「お替わりはいかが? 〜1482〜」 1999.07.25 (Sun) ========================== □ JR通勤電車の事故 〜2〜 駅構内ではしきりに振替輸送の呼びかけをしているが、これがまた恐ろしく 不親切である。南口改札ではずらりと並んだ自動改札機の脇の有人改札のそば で三名ほどの駅員が振替乗車券を配ったり、振替輸送の案内をしているのであ る。その周りは当然黒山の人だかりだ。振替乗車票を貰っても、これでどうや って地下鉄に乗るのかがわからないし、切符には「降車駅で渡せ」としか改定 ないから不親切極まりない。あるいはJRは毎度毎度事故遅延ばかり起こすから、 乗客のほうも振替乗車票の使い方くらいは知っていて当然とでも思っているの だろうか。まったく信じがたい対応の悪さである。 結局一度は手にした振替乗車票も使い方も黒山の人の中では教えてもらうこ ともままならず、結局素直に自分で切符を買って地下鉄経由で出勤した。振替 乗車票の説明をいちいち各乗客にしている暇がないのは理解できる。しょっち ゅう事故遅延を起こすJR東日本なのだから、基本的な説明などをあらかじめ大 きなパネルにして掲示するとか、振替乗車票の発行や案内にはもっと多くの職 員を投入すべきだ。 なにより腹立たしいのは、車内アナウンスと駅構内アナウンスの違いである。 先日NHKの番組で中央線の事故遅延の問題をやっていたが、このときも駅構内 アナウンスは「まもなく発車するから乗れ」といい、車内アナウンスは「発車 できる目処はたたない」ということがあったらしい。これと同じ事が今回も発 生している。今回は代替手段案内であるだけに、電車に乗れ降りろといった事 より影響は大きい。総武線利用新宿戻りの埼京線利用を勧めるアナウンスを聞 いてかなりの人が降りたのだが、彼らはみなアナウンスどおりには乗れなくて 新宿でしばしぼうぜんとしたに違いないのである。 駅のアナウンスと車内アナウンスの違いが生まれる原因は、車掌には運転指 令からの指示した伝わらなくてこうした駅の状態は届かず、一方駅員には運転 指令がどんな指示をしたか、車掌がどんなアナウンスをしているのかがわから ないことになる。皆それぞれの立場で努力はしているのだが、情報共有ができ ていないものだから、自分に与えられた偏った情報の範疇で頑張らざるを得な いのだ。その頑張りが空回りしたり、ときには駅員と車掌で互いに反対向きに 回転したりして結局乗客が振りまわされている。 これがまだ列車故障や小さな事故だから救いがあるが、もっと大きな災害だ ったらどうなるのか。非常時の指示系統の統一や情報共有は非常に重要な問題 であるにもかかわらず、これらができていないのは、JR社内に縦割りの壁が分 厚く存在するからなのだろうか。同じように広域活動をしていても、自衛隊や 警察・消防などはきちんとした指示系統がなりたっており、それに基づいて整 然と活動しており、さきのようなちぐはぐはあまりない――存在しないわけで はないだろう、ただ目立たないだけかもしれない。 JR特有の事情としては大きな駅には何本かの路線があつまっているが、運転 指令はその路線ごとにことなっている可能性があるということだ。山手線で事 故が起こってごたごたしていても総武線は関係ないかもしれない。言ってみれ ば縦割り部隊が一杯いることになり、乗客は縦割り部隊の間で振りまわされて いるのである。そういう事情もあるにせよ、だが現状はあまりにもひどすぎる。 せめて駅員にも受令器をもたせて正確な情報を駅員に届けるくらいの努力はし てほしいものだ。 (完)