「お替わりはいかが? 〜1520〜」

1999.09.01 (Wed) ==========================

□ 長期休暇 〜1〜

 今年のお盆は中途半端な曜日構成だったこともあって、休暇のピークはかな
り前後に分散したような気がする。お盆後半の週(八月十六日の週)は私は旅
行中だったのでわからないが、その翌週(八月二十三日の週)も通勤電車の中
のサラリーマンの姿はまだまだ少なかった。昔はお盆に高い山があった休暇カ
ーブが、お盆を中心に分散化が進み山はなだらかになってきたようだ。

 サラリーマンの夏季休暇は分散化が進んでいるとしても、その長さはどうな
のだろう。比較的恵まれた会社(あるいは職種)の人で平日五日間に加えて前
後の土日をつけて都合九日間といったところだろうか。私の勤務先も夏は一斉
取得ではなく一定期間内での連続五稼動日を各自で自由に取得するから、大抵
の場合は前後に土日をつけて九日間になるし、真中に土日を挟む最短パターン
でも七日間の休みになる。

 日本の場合、会社員がとれる連続休暇は、年末年始休暇、ゴールデンウィー
ク、夏季休暇あたりに限られていることが多い。欧米に比べると長期休暇をと
らないという説が、先月二十二日の朝日新聞社説にのっていたが、その局面だ
け捕らえればたしかにそうかもしれない。ただ、欧米にはゴールデンウィーク
や年末年始の休暇、お盆などという習慣はない。有給休暇を除けばキリスト教
圏の国ではせいぜいクリスマス休暇があるくらいのものではないだろうか。祝
祭日や国民の休日にしても日本のほうがアメリカ(州にもよるかもしれない)
よりは双方のカレンダーを見る限りおそらく多いのではないか。だから必ずし
も現在の日本人が休みを取れていないという見解があたっているとは思わない。

 ただ、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆を除けばそれ以外に有給休暇を
連続して一週間とか二週間もとるようなことは、ほとんど不可能だ。いや、正
確に言うと不可能ではなく、不可能だと思い込み、あるいはその思い込みが不
可能にしてる。これは同社説が論じているように、定められた定休以外のほか
に、傷病以外の理由で有給休暇をとることは罪悪であるという思いがどこかに
あるからではないか。あるいは当人は罪悪感はなくとも職場の雰囲気がそれを
ゆるさない、それを罪悪であるとみなすような風潮が蔓延しているからだろう。
有給休暇を取得することが罪悪であるような風潮の中心に居るのは、滅私奉公
ですべてを会社にささげた高度成長期に活躍した世代、おそらくは五十歳前後
以上の人であろう。役職でいえば今はベテラン課長か部長クラスの人で多くは
それなりに権限や影響力をもっている人だ。本来ならそういう人が率先して計
画的に休暇をとりリフレッシュをするような手本を示さねばならないのだが、
どうもそういうことが苦手なのか嫌いなのか、会社にきていないと落ち着かな
いらしく、会社の定休しか休まない人が多い。本人はそれで満足しても部下は
こまる。会社が制度を改善して有給休暇の取得率向上をうたっても、上司がこ
れでは部下だって休暇をとりにくかろう。

(続く)