「あいちゃんの散歩道」

第12回 海外ツアー旅行と海外個人旅行


1.パックツアー? 個人旅行?

 個人レベルでの海外旅行には大きく分けると旅行代理店主催のツアーと個人手配旅行がある。旅行代理店の店頭に並んでいるパンフレット等をみて申し込むのは明らかにツアーだし、航空券は自分で航空会社へ便を予約したり購入し、宿は自分で直接ホテルや現地エージェントとコンタクトを取って旅程を全部自分で作り上げるのは、まぎれもない個人手配旅行だろう。

 しかし、どちらかにわけるとしたらどちらにわけるか、人によって意見が異なるものもあるかもしれない。例えば、業務海外出張。多くの場合実際に行くのは一人とか二人の個人単位であるから、その意味では個人旅行だが、手配をするのは大抵は会社の総務部門やあるいは大きな会社だと子会社の中の旅行も扱う会社だったりして、社員が直接航空会社に電話したり発券してもらったり、あるいは現地ホテルと直接連絡をとったりすることは稀だろうから、そういう意味では個人手配ではなく、エージェント手配のツアーに限りなく近い。まして現地の空港には駐在員が迎えに出てくれたりしたら、まさに「現地係員がお世話をします」という一般のツアーとほとんどかわることは無いから、これはもう立派なツアーではないだろうか。ただ、パッケージツアーと違ってコースはよりオーダーメードに近いというだけだ。

 旅行会社の扱う商品のメインは、往復の交通やホテル、時にはアクティビティもセットにしたパッケージツアーであるが、中には格安航空券や正規割引運賃の航空券と、ホテルにそれぞれ多くの選択肢を作り、それらを客が任意に組み合わせて作り、旅行中にはパッケージツアーのように、現地係員や添乗員が世話をすることは無く、現地での行動は現地での移動を含めてすべて客が勝手に行う、といったものもある。これなどは旅行が始まれば個人旅行だが、手配のうちはほとんどパッケージツアーである。

 私は、残念ながら(あるいは幸いにも)海外業務出張が必要な仕事にはタッチする機会はなかったし、個人的なバケーションでの海外旅行もそんなに沢山したことはない。しかし、パッケージツアーと完全個人手配旅行の経験はあり、それも同じ場所へツアーと個人手配の両方で旅行した経験があるから、それに関しての比較はある程度可能だ。

 パッケージツアーと個人手配旅行のどちらが良いか?とは、旅行情報雑誌の表紙にでもなりそうなテーマだが、これはどちらが良いかなどと一口に片付けられるものではない。どちらにもメリットとディメリットがあり、自分の求めるところに応じてそれらのどちらがより理想に近いかで決めればよいことだ。周囲の人がツアーが良いと言っても自分にとってもそれが良いとは限らないし、無理して個人旅行を決めこんでもそれがツアーより自分にフィットしているとは限らない。大切なのは両者のメリットディメリットを把握してうまく使い分けることだろう。

 私はあえてわければ海外旅行は中級者以下の経験しかないが、上級者をほとんど自称する人の中には、頭からツアーを馬鹿にしたりする人がいるがこういう姿勢はどうかと思う。そういう人に限って意外とツアーを経験していなかったりすることもあるもので、どちらか一方を取り上げてこちらが良い、と知った顔で話す人の話は、半分くらいは疑ってかかってもよいかもしれない。

2.ちょっと話しは外れますが...

 他人の話しを疑うという意味では、「危険」に関する情報だ。「どこそこは危険だ」といった話しをよく聞く。もちろんそうした情報には本当に命にかかわる危険を示すものもあり、非常に極端な例を言えば、戦乱の頃の地雷源であった地域などがそうだし、あるいは政情不安定でいつクーデターが起きてもおかしくないような国・地域の地域も、一般の観光目的の旅行者にとっては危険であることに間違いは無い。これらを無視してゆくと、何があっても保険すら支払われなかったりするから、最低限注意すべき情報だろう。

 日本は比較的治安の良い安全な地域である、と我々日本人は信じているようで、他国は自国より治安が悪いと信じて疑わないし、衛生面でも安全な国だと信じている人が多いような気がする。もちろん先進国の中にも、相対的に日本より衛生面で劣るところはあるし、治安も日本より明らかに悪いところは多いのだが、だからといって日本が極端に安全で衛生的な国だとは思えない。それは生まれたときからこの国で生活しているから、身の回りの危険や不衛生は本能的に、あるいは親から教えられたり経験したりして、無意識のうちにそれらの危険や不衛生を避けているだけの事であろう。

 特に近年の日本をみると、先進国の中でも日本がダントツに安全で衛生的だとはとうてい思えない。それどころか、環境問題、地下鉄サリン事件を筆頭にした限りなくテロに近い犯罪、暴力団抗争、身近なところでは朝夕混雑したホームでの一触即発の殺気だった雰囲気、消毒臭のきつい水道水、汚れた土壌、星の見えない空、冬でも異様に暖かなヒートアイランド現象、家庭内暴力、学級崩壊、と安全と衛生を脅かすネタは数え上げれば切りが無いくらい多い。米国などと比べると、銃刀類の所持が厳しく規制されているから銃による死傷者を生み出す犯罪が少ないだけの話しではないか。

 とはいっても、日本では、レストランで鞄を放置してトイレに行っても、多くの場合は無くならずに残っているし、空港ロビーで荷物を隣に置いて他のことに気を取られていても、比較的荷物は無くなりにくいのは事実であり、そういう意味においては安全かもしれない。だが同じ事を他国{よそ}でやるとそうそ安全とは限らない。他国{よそ}は、「荷物から目を離したお前が悪い、それでは盗まれても仕方ない」のが当たり前の所のほうが多いようで、一歩日本の外へ出たら「当たり前に注意すべきこと」なのに「日本と同じ感覚で物事をすすめてしまい被害にあう」人が非常に多いようで、その結果不幸にして(あるいは当然のごとく)被害にあい、「どこそこは危険だ」となるのだろうだ。危険はどこにでもいろいろな形で存在するのだけれど、その土地に住んでいると、無意識に危険を避ける習慣が出来ているが、旅行者にはそれがないというだけだ。

 いろいろな旅行関係の本や雑誌を読んでいると、空港のロビーで荷物のそばから離れた一瞬に盗まれたり、スーパーやデパートで子供だけで勝手に歩きまわらせてしまい融解されそうになったり、夜の公園に行って命からからがら逃げ出したり、新婚カップルが深夜の街をトランクを転がしながらホテルへ徒歩で向かって(これが意外に多いらしいから驚く)怖い目にあったとか、そういう話しを目にすることができる。これは、原因がどこにあるにせよ、おそらくは当事者の体験談だろうから、誇張はあるかもしれないが、真っ赤な嘘であるとは言えない。しかし、それを読んだだけの人が「ほら、どこそこは危険なんだ」というのはあまりにも早計である。

 日本に遊びに来た外国人がたまたま車中でスリにあい、その話しが彼(彼女)の母国の友人達にひろまり、「日本は怖いところだ、電車に乗ると財布がなくなるらしい」なんて風評がおこるかもしれないし、彼(彼女)の友人達は日本の電車は怖いものだという風に思うかもしれないが、我々の多くは常識的な用心をして(そうでない人も多いが)なんとか防いでいるわけで、ことさら日本の電車が危険なわけではあるまい。もっともスリに関して言えば日本人の手先の器用さが裏目に出て、芸術的なスリも多いようだから、どんなに用心しても擦られるときはすられるかもしれない。

3.ツアーのメリット・ディメリット

 閑話休題。ツアーと個人旅行の話しにもどろう。以下は私の経験の範囲での個人的な考えである。まずはツアーのメリットから行こう。ツアーのメリットはなんといっても楽チンなことにある。パンフレットをみて近くの旅行会社に申し込んでツアー費を支払えば手続きは終了で、あとは決められた集合時間に空港へ行き時には説明を聞いて、それから航空券をもらって(チェックインして)機中の人となるだけでよい。現地につけばあらかじめ説明された目印にしたがって、現地係員を探せばあとは現地係員の言うとおりにしていれば、自動的にホテルまで送ってもらえてホテルのチェックインまでやってもらえる。帰国の際も荷物は所定の場所に出しておくだけでいいし、あとは迎えが来て空港まで送ってくれて、ときにはチェックインまでやってくれる。そして自国の空港に到着して終了だ。ツアーによっては、現地観光もあったりして、短い時間でポイントを抑えた名所(買い物名所も当然含まれる)も紹介してくれたりする。これはもう楽チン楽チン、何も心配することはない。万一ホテルがとれていたなったり、飛行機が遅延して乗り継ぎができなくなっても自分自身であたふたと手続きにかけまわったり国際電話をかけたりする必要はなくて、ツアー会社係員がきっちり対応してくれるのを確認すればよいのである。

 もう一つツアーのメリットは、大量販売によるディスカウント価格にある。個人旅行で格安旅行をするとなると、おのずから限界がある。とくにメジャーなリゾート地だと、いくらオフシーズンにしたとしても、航空運賃などの問題から限界がある。しかし、ツアーだとそうではない。オフシーズンのリゾート地などは、そこそこの水準のホテルをつかって(個人だとバックパッカー向けの宿しかないが、リゾート地にはそういう宿はほとんどないか少ないものだ)激安価格で、個人手配の往復格安航空運賃より安かったりするから、これはもう価格ではやはり大量販売の格安ツアーにはとうてい勝てっこない。

 これらがツアーの最大のメリットであるが、物事にはメリットがある半面でディメリットがあるのが当たり前で、旨い話には必ず裏が有るのと同じだ。世の中そんなにいいことばかりあるわけがない。

 私が感じるツアーのディメリットの中で最大のものは、その待ち時間の多さである。まず出発時点では大抵のツアーは出発時刻の2時間前集合で、それも一つの窓口を時間帯で旅行会社が借りるようなやり方をしている場合が多いので、ツアーにチェックインする際には、ある決まった時間帯にしかチェックインできない。それも普通の航空会社のチェックイン窓口ではなく、団体用の専用チェックインカウンターであることがほとんどで、個人旅行客用のチェックインカウンターは空いているのに、ツアーカウンターのほうは大量のトランクと大量のツアー客で長蛇の列ができていたりするから嫌になる。

 つぎに待たされるのは現地空港に到着してからだ。自分だけ一所懸命さっさとすすんでできるだけ素早く行動したとしても、現地係員はツアー参加者が全員集まるまで、ホテルへのバスを出すわけには行かない。ほとんどの人が到着しているのに、のんびりふらふらと他人を待たせていることなど、気にもとめない不埒な客が必ずいるから、結局長い間またされてしまう。何が嫌といって、せっかく目的地に到着したのに空港内で三十分も、時には1時間近く待たされてしまうのは論外である。

 ようやくのことでホテルへのバスに乗ったかとおもいきや、ツアーによっては、あるいは目的地によっては、実はそのバスはホテルへは直行せず、ジェットラグでぼーっとしている客を市中引き回しの刑にするためのバスだったりする。いくら飛行機が早く着いてもホテルのチェックイン時刻は、あらかじめアーリーチェックインでも申し込んでおかない限りは、そんなにはやくなるものではない。大抵は三時がチェックイン時刻だ。そこでツアーのほうでは、それまでの時間稼ぎをしなくてはならないし、また提携しているショップ(客をつれてゆけばリベートがツアー会社に転がりこむ、その意味において歌舞伎町のポン引きと大差ない)にも客を連れこまねばならない。現地の半日観光ツアーが全部下らないというわけではなくて、始めての土地で様子もよくわからない場合、この半日観光ツアーは絶大な威力を発揮する。その地域でメジャーなポイントを短時間のうちにできるだけ多くみせてくれるし、現地の事情(治安事情や危険な時間帯・地区など)も教えてくれる。また、現地ツアーガイドがママさんガイドだったりすると、時には地元の学校の様子や教育事情も「日本語で」話してくれたりして、これは個人で街を歩くのではなかなか得られない情報だったりして楽しかったり、役に立つ情報も多い。この市中引き回しの刑は実は拒否できるのである。といっても日本の旅行代理店窓口でそれを言ってもおそらく「駄目だ」で終わってしまうであろう。現地に着いたら現地係員に自分の責任で自分の足でホテルに向かうから観光には参加しないと言えばよいようだ。聞くところではそのときに離団届のようなものにサインさせられて、何が起こってもツアー会社の責任は問わないといった趣旨の条文を飲まねばならないという。これはそこから先は全部自分の責任というわけであり、最悪中の最悪はとまるところがなくなる「かも」しれない。まあ、これはその届けの文を良く読んで納得した上で自分の責任で行動するべきものだ。

4.個人旅行のメリットディメリット

 では、個人手配旅行のメリットはなんだろうか。私が感じる個人旅行の最大のメリットはなんといってもその自由さにある。極論すれば自身の責任において、その国の法律等でゆるされるかぎりはどこへだって行けるのである。まあ、そこまで極端なことはいわずとも、リゾートが目的地だとしても自由度はツアーとは比較にはならない。

 まずはエアーだ。個人手配だと正規運賃、正規割引運賃、格安券といった料金面での選択肢があるが、正規運賃を単なるバケーション目的で個人支払いで利用する人はさほど多くないとは思うのでこれは省略して、正規割引運賃と格安券だ。私が利用するのは正規割引運賃(JAL悟空)だ。これは私が使う航空会社はマイレージの関係でしぼっているし、私が愛してやまない地域であるハワイ諸島へのJAL便の格安券なんてのはほとんど無いということから、自然に正規割引運賃になる。ツアーだと良く知られている通り、座席の事前指定(リクエスト)は出せないし、場所も機体後部のほうだ。いや、座席どころか便名や航空会社すら指定できないことが多い。しかし正規割引運賃を手配すると、当然航空会社は決まるし、JAL悟空の場合は事前座席指定サービスも利用可能だ。また座席も団体(ツアー)席に割り当てられる後部ではなく、前のほうの個人客の席になる。団体席だと運が悪いと、やたら騒がしい社員旅行とかの団体客が居たりすると最悪の状態になる。とにかく快適な座席を確保できる可能性という意味では、ツアーと個人手配の正規割引運賃は比較にならない。

 次に宿。安いツアーはどこの宿になるのか事前に指定できなくて、航空会社・便名・宿がわかるのは出発の一週間くらい前になって旅程表が出来てからである。ちょっと高めのツアーだと、一応宿は選べるようになるが、パンフレットをよくよく見ると「もしくは同等クラスのホテル」とか書いてあって、必ず旅行会社の逃げ道が作ってある。本当なら○○ホテルになるはずが、直前になって希望していた地理条件とは随分違った××ホテルになったりすることもあり得る。これが個人手配だと自分で宿も手配するのだから、手配方法にもよるが、希望するホテルは普通は問題なく確保できる。それだけではなく、ホテルに直接交渉すれば、部屋や階数・設備などの諸条件を細かく指定して部屋をとることも可能だが、ツアーではホテルの確定すら怪しいのに、部屋のこまかな条件を指定することなど不可能だ。

 さらに宿としてコンドミニアムを使いたい場合、コンドミニアムが宿の選択肢にはいっているツアーは非常に少ないし、あったとしてもいくつかのコンドミニアムが候補にあがっていてそれのどれになるか申し込んで直前にならないとわからない。ましてB&B(ベッド&ブレックファスト:まあ、日本で言うと民宿に近いものかもしれない)になったらツアーでは完璧にお手上げだろう。とにかく宿にこだわりたい(=高価な宿に泊まりたいという訳ではない)場合にはツアーは全くだめだといってもよい。

 もうひとつ、ツアーで大勢の日本人客と共に行き現地係員がまとめてチェックインする場合と、個人でホテルに予約を入れて自分でチェックインするのとは、気のせいかホテル側の対応も微妙に異なるような気がする。察するに、団体チェックインだと、確かに客には違いないが、大勢固まって訪れた日本人のうちの一人でしかなくて、係員の頭には客の顔を見ても名前は浮かばない。しかし個人で予約を入れてチェックインして、その際に例えばちょっとした話しをする(近くに朝食あるいはランチの美味しい店はないか、とかいった類)をすると向こうも覚えてくれる可能性がたかく、出入りするたびにフロントが忙しくなければ一声かけてみるとこれはもう効果抜群であろうと思う。そうすることでツアー客の大勢の一人ではなく、個人訪れてで自らの意思で自分達の宿を選んでくれた客なのだと向こうは思う。そしてチェックアウトの時に、本当に気に入ったならそのことを告げてほめてあげると、驚くほどの喜びを表現してくれたりするから楽しい。気に入った宿をみつけたら、毎年そこを訪れるなんてのも個人旅行ならではであろう。

 話しは脱線するが、フライトアテンダントにせよ店の店員にせよ、ホテルのフロントにせよ、平均的には日本のほうが応対は無難でそつなく丁寧にこなすことが多い。一方アメリカ人のそれは、どちらかといえば大雑把で日本人的なキリリとした礼儀などは期待できない。だが、どちらがフレンドリーかといえば、私は明らかにアメリカ人の係員のほうがフレンドリーだと思う。もちろん、最低限必要なことを、それも単語だけ並べてすませるような日本人客にはそれなりの最低限の応対しかしてくれないが、いろいろ話しかけ他時にフレンドリーな反応が帰ってくるのはアメリカのほうだと思う。対応にムラがなく平均的には良質な対応を確保しているが、しかしそれ以上のフレンドリーさを期待できないお役所的なところがつよい日本と、対応レベルに差はあるし外すととんでもないけれど、一方でいろいろ話しをきけたり、滞在を楽しめたことを告げると感情を出して本当によろこんでくれたりするアメリカと、どちらも良い面悪い面があるが、私は後者のほうを楽しみたい。無難なのは前者であるが、後者は自分(客)の有る程度の努力によりそれなりの反応がかえってくるという楽しみがある。

 個人旅行はこんなふうにメリットは多いが、ディメリットだってある。まずは手配の面倒さだ。ツアーなら近くの旅行代理店に申し込んで、一週間くらい前になったら旅程表を始めとしたツアー参加に必要なものを取りに行くだけだ。しかし完全個人手配になるとどうなるか。

 まずはエアーの確保である。ツアーならほうっておいても自動的に決まる(逆に言えば自分では決められない・選べない)のだが、自分で航空会社と利用する航空券の料金の種類(格安券、正規割引運賃、正規料金等)を決めて、正規割引や正規料金であれば航空会社の国際線予約窓口に行くか電話するかをして希望する日・便の空きを確かめて予約する。そこで航空券が発券できることもあるだろうし、JALのように発券は別というところもあるだろう。私の場合はJAL国際線予約窓口に電話をしていろいろ聞いた上で予約し、PNR(予約の係員は単に予約番号というに違いない)をもらって、それで今度はJALチケットダイヤルに電話をしてJALカードで発券してもらい、航空券を宅配便で自宅へ送ってもらう手はずを整える。JALマイレージバンクに登録しているので、予約から発券まで自分の住所や名前をいちいち言う必要は無い。

 エアーの次は宿である。個人手配だとどんな宿でも自由に選べるが、それはすなわち全部自分で手配しなくてはならないということだ。国内のエージェント(旅行代理店や予約窓口)を通して選ぶもよし、現地のエージェントを通すもよし、宿に直接当たるも良しだ。部屋の希望などを詳しく伝えて望む部屋を取りたければ、これは宿に直接当たるのがよいのは言うまでも無い。昔は大変だったと想像するが、今は電子メールで簡単にやりとりできるようになっているので、宿との交渉なども非常に楽である。宿に直接あたる場合、Webサイトに掲示してある標準料金(RACK RATE)をそのまま飲んではいけない。大抵はなんらかの割引レートが用意してある。何らかの条件がつくレートもあるが、部屋の種類が限定されているだけというものもあったりするし、割引になる上に四泊泊まれば五白目無料とかもあったりする。Web上には標準的な宿泊料金(rack rate)しか書かれていないことも多いので、まずは割引の有無を尋ねることだ。日本のホテルでもそうだが、普通は割り引き料金などこちらから尋ねない限りわざわざ教えてくれることなど滅多にないのである。

 個人旅行の場合のディメリットは、そのディメリット(この場合は「手間」)をいとわなければ、それはメリットになる。エアーやホテルを自分で細かく調べて手配するのは面倒だけれど、それをすればかなり細かなリクエストを通すこともできるわけである。価格的な面では貧乏旅行で思いっきり安くあげることも出来るし、超豪華旅行にすることも出来てしまうのが個人旅行だ。

 自分で手配するのが面倒でかなわぬという人は素直にツアーを利用すべきだろう。私の考えでは、旅は出発したときから始まるのではなく、旅をすることを決めた時から旅が始まるのである。だから、エアーやホテルを調べたり交渉したりするのも旅の一部であり、それは楽しみの一つなのだと思う。私などはこんな楽しいことをムザムザ金を払って旅行代理店に任せてしまうなんて、なんと勿体事なのだろうとすら思ってしまう。

 ツアーにもよいところがあるし、個人旅行にもよいところはある。どちらか一方だけと決めてしまうのもよいが、二つをうまく使い分けるのも手だ。たとえば、始めて訪問する土地であれば最初はツアーを使う。待たされたり自由に制限があるのは我慢すれば、比較的簡単にその土地の様子や見所を知ることができる。半日観光とか一日観光とかも参加して見る。そして二回目は個人旅行でおなじ土地を訪れる。すでに一回来ているから空港や交通事情も多少はわかっているし、観光名所にしても以前見そこなったところや、一度いったけれど今度は個人でゆっくりおとずれたいところを狙うわけだ。特に現地観光ツアーの良さはその効率の良さにあり、日本語ガイドのつくパッケージツアーのオプショナルツアーだと、日本語ガイドさんに現地の事情や治安情報などもも手っ取り早く教えてもらうことができる。つまり一回目はツアーで現地情報収集の下見旅行だと割り切るのである。そうすれば悔いなくの二度目の個人旅行をゆっくりたのしむことができよう。

 ツアーだけ、個人旅行だけにこだわるのは、あまり得策ではないと思う。そのときの目的や同行者、行き先などに応じて臨機応変にツアーなり個人旅行なりをつかいわければよいのである。


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