「お替わりはいかが? 〜1462〜」 1999.07.05 (Mon) ========================== □ 「子供いらない」世代 〜2〜 実際、今の五十代や六十代で子育てに積極参加したと胸をはって言える人が どれくらいいるだろうか。その世代の多くは高度成長時代を担ってきた大量生 産教育を受けた画一価値観世代でもあり、会社一筋仕事一筋でないのは罪悪だ、 家族は二の次、すべては会社にささげねばならないといった世代の中心でもあ る。そして、それらの滅私咆哮を不況により見事に裏切られた世代の中心でも ある。 話しがそれてしまった。社会に出て自分の能力を磨き、自分の能力を生かし た仕事につきたいというのは男女変わらぬ願望であろう。その時に障害になる のは家事や子育てである。家事に関しては外食産業の発展やコンビニエンスス トア、家電製品の発達により、良し悪しは別にしてかなり融通がきくようにな った。だが、出産と新生児の子育てについてはそうはゆかない。零歳児の間は 母親の存在は不可欠である。母乳で育つ場合は当然として、ミルクの場合も母 親の胸に抱かれて屋すらかな気持ちでミルクを飲むのはとても重要だ。ちなみ に私が赤ん坊の頃ミルクで育つことを「人工栄養」と称したらしい。英語だと 人工栄養で育てることを「bottle-feed」といい、人工栄養で育った赤ん坊を 「bottle baby」(bottle babyには俗語でアル中の人を指すこともある)とい う。逆に母乳栄養で育てることは「breast-feed」であるが、母乳栄養で育っ た子供を「breast baby」とは言わないようでこれは聞いたことがない。余談 になるが、英語には日本語で言う「甘やかす」にぴったり当てはまる言葉は存 在しない。とくに子供とは言えなくなった人をさして「甘やかす」とは言わな いし、そもそもそういう概念が存在しない。「breast-feed」は母乳栄養で育 てることだが、甘やかすに近いニュアンスを持たせることもあるらしい。 話しを戻すつもりが、さらに話しがそれてしまった。若い世代、特に出産を する女性が「子供不要」と考える人が増えてくるのは、少子化という意味では 重大な問題だろう。だからといって「子供を産め、子供を産み育てることは楽 しいことだ」などと呪文のように唱えるのは無意味だ。女性の社会進出をサポ ートするようなシステムが必要となっている。零歳児保育、延長保育、企業内 保育施設等など数え上げればきりが無いが、基本的にはすべて保育に関して女 性を支援するインフラの構築である。厚生省も「育児をしない男は父親とは呼 ばない」などとポスターを作っているだけではダメなのだ。 社会で仕事をすることについての男女平等というのは、ちょっと法律を作っ てオシマイといった簡単な話ではない。 (完)