「お替わりはいかが? 〜1572〜」 1999.10.23 (Sat) ========================== □ 潔癖症国民 〜1〜 抗菌をうたった商品が出てきて久しい。要するに特殊な薬剤加工などをほど こして、雑菌がその製品につきにくくしたものだ。 最初に抗菌をうたい文句にした商品がなんだかわからないが、恐らくビジネ スソックスとかではなかったろうか。一日中革靴を履いているサラリーマンの 足は実に心地よい温度と栄養たっぷりの汗と高い湿度で雑菌が繁殖し、特有の 嫌な臭いを放つし、水虫の原因にもなるということで、この手の加工を施した ものが出たように思う。 それから、抗菌加工の対象はどんどん広がっていった。寝具リネン類、下着 くらいまではまだ理解できなくはないが、最近は人の手に触れそうなものには、 ことごとく抗菌加工を施した商品が登場しており、パソコンでは抗菌加工のキ ーボードや抗菌加工のマウスまで出てくる始末だ。 ここまで雑菌を嫌うこともなかろうにと思うが、厚底サンダルに厚底ブーツ やキラキラのラメ商品同様単なる流行であるとしか思えない。この手の商品を 愛用する人が本当に清潔好きかどうかは多いに疑問があるところだ。外出先か ら自宅や会社に戻ったら手を洗ってうがいをする、現金をいじったあとは手を 洗う、食事前には手を洗うといった昔から親に躾られてきたところがきちんと できているかどうかだ。 抗菌素材愛用者かどうか別にすると、電車を使って通勤して会社について洗 面所で手洗いうがいをする人はまずいない、ましてランチタイムの食事に出る 前に手を洗う人は皆無に等しい。さすがにトイレを使ったあとは手を洗うが、 男性には手を水にくぐらせるだけの人が実に多い。下手すると個室から出てき た人も手を水で濡らすだけの人もいたりして、こういう人にこそ抗菌素材を使 わせるべきだとすら思ってしまう。 それでは抗菌素材愛用者が清潔の基礎中の基礎がきちんと出来ているのかと いうと、私の想像でしかない部分が多いが、やはり疑問がある。思うに彼ら・ 彼女らにはさきほども書いたように抗菌グッズは単なる流行物でしかないだろ うか。 〈続く)