「お替わりはいかが? 〜1461〜」

1999.07.04 (Sun) ==========================

□ 「子供いらない」世代 〜1〜

 読売新聞七月四日(日曜日)付け東京向け紙面第十四版一面に「結婚しても
子供いらない」という活字と「30代以下女性2割超す」という活字が踊って
いた。この記事は、総理府の「少子化に関する世論調査」の結果の報道である。

 記事によれば、「結婚しても子供をもつべきだとは思わない」、「どちらか
といえば結婚しても子供を持つべきだとは思わない」という二つの回答の合計
の年齢層別分布には驚くべき物がある。

 まずは女性の場合。60歳以上では、4.6%、50代では8.7%、40
台では15.3%、30代では21.7%、18歳〜29歳では20.3%が
子供は不要だと答えている。男性の場合は、60歳以上では3.2%、50代
が5.4%、40台が10.2%、30代が10.1%、18歳〜29歳が1
3%が不要だと答えている。子育ての辛さについては、女性で最も多いのは
「自分の自由な時間がなくなる」、「自分が思ったように働けない」という答
えが多く、男性は「将来の教育にお金がかかる」が多かったらしい。

 法律面ではすこしずつとはいえ、男女の社会進出上の差別の壁がひくくなり
つつあるが、現実のインフラ面ではまだまだ男性中心主義であるのは否定でき
ない。子育ては女性の仕事であるという風潮がまだまだ多いのは確かであり、
社会で自分の仕事を持ちたいという女性の意思がなかなか通らないことが多い。
採用に関しては法律により男女差別はできなくなったのだが、入った後の昇進
や昇格についてはまだまだ現実的な差別が存在し、それがすぐになくなりそう
もない。

 子供を産むのが女性であることは変えようがないし、生後一定期間は母親が
絶対に必要であるのは疑いようも無い事実である。その事実を見とめたうえで、
それをどうやってカバーし、女性がどうすれば、社会進出の機会と継続ができ
るような制度を獲得できるのかは、未だに日本では大きな問題である。男性自
身の姿勢として「俺は会社の仕事が沢山あるんだ、子供のことはお前が面倒を
みろ」という人がまだまだ多いのも事実だ。子供は不要だという回答に男性の
割合が低いのは、「子育ては自分のことではない」という意識が強いからでも
あろう。その意識は高齢になるほど強くなり、したがって調査結果でも五十代
や六十代の子供不要論者が激減するのとあながち無関係ではあるまい。

(続く)