「お替わりはいかが? 〜1490〜」

1999.08.02 (Mon) ==========================

□ 東京の暑さ

 東京(区部)ではもう何日くらい熱帯夜が続いているのだろうか。私は会社
のある日は朝六時前に起きる。そしてテレビをつけるのだが、そこで見る天気
予報の朝の気温はこの時間にしてすでに25度を軽く上回っているという日が
続いている。

 東京の昼間はアスファルトやコンクリート、ビルのガラスの反射や冷房排熱
や車の排気ガスで、湿度の高い熱気に体が包まれるような暑さでまさに低温サ
ウナという言葉があてはまる。これにくらべれば秩父やサイパンの暑さは日差
しの強さからくる自然の暑さなので、昼間の屋外の暑さは確かに猛烈だが十分
耐えることができる。しかし東京では人工的な熱がこもり、これが夜になって
も冷えないというヒートアイランド現象によりますます都心やその周辺の温度
は上がって行く一方なのだ。

 その証拠に文京区にある小石川植物園でもシュロが増え始めているという。
明治時代の東京の一月の平均気温は摂氏一度ちょっとで時には氷点下十度くら
いまで冷え込んだときもあったという。しかし今は同じ一月でも平均気温は数
度ほど上がってしまっているらしく、区部で氷点下を示すことはめったになく
なった。シュロというのは繁殖力は強いが氷点下に下がるような土地では自生
するのは困難らしい。そのシュロが近年のヒートアイランド現象で都心の緑地
に強力にはびこり始めた。このままだと皇居や小石川植物園が亜熱帯植物園と
化してしまうのもそんなに遠い先ではないというではないか。

 とにかくそのようなわけで東京の夜はエアコン無しに眠ることは不可能だ。
このエアコンをつけるという行為がヒートアイランドの悪循環に拍車をかけて
いる。それは理屈では十分承知しているが、現実問題エアコンがなくては眠れ
ない。眠れないと体を壊すし仕事でもミスもする。それでは大変こまったこと
になるので、やむなくエアコンをつけることに鳴る。我が家の寝室にはエアコ
ンはつけていないが、隣の居間にエアコンがあるので、居間との境を開け放っ
てエアコンをタイマーでかけて眠るのだが、このタイマーも一時間や二時間で
は切れてすぐに暑くなって目が覚めてしまう。結局タイマーの終了時刻は朝起
きる直前の時間になっていたりする。

 東京、とりわけ私の住む練馬区がかなり暑いところであるというのは、一昨
年マウイ島に行ったとき、ホノルルのトランジットで外に出ても半袖では涼し
くて鳥肌が立ちそうだったのには驚いた。自分でも知らぬうちに亜熱帯東京の
人工気候になれてしまっていたのだ。この調子だと東京在住者がシンガポール
に行っても暑く感じない、それどころか涼しく感じる日も近いかもしれない。