「お替わりはいかが? 〜1441〜」 1999.06.14 (Mon) ========================== □ 失業増加 最近の政府発表や報道は、不況の底付き感が出始めていると報じているが、 ほんとうにそうだろうか。企業に雇用されている被用者の一人としてはどうし てもそのようには感じ取れない。昨日の朝日新聞社説が論じてるように、大企 業で本格的な人員削減が始まるのはむしろこれらかであると私も思っている。 これまで大大企業は資産売却や関連会社の整理、不採算事業からの撤退など で経営のスリム化を図ってきた。だが、経済全体の回復基調は数字のマジック ではどうにでもなっているようだが、日々の現実からはそういう気配は感じ取 れないのが私の実感だ。実際問題、大企業でもぼちぼち限界にきていて、次に は雇用に手をつけざるを得ない、それも自然退職、早期退職者募集や新規採用 を控えるといった消極的な雇用調整ではなく、もっとドラスティックな手段に でざるをえないところが出てくるだろう。いくら社会的責任がどうのこうとい っても、起業して存続しなければ話にならないから、長期的な展望には目をつ ぶり、短期的視点でのみものを見て背に腹は変えられないとばかり、なりふり かまわぬ雇用調整に走る可能性が高い。 特に外資系合弁企業などでは、日本側親会社が外資側親会社に持ち株をすべ て譲渡したりするところも出てくるかもしれない。そうなると、日本流の経営 で雇用を保ってきた現状はずたずたに切り裂かれ、ばっさりクビを切られる人 が少なからず出てくるかもしれない。 政府は失業者対策としていろいろなことを考えているようだ。例えばコンピ ュータや英会話能力のある中高年を臨時専門教員として一時的に雇用するとか もあるらしいが、現実問題そういう能力を持った失業中高年がどれくらいいる というのか。そういう能力があればそもそも真っ先にクビを切られる事も少な いように思う。どうも政府のお偉方の考えることは、実情に目をつぶった机上 の空論が多くて行けない。 新規産業を育成して雇用を吸収させようにも、政府・行政にはそんな風潮は なく製造業の保護・育成だけを考えてきたようなところがあるから、いきなり そんな風土ができようはずがない。大企業に優しく中小企業やベンチャーに厳 しいのが今の日本の経済構造なのだ。 この際、先の見えない日本など見捨てて海外移住をするのも手かもしれない。 苦労は日本にいるよりはるかに大きいが、その分成功すれば手に出来るものも おおきいし、米国などでは日本のような強い規制や悪平等が少ないから、才能 とチャンスに恵まれれば芽が出る可能性は日本より高い。 かくして、将来有望な才能はますます海外に流出し、日本には屑しかのこら なくなるかもしれない。