架図書であり、利用者はすべてその場で自分の目で
それをたしかめて利用したり借りたりすることができる。閉架図書の場合は目
録や検索用コンピュータで探し出して職員に申し出て書庫から出してもらわな
ければならないが、正直なところこれは面倒である。最初から借りたい本がわ
かっている場合はいいが、こういう内容の本はないか、と探しているときは非
常に不便である。高価あるいは希少な専門図書が多い大学図書館の場合は、あ
る程度閉架図書があるのは管理上やむを得ないが、一般図書がほとんどである
市区町村立の公立図書館の場合は、住民が便利に利用できるように全蔵書を開
架図書にしているところがある。その好意――図書館側には全蔵書を開架にす
る義務などない――を踏みにじるような悪行は断じて許されない。

 このまま亡失率が増えつづけるなら、開架制限をしたりあるいは窃盗防止用
の警報機――よくCDショップなどにあるやつ――を備え付けたりしなくてはな
らない。どちらをやるにも費用がかかるし、その費用はほかならぬ自分たちが
支払った税金から出るのであり、本来しなくてもよい支出なのである。

 繰り返すが図書館の図書を貸し出して続きを経ずに持ち出すのは「窃盗」で
あり、軽微とはいえ立派にくさい飯を食い、履歴書の賞罰に書かねばならない
刑法犯であろう。そういう糞馬鹿どもの行為は他住民への迷惑以外の何物でも
ない。