「お替わりはいかが? 〜1635〜」 1999.12.25 (Sat) ========================== □ 2000年問題 〜3〜 世の中にコンピュータがものすごい勢いで入りこんでいて、その規模の大小 を問わなければ、もはやコンピュータが入っていない電子機器のほうが少ない くらいだ。当然それらには何らかのソフトウェアが使われており、そのソフト ウェアはその電子機器が生み出すハイテクの世界とは裏腹に、汗にまみれた人 での作業の成果なのである。人が作る以上誤りはつきものというべきだが、さ りとて使用許諾のように、誤りはつきものだからそれを承知で使ってくれたま え、万一そのソフトウェアの誤りが原因で何かが起こっても一切知らないから ね、と開き直る姿勢は同じ業界の人間としても甚だ疑問だ。世の中にはいろい ろな契約があるが、ここまで顧客不在の契約がまかり通るのはコンピュータ業 界だけではないか。 コンピュータに関してもう一つ問題なのが、コンピュータ専門家以外のコン ピュータの盲信である。例えば銀行のATMで引き出しを指定した金額に満た ない額の現金しかでてこなかったとしよう。当然銀行の係員に申し出る。係員 は一応機械を調べるが、あからさまない疑いの眼をこちらにむける。まるで詐 欺師でもみるような目つきだ。自動券売機だってそうである。現金をいれたの に切符が出てこない、機械を調べてもわからない場合などは、駅員は露骨にこ ちらに疑いの眼を向ける。いずれの場合も機械は間違えない、コンピュータは 間違えないという誤った認識が根底にある。機械もコンピュータもエラーがな いのではなく、人間に比べるとエラーの発生率が格段に低いだけの話しだ。所 詮人間が設計したものだからどこかに間違いがある、その間違いにたまたま落 ち込むといろいろな不可解なエラーが起きるわけだ。 今回の2000年問題は見方をかえれば、コンピュータもそれを作った人間 が馬鹿だと、馬鹿の指示通りに間違えるということを世界中で証明したことに なる。そういう意味でコンピュータは絶対ではないということの理解が少しで も進めば、少しは2000年問題に意味もあるかもしれない。 さて、それにしても2000年問題は少し騒ぎすぎのような気がする。まる で元旦の午前零時に日本が沈没するかのような騒ぎだ。まさにパニック寸前の 状況で、これで何か大きなきっかけがあれば、大混乱のパニックになること疑 いない。あるテレビの該当インタビューでは主婦100人中80人近くが12 月30日近くに銀行へ記帳に行くという。もっともこういう騒ぎの発端は米国 のようで、連邦政府のあおりたてもあって、通帳というものが存在しない米国 の銀行では預金残高証明を取る人がかなり多くなっているらしい。 (続く)