「お替わりはいかが? 〜1452〜」

1999.06.25 (Fri) ==========================

□ 羽毛掛布団の個人輸入 〜3〜

 次にこの仕切りの形や大きさだが、細かければよいというものではない。日
本で売っている典型的な羽毛掛布団は、仕切りの高さが低く仕切り数が比較的
多いものである。これはセールストークとしては「羽毛の片寄りを防ぐ」とい
うものだ。片寄りを防ぐのは嘘ではないが、仕切りの高さが低く仕切りで囲ま
れた面積を小さくしているために、さきほど書いたとおり粗悪なもしくは少な
い羽毛でよりふっくらと見せることができるから、寝具業者は好んでこの方式
を使うようだ。たまによさそうなもの(仕切りに十分な高さがあり良質のダウ
ンをたっぷりつかったもの)をみかけるとえらく高い。その値段をもっともら
しく思わせるために、凝ったプリントの記事やシルクなどを使うために余計に
たかくなる。そして曰く「生地も最高級のものをつかっているから高い」。羽
毛布団の生地で大切なのは織り目の細かさと縫い目の確かさである。生地の柄
は問題ではない。そんなのは掛布団ケースでいろいろコーディネイトすればよ
い。下手な柄は薄い色の掛布団ケースを使ったときに、生地の柄がすけてきて
かえって邪魔になる。掛布団の柄などに金を払うのは私に言わせれば、とんで
もなく馬鹿げたことである。

 生地は目のつんだシンプルな無地に限り、仕切のあるタイプ (buffled) で
その仕切の高さはダウンを押しつぶすような低い物ではなく、十分な高さがな
くてはいけない。しかし、これまた残念ながら日本ではあまりみかけないし、
みかけたとしても生地に余計な金をつかったりしているものがあったりする。
とりわけデパートの羽毛布団売り場にはそういう見掛け倒しのものが多いから
あまりデパートなどで名の通ったというだけのものを買うべきではない。

 国内では比較的良心的なものを作っているのは、カメラ系ディスカウントシ
ョップであるビックカメラの中にある「うもう工房」ではないか。ここでは自
工房で羽毛布団を作っており、生地は当然無地である。安い物はそれなりだが、
ある程度の値段のものをみると仕切りの高さもそこそこありダウンのふっくら
かんが失われていない。

 しかし私が買ったのはここではなく、表題のとおり個人輸入である。これは
通信販売であるので自分で手触りなどを確かめられないからリスクがともなう。
リスクが嫌な人は「うもう工房」をおすすめする。最初に触れた「Old Europe
Duvet」の社長とメールでやりとりするうちに私のほうもここのファンになって
しまいつい買わずにはおれなかったのである。頼んだのは "The Austrian Duvet"
でありダウンを16oz増量し48ozにした。仕切(buffle)の高さは12インチもあり、
羽毛はたっぷり空気を含んで自由に泳ぎまわれる。生地はしっかりとした綿の
白無地であるが、しっかりしすぎていてがさがさ感が出てしまっているのが残
念といえば残念である。羽毛布団の特徴を生かすにはドレープ性が重要なのだ
が、せっかくの良いダウンを生地が殺しているところがある。これは早速社長
宛てにメールをしておこう。

 16ozダウンを増量した「The Austrian Duvet」には、その生地を除いて満足
している。ただ生地というのも使っているうちにしなやかになってくるもので
あり、この布団の良さは何ヶ月か使って生地がなじんだころに本領を発揮する
かもしれない。まだ様子見ではあるがおすすめの一つになりそうだ。これはま
た何ヶ月かしてから書いてみたいと思う。

(完)