「お替わりはいかが? 〜1543〜」

1999.09.24 (Fri) ==========================

□ 台風と雷

 台風18号が九州に大きな被害を残して日本海へ抜けて北海道のほうへ向かっ
た。九州の方にはまことに申し訳無いのだが、近畿から首都圏、東北地方に住
む人にとっては幸運であった。しかし、東京近郊は今日(金曜日)の夕方近く
から時折猛烈な風に大粒の雨が翻弄されて、オフィスから外をみているとちょ
っと外へ出たくはないような感じだったが、しばらくすると何事もないように
雨がやんでしまうのはちょっと不思議な感じだ。

 台風といえば、私の記憶にあるのは鉄筋コンクリートの団地に住んでたころ
で、アルミサッシを一枚隔てて静かな部屋の中で、荒れ狂う嵐を見るのはなん
となくわくわくしたものだ。親のほうはといえば、当然それなりに心配だった
とは思う。

 実際問題、当時の公団住宅のアルミサッシというのは今の物ほどがっちりし
っかりしたものではなく、側面の隙間こそないけれど、下の部分、つまりレー
ルにサッシがのっかっている部分の外側と内側のガードが低かったので、風の
具合と雨の量によっては、サッシの下側の部分から雨水が吹き込んだりするこ
とも希にあった。そういうときは内側(つまり室内側)から雑巾をあてて吹き
込むのを防いだものだ。今から思えば鉄筋コンクリート製のアルミサッシ付き
建物のわりには情けない話で笑い話だが、懐かしい思い出だ。

 安全な室内から嵐を眺めているのはなかなかエキサイティングな経験であっ
たが、もう一つ思い出にあるのは、雷雨を室内から眺めることだった。雷が成
り始めると窓際に陣取って、光ってからの秒数を数えて、それに340をかけて
雷の発生しているところまでの距離を計算したものだ。最初にうちは光ってか
ら雷鳴が聞こえるまでの時間が十秒以上あって、まだ三キロから四キロも先だ
ったのが、段々時間が短くなってきてそのうち二秒とか三秒程度、距離にすれ
ば一キロほどのところになり、雷鳴も比較にならないほど大きく激しくなって
くる。遠いと「ゴロゴロ」に聞こえるが、近いと「ピシャーン」になるのだ。
今では雷で停電することはあまりなくなったが、当時は結構停電があり、雷鳴
と同時に室内のあかりが全部消えてしまい、窓からの光景から人工のあかりが
きえてしまうのも子供心に不思議な経験だった。

 そんなことも遠い昔の出来事となり、私もそれだけ歳をとり、今や嵐や雷は
単純に通勤にとって嫌なものでしかなくなってしまった。どうも夢がなくなっ
たというか現実的になってしまったようだ。