「お替わりはいかが? 〜1581〜」 1999.11.01 (Mon) ========================== □ 近頃のデジタルカメラ 〜1〜 最近発表されるデジタルカメラは、各社とも光学ズームと200万画素オーバ ーをうたい文句にしている。かなり多くのメーカーがそろいもそろってこうい う同じようなところをうたい文句にしているのだが、これらの機能がデジタル カメラにとって本当に必要なのかどうか個人的には疑問である。 まずは光学ズーム。光学ズームの常としてズーム、特に望遠側のズームを入 れるとレンズがとたんに暗くなる。望遠ズームで明るさを求めようとすると、 今度はレンズ口径が大きくなってくる。実際普通の一眼レフでも明るい望遠レ ンズは口径も大きく価格はべらぼうに高い。最近はデジカメに限らずコンパク トカメラでも三倍くらいの光学ズームレンズを持っているものがあり、これは 確かに便利に違いないのだが、便利だから綺麗な写真が取れるわけではない。 コンパクトカメラやデジタルカメラに無理やりズームを突っ込む物だからレ ンズはく楽なるし、重量だっておもくなってしまう。そのくせあの程度のズー ムでは望遠側にはまだまだ足りないし、かといって広角側もまったく足りない というどっちつかずの代物だ。 35mmカメラで言えば、比較的使う焦点距離の範囲は28mm〜80mm程度で、せい ぜいこれに150mm程度があればよい。200mm以上の望遠は子供の運動会でもない かぎりまずつかわないし、200mmでは父兄席から子供を取るにはまだまだたり ない。どう考えても400mm程度が必要になるが、400mmの望遠レンズはなかなか 素人には使いこなせないし、何より宝の持ち腐れである。広角側でいえばコン パクトカメラの焦点距離が35〜38mmくらいのものがおおく、この焦点距離のレ ンズがつくる画角では室内撮影には足りないことが多い。経験的には35mmフィ ルム換算では広角側には28mmが必要だ。私は一眼レフで望遠ズームと28-80mm のズームの両方を持っているが、使うチャンスが多いのは圧倒的に28-80mmの ズームでそれも広角側の80mmとかではなく、28mm程度なのだ。80mmという焦点 は人物の上半身をポートレートとして背景をぼかすのによい。これを広角でと ると被写界深度の関係でぼかしたい背景もはっきり写ってしまうのだ。日常の 家族撮影ではこうしたポートレートをとることは少ないから、やはり被写界深 度が深い広角側で一歩、二歩被写体に近寄って撮影することがおおくなる。 光学ズームは確かにあれば便利だが、安直な小口径ズームにしたためにレン ズは暗くなるし画質も落ちてしまう。同じ200万画素ならCCD以降の電子処理系 が同じなら絶対に固定焦点レンズのほうが綺麗な写真を撮れる。わざわざ高価 な光学ズーム搭載のデジカメを買うメリットは現実のシーンでは非常に少ない というのが私の考えだ。やたらそういう機能を付加するのは、それにより付加 価値を高めて価格を高くして利益を高くしようというメーカーの策略に他なら ない。 (続く)