「お替わりはいかが? 〜1456〜」

1999.06.29 (Tue) ==========================

□ 借家か持家か? 〜1〜

 このところの超低金利政策に押されて住宅の販売件数が伸びているらしい。
実際私の知人でもここ一〜二年で住宅を購入したという人は多く、彼らは異口
同音に「金利の低い今が買い時だからね」と言う。ローンを組んで住宅を購入
することを前提にするならば、新規販売住宅の価格も落ち着いていて、個人向
け住宅ローン金利が安い今が買い時であることに全く異論はないが、景気対策
と考えれば個人相手とはいえ、相変わらずこうした建設事業に景気を頼るのは
愚行であると思っている。

 さて、サラリーマンが無理をせずに――つまり家族での旅行や趣味などはも
とより服飾費や食費を極端に削減せずに――買える住宅とはいくらくらいなの
だろう。年収や頭金の金額次第なのはいうまでもない。個人的には今の金利だ
と、頭金を除いたローン借り入れ金額が年収のニ〜二倍半程度ならさほど苦に
ならなくて、三〜四倍くらいが限界、五倍をこえるとそうとう無理がくるよう
になってくると思う(もちろん返済年数や金利により大きく変動する、私の場
合なら三倍以内に抑えたいところだ)。ここでいう年収というのは主たる稼ぎ
手だけの収入によるもので、共働きをしてぎりぎりローンが返せるなんてのは
最初から論外であるのは言うまでもない。たまに贅沢品を買ったり旅行したり
する費用を貯めるために主婦・主夫が仕事を持つのは良いとしても、住宅ロー
ンを返すのにそれをするのは破滅への確実な第一歩である。

 私自身は今は池袋まで各駅停車でも十分程度と都心に近い便利な賃貸マンシ
ョンに住んでいるが、五十平米半ばくらいの広さで家賃は共役費混み十五万円
程度と、近辺の相場の中では結構安いほうである。友人たちには「毎月毎月そ
れだけの金額を支払うなら家を買えばいいじゃないか」と言われる事が多い。
家賃だけみれば第三者がそう思うのもやむを得ない。しかし実際にはそんなこ
とはないのである。

 どういうことかというと、私の場合今現時点では約十五万円の家賃の半額が
勤務先から賃貸住宅の場合の住宅補助として支給されているのである。これは
「賃貸住宅の場合」に支給される補助であって、形式はどうであれ正式な賃貸
契約を結んでいない住宅(ローンの有無にかかわらず持家、親の家に同居、居
候など)の場合は一円たりとも支給されない。つまり支払家賃と補助の差額、
約七万五千円が自分の持ち出し金額となっている。今の勤務先の私の職階の給
与制度には住宅手当とか家族手当といった日本伝統のなれあい支給の意味不明
な手当ては存在しないのである。

(続く)