「お替わりはいかが? 〜1612〜」 1999.12.02 (Thu) ========================== □ ハワイの余韻 〜2〜 私に書くも深くの余韻を残すハワイの魅力とは何だろうか。いろいろなとこ ろへ旅をした人に限ってハワイは行ったことが無いというケースが少なくない ように思う。そういう人の中には「ブランドショップでの買い物目当てのちゃ らちゃらした日本人がわさわさ押しかけるようなところ」というイメージをハ ワイに対して持っている人がいるようだ。 確かにワイキキの周辺は日本人であふれ、それを狙う各種高級ブランドのシ ョップや高級ホテルが立ち並んでいるのは事実だ。だが、その一体をちょっと はずすと驚くほど日本人が少なくなる。パタリと日本人が途絶えるという言葉 がぴったり当てはまる。こんなふうに日本人がわちゃわちゃゴキブリのように ショップに群がっているのは、確かにハワイの顔の一つではあるが、しかし、 それはハワイ諸島のごくごく一部の姿にしか過ぎないのである。ハワイ州の経 済にとっては重要な要素の一つ(といえば聞こえは良いが、要するに海外では 財布の紐が甘くなる日本人から金を吸い上げることができる大切なところだ) であるのは確かだが、ハワイの魅力は実はワイキキの一部のような下らぬとこ ろにあるのでない。 マウイ島やハワイ島を一周してみるとわかるが、小さな島でこれだけ多様な 環境を持っている島は、世界広しといえどもそうそうあるものではない。これ らの火山島の東側は貿易風の影響で非常に雨が多く、年間降雨量が10,000mmに も上る街すらある。しかし、そこから一時間か二時間ほど車を飛ばした島の西 側になると、年間を通してほとんど雨のふらない乾燥した気候になる。 島の北東部から東部にかけては、場所によっては熱帯雨林が生い茂るような ところだが、島の南西部は火山の裾野で非常に緑も少なく、街もほとんどない あらあらしい火山の後姿を見ることができる。そして島の西側は東側から水を 引いてきて人工的に作られた多くの街やリゾートがたちならぶ非常に過ごしや すい気候の美しいところだ。これだけの気候や風景が一つの小さな島に同居し ているのだから、驚異的という言葉以外に適当な言葉が思いつかない。これら の姿を知るにつけ、ますますその魅力と深さにとりつかれてしまい、訪れるた びに余韻が大きくなって行く。 ワイキキビーチとショッピングだけがハワイだと信じこんでいる多くの方が 知っているハワイは、ハワイのほんの一握りの部分にしかすぎない。それも特 別(言いかえれば異常な)な部分にしか過ぎない。それでは余韻は少ないので はないだろうか。 (完)