「あいちゃんの散歩道」

第13回 Let's note mini に Windows 2000


 私が現在持っていて何らかの形で稼動状態にあるノート PC は、Panasonic の Let's note miniの 2台である。ひとつは MMX Pentium 120MHz でメモリは 96MB の AL-N4 で、こちらはもっぱら妻がゲーム機として使ってる。もう一つは最近まで私がメインマシンとして使っていたもので、MMX Pentium 166MHz でメモリ 96MB、ハードドライブを 6.4GB に換装した CF-M32 である。CF-M32 のほうはごく最近まで、メールと @nifty フォーラム巡回のための主力機であったが、メールと @nifty 巡回をデスクトップ機のほうに移行したため、もっぱら辞書・辞典専用マシンになっていた。

 一方先月初旬に購入した Windows 2000 Professional だが、一度はデスクトップにいれてみたりしたが、会社で仕事として Professiona/Server/Advanced Server とは縁があるためいまさら珍しいものもたいしてなく、3月末現在手持ちデバイスの中で未だにドライバがリリースされないものがあり(最近発売されたスキャナで、キヤノンFB636U であるが、4月14日に対応ドライバがリリースされた)、またゲームには Windows 2000 では動かないものも少なくなかったりする。さらにハードウェア DVD デコーダ (I.O.DATAのPC-DVD2/PCI) を使ってテレビのほうに DVD を写して映画を見たりするが、これまた Windows 2000 は今のところ非対応のため、どうしてもプレインストール OS である Windows 98 Second Edition を使うことが多くなる。多くなるというか、九分九厘は Windows 98 Second Edtion を使っているのである。そうなると、せっかく買った Windows 2000 も入れておくだけディスクの無駄なのだ。結局、購入後一ヶ月の間、Windows 2000 Professional は有効活用されないまま放置されてきた。

 ノート PC で私が辞書マシンとして使っている、CF-M32 のほうだが、OS としては現在のところ Windows 98 Second Edition を使っている。最初はオフィシャル無償アップグレードになっていた初代 Windows 98 を入れたのだが、これが遅いのである。特にサスペンド状態からの復帰(レジューム)がひどく遅い。Second Edition を入れたら速くなったという話しを耳にして早速 Second Edition を入れて見ると、入れた直後は爆遅とも言える速度でレジュームしたけれど、二日ほどで元のもくあみ、爆遅状態に戻ってしまった。この状態があまりといえばあまりなので、そのうち Windows 2000 に入れ替えてやろうと情報集めを始めた。

 @nifty のフォーラム FPANAPC への書きこみによれば、CF-M32 に Windows 2000 を入れている人の報告がすでにいくつかあって、驚くべきことに内蔵デバイスはすべて問題なく認識されたという。あとは各ユーザが個別に持っているデバイスだけだ。私が普段CF-M32 で使うものというと、モデムカード (Megahertz XJ3288J-P)、PHS(DoCoMo 611S)、CD-ROM (Panasonic KXL-808AN)、LAN(CyQ've ELA-010) くらいである。昔はゲームポートとかいろりろつなげていたが、今はその手のものは全部デスクトップで使うようになったから、ノートで使うのはこんなもんである。ほかにフラッシュメモリの類があるがこれは認識されないほうがおかしいし、モデムにしてもそこはアメリカ製の古くからの歴史有る(?)モデムでこれまた認識されないほうがおかしいであろう。PHS については FPANAPC の書きこみで Windows 95 用の INF ファイルで動作するとのことである。

 問題は CD-ROM と LAN である。これはインストールや運用には必須であり、これらが Windows 2000 で動かないと話しにならない。Panasonic の Webページ (http://www.pcc.panasonic.co.jp/) によれば、三月中に対応予定だそうで、CyQ've (http://www.cyqve.co.jp/) も同じだ。Panasonicのほうは三月下旬になってβ版というかたちで対応ドライバが公開されたが、CyQ'veのほうは記憶では最初は三月半ばくらいのはずだったのに、それが一週間延ばされ、さらに三月末に延ばされ、三月末になってもリリースされていなかった。(注:現在はリリースされている)

 結局、LANカードのほうは、対応カードを別途買い求めることにして、Windows 2000 を CF-M32 に導入することに決めた。最近新宿や池袋のパソコンショップの LAN 関連売り場で黄色い箱が幅をきかせているが、その黄色い箱の CoregaFastEther PCC-TX である。100Base-T のカードだ。二台のデスクトップは 100M の全二重で接続されており、一方 CF-M32 は 10M の半二重である。これはあまりにも速度差がありすぎるし遅すぎるのである。ただ、PCC-TX は WindowsCE 機である Jornada 680 では使えないことがわかり、CyQ've の ELA-010 は WindowsCE (Jornada 680)とデスクトップの接続用として活躍する道が残ることになった。

 さて、いよいよインストールである。どうしようかと思ったのだが、まずはCドライブにプレインストールの Windows 95 (OSR2.5) を入れて、そこから別のドライブ(D)に Windows 2000 を新規インストールすることにした。RC2 ユーザとして、バージョンアプグレード製品を購入したのであるが、このバージョンアップグレード版は、ハードドライブ上にすでに Windows 95、Windows 98、Windows NT3.51、Windows NT4.0、Windows 2000 RC2 のいずれかがインストールされているか、Windows 95、Windows 98、Windows NT3.51、Windows NT4.0 のいずれかのメディアがなくてはインストールできないのである。私の場合 Windows 95 は無くても良いのだが、異なる OS でデュアルブートにするときは、Cドライブは FAT もしくは FAT32 のほうが何かと都合が良いし、万一のときもあるので、 Windows 95 を入れておくことにした。

 CF-M32 の場合、Windows 95 のインストールは、ちょっとばかり面倒であってデストップマシンに Windows 95 を入れるようなわけにはゆかず、Windows 95 の CD を使う前後でいくつかやるべきことがある。特に後のほうがちょっと面倒であってマニュアルがないとわからないような手順が続くのだ。

 それにひきかえ、Windows 2000 Professional のインストールは、Cドライブ(私は800MB ほど切った)に最初に Windows 95 を入れておくほかは特に考えることも無く、デスクトップと同様の手順で実にあっけなくインストールが終わってしまった。サウンドデバイスも、ディスプレイコントローラもあっけなくプラグアンドプレイで終わってしまったし、内蔵トラックボールも今流行りのパッド式とちがって PS/2 マウス互換で認識されきちんと動くので全く問題は無かった。

 電源管理については、Windows95 や Windows98 で使える「Panasonic電源管理」がないため、バッテリー使用時に CPU 速度を落とすといった芸当はできない。しかし、OSの重さを考えると最高速で動かす必要があるだろうから、あまり問題にはならないと思われる。

 使い勝手はいまさら言うまでも無い普通の Windows 2000 Professional であって、とりたてて騒ぐほどのことは何も無い。肝心のレジュームは、状況にもよるのだろうが、私の場合は少なくとも Windows 98 Second Edition よりは速い。Windows CE の Jornada 680 のように電源を入れたらつぎの瞬間に画面が再現するようなわけにはいかないし、プレインストールの Windows 95 OSR2.5 よりは時間がかかるが、まあ許せる範囲であると言える。感覚的には、GUI まわりが Windows 98 Second Edition よりずっと素早く反応する感じがしてなかなか心地よい。心配したメモリ 96MB という容量も、私の用途ではまず問題無いようだ。経験的には Windows 2000 Professional に必要なメモリは、64MB では明らかに不足、96MBが快適さを維持できる最低限、ワードなどの大きなアプリを常用するなら最低でも 128MB 必須といったところだろうか。私の場合メインマシンがデスクトップになったおかげで、ノートパソコンではそうした重いソフトウェアを使うことはほとんどなくなったので、96MB でも暮らしてゆけそうだ。

 デスクトップと違うのは M32 はバッテリーを搭載したノートだから、APMモードでの電源管理で、バッテリー駆動時と AC 駆動時の二つの設定があることくらいのものだ。仕事でも Windows 2000 とは切り離せない関係の私にとっては、なんとも見なれた環境がここに出来ているのはちょっと不思議な気分である。

 さて、ノート PC に Windows 2000 を入れることのメリットには何があるかというと、人によって違うとは思うが、私の場合はフォルダ・ファイル単位の圧縮ができることである。従来の Windows 95/98 における DriveSpace のように圧縮ドライブといった形式ではないから、圧縮ドライブ(=一つの巨大なファイル)が壊れると、ドライブ全体が飛んでしまうといった悲劇は起こりえない。圧縮されたファイルにダメージがあったとしても、それは一つのファイルにダメージがあったにすぎず、ドライブ全体が壊れてしまうことはない。

 また、ファイルを始めとするリソースへのアクセス権もありがたい。子供に誤って消されたら困るファイルなどは、触れないようにアクセス権を設定できる。UNIX や Windows NT の世界で生きてきた私とっては、アクセス権設定ができない Windows 95/98 は実にかったるいものであった。

 私は今のところ恩恵にはあずかっていないが、M32 にある 8.4GB の HDD の壁についても(ちなみに英語では "wall" ではなく、"barrier" と表現されている)が、Windows2000ならこの壁も条件付きで超えることができるが、メインマシンとしての機能をデスクトップに移行してしまった今では、6.4GBで十分に間に合っているから縁が無さそうだ。

 さて、ソフトウェアのほうはというと、まずまず問題ないのだが、辞典辞書マシンとしては結構致命的な問題点がアプリケーションソフトウェアの側にあることが発覚した。まず、仮想 CD ドライブ構築ソフトウェアの「CD革命/Virtual」(Windows2000対応β1)は、ドライバソフトウェアの問題で、サスペンドが出来ないのである。この手のソフトウェアのよいところは、CD-ROM ドライブを常備しない小型ノートパソコンでも CD が必要なソフトウェアを利用できることであるが、サスペンドが当たり前のノートパソコンで、サスペンドが使えなくなるとはどういうことか。呆れたことに制限事項として「サスペンド機能には対応していません」と堂々と Web ページ (http://www.ark-info-sys.co.jp/) に書かれてすませているのはノートパソコンユーザとしては納得できない。販売本数50万本とか唄っているが、その数字に偽りはないかもしれないが、数字の上に胡座を書いた尊大な商売であるとしか思えない。それともこうした仮想 CD ソフトを使うのは、デスクトップパソコンユーザだけだ、とでも考えたのであろうか。あるいはノートパソコンユーザはサスペンドを使わないとでも考えたのであろうか。これはβ版であるから、いつリリースされるのかわからない正式版で改善される可能性を期待するしかなかろう。

 もう一つの問題は、日立ディジタル平凡社から出ているマルチメディア百科辞典「マイペディア99」である。このソフトウェアの最新版は「マイペディア for Win」という内容で毎年のように新しい版が発売されている。私の持っているのは最新から一つ前のバージョンである「マイペディア99」だが、これが Windows2000 だと検索結果リスト画面が文字化けすることがあるのだ。同社の Web ページによれば、「マイペディア for Win」には対応する修正プログラム(「マイペディア for Win」でも同じ問題が発生するようだ)が公開されているが、「マイペディア99」のそれはない。サポート窓口にメールを出して確認して見ると、確かにそうした障害はあるが対応予定は無い、新しい「マイペディア for WIN」を購入して欲しいというものであった。

 これも随分人を馬鹿にした話しで、年鑑の類ならともかく百科辞典ソフトウェアなんてそうそう買いかえるものではない。機能や内容が大幅に拡張されたのならともかくも、たいして変わり栄えしないのに、そうそう買い換えようとは思わない。いつまでも旧版をサポートしろとは言わないが、せめて一つ前の版くらいはなんとかしてほしいと思う。開発側としては二つの版を修正すると修正やテスト工数がほぼ倍になるのは、ソフト屋として私も理解できるし、そこに貴重な人手をかけるなら、バージョンアップと称して安くで新しい版を提供したほうが楽だというのも理解できる。だが、しかし、こうした切り捨て的なやり方にはユーザはついてゆかないのではないか。仮にここで新版にバージョンアップしたとしても、また同じ事が新版に関して起こるであろう事は容易に推測できる。どこまでさかのぼって対応するかは難しいところだが、毎年出しているようなソフトウェアではせめて一つ前、できれば二つ前くらいまではさかのぼって対応して頂きたい。

 こんな風に、OS、ハードウェアにはほとんど問題は無いが、常用アプリの中に思わぬ落とし穴があった。結局「CD革命/Virtual」のほうは使わないで、ネットワーク共有機能を使って自己共有してごまかしているし、文字化けする「マイペディア99」のほうは、デスクトップの Windows 98 で使用することにした。サポートのわるい「マイペディア」シリーズはもう金輪際やめて、他の百科辞典をあたってみることにしよう。こうした小さな問題はあるが、CF-M32 で Windows 2000 Professional は、Windows 98 よりかなり快適に、非常に安定して動いており、大変満足している。


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