どうも「自作」PCという言葉が定着しているようだが、個人的にはこの「自作」には甚だ疑問を感じている。私の技術的経歴から言えば、小型のコンピュータ(マイクロプロセッサ)とつきあい初めて二十年以上が経過しており、始めた頃はパーソナルコンピュータなんて言葉すらなかった。インテル社が8ビットマイクロプロセッサi8080を世に送り出した頃にこの世界に足をつっこんだ。
当然、完成品のパーソンルコンピュータなんて夢のまた夢、鉄腕アトムの世界であったが、自分でバス設計から始まりCPUカードや各種I/O回路などのロジック回路、電源ユニットなどを設計して、プリント基板をデザインして自分の手で制作し、半田付けをして、テスト&修正をしてようやくプログラムが実行可能な8ビットのマシンを作り上げてきた。
こうした制作の段階では、各種電圧や電流、ロジック回路のタイミングやディレイなどすべてをLSIやICのスペックチャートから計算してそれぞれのマージン内に収まるように設計してきたから、動かない場合があっても、それらを理論的に突き止めるのはさほど難しい話ではなかった。もちろんそれなりの道具は必要であったが、それらの道具も時には工夫して自分で作り上げた。
私の辞書では「自作」とはこういうことを言うのであり、今の「自作」PCのように、単なる組立(アセンブル)とはほど遠いものであった。当時の自作と今の自作の最大の違いは何かというと、できあがったもののの性能は、砂場の砂山とエベレストほどの違いがあるにせよ、それぞれのパーツを組み合わの合理性については、デジタル回路の理論をもとに自分できちんと論理的に説明可能なものであった。
しかし、今の「自作」はそうではない。個々のパーツは明確かつ単純な物理的特性をもった比較的シンプルなLSIやICではなく、大規模で恐ろしく複雑なマザーボード、CPU、3Dビデオカードだったりして、個々のパーツを組み合わせてきちんと動くかどうかというのは、時に「相性」とかいうへんてこりんなもので表現されている。これがアマチュア対象の雑誌や素人の間で使われるならともかく、その道のプロですら「相性」という曖昧な言葉で片づけてしまわざるを得ないのが現状だ。個々のパーツの機能が複雑になるにつれ、複雑な物同士の組み合わせはそう簡単に白黒はつかなくなってくるのは物の道理だ。
こういう事情はわかってはいるが、相性といったかなり曖昧で根拠のないものを尺度として組み合わせてゆくとは、私の経験からは「自作」とは言いたくない。合うか合わないか正確にはわからないようなものをトライ&エラーで組み合わせるだけなのは、「自分で作る」のではなく「自分で組み合わせている」だけだ。私に言わせれば「自作」というのは自分で創造することなのだ。すでに創造されたものを単純にドライバ一本で組み合わせるのは作るのではない。組立にもノウハウが必要かもしれないが、さきのような経験をしている私からみれば、そんな程度のものはノウハウの「ノ」の字にも満たない当たり前の事柄ばかりである。
ではどういう言葉が適当か。日本語で言えばおそらく「組立PC」であり、PCを「組み立てる」のである。英語で言えば "assemble" か、それよりさらに簡単なニュアンスを持った "set up" であろう。だから、したがってこの稿ではPCの自作ではなく、PCの組立とよばせていただく。
この二つのどちらがよいか。まず第一に使い手の持つPCについての知識レベルによるといってよい。ソフトウェアのプロであってもハードウェアについて全く知識がない、どれがCPUかもわからない、精密な電子機器を搭載した基板の扱い方を知らないような人はやめた方がよい。まず、いろいろな書籍や雑誌でPCを組み立てることの基礎知識をつけるのが先である。
次に組立PCにチャレンジするためには予算に余裕がなくてはいけない。さきに書いたように「相性」というものが存在するのは事実なので、事前にこの相性についてWebサイトや@niftyのフォーラム(@nifty会員のみ利用できる)で情報収集するのは当然である。この情報も、世の常としてうまくいったという情報は非常に少ないが、失敗したとか相性がわるくてうまく動作しないという情報は多い。このうまく動作しない原因はさまざまだと思うが、うまく動作しないという事例が多く見られる組み合わせは当然避けた方がよい。それでも、実際にやってみるとうまく行かない例というのは必ずあり得るから、そういうときにパーツを買いかられるだけの予備資力が必要なのである。懇意にしているパーツショップならともかく、普通は「相性」問題を原因としては商品交換には応じてくれないからだ。相性の悪いものは見捨てて、新しい別の物を買うことになるから、予備資力が必要なのだ。財布がぎりぎりではここで挫折することになる。
そして、大切なのは周囲に相談できる先輩(年齢の問題ではなく知識と経験の問題)がいることだ。これは不可能な場合もあるが、少なくとも購入時にある程度意見をくれたり相談に乗ってもらえる人がほしい。これがあるとないとで、無駄遣いが相当違うし、組立にあたって壊してしまい(静電気に非常に弱いCPUやメモリなどはそれなりの扱い方がある)無駄な出費を強いられる可能性も少なくなる。
何より「自分で組み立てる」ことの楽しみとうまくゆかないが故の苦労を味わいたいならば、「組立PC」であろうし、そんなしちめんどうなことは御であり、パソコンはかってすぐに道具としてそこそこ使えればそれでいい、というなら文句無く完成品である。
ただし両者の相違はこれだけではない。アップグレードや拡張性については雲泥の差があるといってよい。メーカー製の完成品はいわばワンボックス型のラジカセかそれに近いコンポのオーディオセットであり、MDだけをアップグレードしたし、チューナーだけを取り替えたりするのはかなり難しいし、外部にいろいろな機器をつなぐにしてもかなり制約があるが、バラコンポだとかなり自由になる。これと同じことがパソコンにもいえる。
だいたい、パソコンってものは使って行くうちに年月がたち性能に不満が出てくる物だ。このとき、組立PCならばマザーボードとCPUを取り替えるだけで、かなり高性能にアップグレードできる場合が多いが、メーカー製だと買い換えを余儀なくされることが多い。とくにいつも新しいソフトを入れたがる人なんてのは、すぐに性能限界が来てしまうから、そういう人には組立PCのほうが良い。また、一度組立PCを手にすると、次のステップというかアップグレードの費用はメーカー製PCを買い換えることに比べたら、そうとう安くつくのは確かだ。
筆者は昨年夏前までは、(本来の意味の)自作を離れて以来ずーっとノートパソコンだけで通していた。ゲームも通信もインターネットも何から何までノートでやろうとしてきた。だから、最低一年に一台30万円ほどの出費は余儀なくされたし、ノート特有の周辺機器に至ってはかなりの投資をして、本体と合わせれば普通乗用車が軽く購入できる以上の投資をしてきた。
しかし、そもそもノートPCだけですべてをこなすのが大きな間違いなのある。ハイスペックを余儀なくされる類のゲームを、性能に限界のあるノートでやるのがアホで間抜けなのだ、とわかった。コンピュータというものをよくご存じ無い方は、パソコンの性能はCPUの周波数で決まると思っている方がほとんどだと思うが大きな間違いである。
もちろんCPUの駆動周波数は高いほど速いに決まっているが、CPUだけ速くてもメモリやハードディスクが遅ければ話にならない。ノートの場合、CPUと周辺をつなぐバスの速度はデスクトップでは当たり前になった速度の半分程度だし、ディスクに至ってはこれまたデスクトップでは当たり前になった7200rpmの半分近い4200〜4400rpmといったものだ。さらにグラフィックスに至ってはかなり性能が低い。こうした速度をあげるほど消費電力が増加し、バッテリー駆動時間が著しく減るし、発熱処理も問題になるので速度をほどほどのところで犠牲にしているのである。
メーカー公表値でバッテリー駆動時間が二時間というものは、実使用環境においては一時間も持てば御の字だと思えばよい。この数字は経験的に話し半分とか三分の一くらいに考えておいたほうが妥当な値が認識できる。私に言わせれば、いくら高性能でもお四十分しかもたないようなノートは価値がない。出先でバッテリーがなくなればただのプラスチックとシリコンと金属の塊にすぎなくなり荷物になるだけだ。外出時、屋外で使いたいときにきちんとつかえてこそノートの意味がある。そういう意味で今のノートパソコンはモバイルには不向きである。
さほどパワーを重視しない一般オフィス業務において省スペース・省電力的な意味で利用するのは確かに効果があるだろう。一般家庭においてもE-MailやWebサイトの閲覧程度であれば、場所をとらなくてもいいかもしれない。しかし、一般家庭の利用で、一台目のパソコンとして使うとなると、やはりオールインワンタイプのものにならざるをえないか、もう少しコンパクトなB5サイズモデルでも専用CD-ROMやらなにやら多数のオプション機器が必要になり、経験からいってもかなり高額の投資になる。一台目のノートパソコンへの投資と同額の投資で、ノートパソコンの二倍くらいの性能のハイエンドなデスクトップPCが買えてしまい、ノートパソコンでは青息吐息の3D系ゲームも軽々とこなせるようなマシンが買えてしまう。ハードディスクにしてもノートパソコンの最低でも二倍の容量はある。
同じように室内でほとんど据え置きで使うなら、はっきりいってノートパソコンの意味はほとんどない。それよりは後からアップグレードの容易な組立PCや、組立に自身がなければショップで組み立てて動作確認済みのショップブランドPCのほうが遙かに投資効率がよい。ノートパソコンは性能に不満が出たら、また二十万円、三十万円を出して投資するしかない。メーカー製のコンパクトサイズPCもノートと同じでつぶしがきかないので、性能に不満が出たら二十万円、三十万円を投資するしかない。
しかし、組立PCや多くのショップブランドPCでは、ハードディスク容量が足りなければ増設すればいいし、それでも足りなければ大容量のものに交換すればよい。今は30GBで7200rpmのドライブが一万五千円未満で入手できる。パワーに不満が出れば、CPUあるいはCPUとマザーボードを買い換えればよい。最新のマザーボードでも一万円台半ば〜二万円未満だし、CPUもPentium3の866MHzあたりで二万数千円である。ノートパソコンやコンパクトデスクトップパソコンを買い換える費用の十分の一ですむ。
メーカーがノートパソコンやコンパクトパソコンを格好よく仕上げて購買欲をそそる理由は簡単だ。値段が安くなって利幅が薄いミッドタワーサイズのパソコンよりは、売価をある程度高価な線に押さえることができて、なおかつ部分的なアップグレードができないから、不満になったら買い換えを余儀なくされるこうしたパソコンのほうが売り上げ・利益への貢献度が高いからである。消費者としては何もそんなメーカーの戦略にのる必要はさらさらない。毎年数十万円をパソコンに投資しても、家計は痛くも痒くもないようなお金持ちならいいが、大抵のサラリーマン家庭は一度パソコンを買ったらそうそう買い換えはできないものだ。買い換えはできなくてもソフトはどんどん新しい物ができてきて、ハイワパーなパソコンがほしくなるのが世の常だから、そういうときに最小限の出費ですむようにしたほうが賢い。
どうしてもノートパソコンが必要だと思うのは、公私を問わず外出先でメールを処理したり、Webを見る必要があったり、ちょっとWordやExcelで資料をまとめたり、PowerPointでプレゼンテーションしたりすることが不可欠な場合だろう。こういうニーズのある場合は、まず高性能なミッドタワーパソコンを組み立てるか、信頼できるショップのショップブランドで購入し、ノートパソコンのほうはCPU性能は低くてもバッテリーの長持ちする二世代くらい前のものを選んでも損はない。
実際、私が使っているノートPCは「Panasonic Let's note mmini (CF-M32J5)」というモデルで、CPUは何とMMX Pentium 166MHzだ。さすがにメモリは増設してあって96MB、ハードディスクも6.4GBに換装してあるが、これで十分であって何ら不自由は感じていない。普段の外出に持ち歩くには1kgのこのPCでも十分重すぎるくらいだから、バッテリー駆動時間が非常に長いWindowsCE搭載の「NEC Mobile Gear2 MC/R530」で、メールの処理はほとんどこれでやっている。これでは機能的に足りないとうときに前述のノートを持ち出すくらいだ。こんなふうに書くと、私はあまりモバイル派ではないようだが、そんなことはない。HP100LXの時代から9600bpsのポケットモデムを持ち歩いてNIFTY-SERVE(今は@nifty)に数少ないISDN公衆電話を使ってアクセスしていた人間だ。こうした経験の持ち主が、なんでもノートで解決するのは得策ではないといっているのだから、信じた方がよい。
筆者の二大モバイルパソコンは前述の「Let's note mini (CF-M32J5)」と「NEC Mobile Gear 2 (MC/R530)」だが、ではデスクトップはどうなっているか。
昨年夏にGatewayのGP7-450という、440BXベースのPentium3/450MHzでVideoはnVidiaのTNT2搭載のミッドタワーを購入した。メーカーではあるがIBMや富士通といった不要なものが山盛りのわりに拡張性がほとんどないPCではなく、BTOのモデルであり拡張性はほどほどにある。購入した当時は予算を考えるとかなりハイクラスのマシンであった。
そして昨年末に縁あってさるショップブランドのマシンが手に入った。当時としては、かなりハイクラスのマシンで、マザーボードにはIntel 820チップセットを採用しMTHを使ってSD-RAMを使えるようにしたIntel CC820、グラフィックスはGeForce256、CPUはPentium3の733MHzでFSBは133MHzだった。
しばらくは、このマシンを快調に使っていたが、CPU負荷が非常に高くなる3Dのゲームをするとすぐに落ちてリセットがかかってしまった。もう一台のGatewayではそういうことにはならないので、これはGeForceのドライバに問題があるのかしら、とか考えていたところへ、IntelのMTH(Memory Trasnfer Hub)問題があきらかになった。負荷が高くなったときにリセットがかかるというまさにそのものである。Intelから一般向けの対応が具体的に発表されてすぐに、Intel Japanに直接コンタクトをとった。
そして、しばらくたってIntel Japanから直接私個人宛に電話がかかってきて、エンジニアを派遣して、マザーボードをMTH搭載のCC820から128MB-RDRAMをつけたVC820(やはりC820チップセットだが、MTHは使っていないのでメモりはRD-RAMのみ対応)に交換作業をするから希望日程を知らせてほしいという。メーカーPCなどはメーカー対応になるが、私の場合は訳あってインテル直接の扱いになったのだ。実際に我が家にやってきたのはIntelから委託をうけた富士通関連のサポート会社のエンジニア氏であった。
その後快調につかっていたのであるが、VC820(i820)を128MB程度のメモリでWindows2000を使うと遅いのである。仕事では128MBでWindows2000でいろいろ検証したりすることもあるがOSだけならさほど遅くはない(アプリを動かすと128MBではかなり厳しい)が、このVC820君はC:とかD:とかのドライブをExplorerで開くのに二秒程度待たされるのである。BIOSの問題なのか、i820チップセットのドライバ(Infファイル)の問題なのか、とにかくこれは気に入らない。気に入らないけれど、しばらくはこれで使っていた。
しかし、一月ほど前についに他のマザーを買ってしまった。ASUSのP3V4XというSlot1対応のVIA社のApollo Pro 133Aというチップセット搭載のものだ。Intelの820がMTH issueでこの世から姿を消してから一躍注目の的になったチップセットだ。MTH issueのあと、IntelのSD-RAM対応の持ち球としては810という、外部AGP非対応で低性能なグラフィックスコントローラー内蔵のチップセットしかなく、SD-RAMで外部AGPが使えてPC133のチップセットはこれしかなかった。世間はすでにSlot1ではなく、Socket370に回帰していたが手持ちのCPUがSlot1だからこれをいかすべく、店頭からかなり姿を消したP3V4Xを探し当て購入した。
P3V4Xはかなり良くできたマザーだと思うが、どういうわけか我が家ではWindows2000で問題が一つ存在していた。Windows2000のセットアップの中でファイルコピーが終わって、セットアップパラメータを入れるためにリブートがかかるところがあるが、このリブートのとき二分間黙りをきめこむのである。さらにインストール完了直後、環境構築直後ですらリブートの時には、Windows2000ロゴの画面で二分間黙りをきめこむ。BIOSは公開の最新だし、VIA関係のドライバも最新、Windows2000はSP1でこのありさま。もっともインストール直後のまだドライバもろくに入っていない段階でも状況は同じだった。
これはつないでるハードの問題かと思って、すべてのPCIカードとセカンダリIDEのケーブル、FDDケーブル、USBなどメモリとHD以外は全部はずして再セットアップしたが同じ。GeForceの問題かと思ってMillenium G200を借りてきて試したがやはり同じ。電源ユニットを変えても同じ。ということは残るはHDDか、メモリか、BIOSそのものとWindows2000の問題ということになる。Webや@niftyの関連フォーラムでもそんな話は探し出せなかった。唯一全く同じ症状が他のマザーで起こっていたのだが、有効な対策はでていなかった。メモリの不具合であれば、Windows98でも不具合が発生しそうだし、なによりWindows2000でも原因不明の不思議なトラブルが起こってしかるべきだが、この二分間以外は全く問題がない。
スタンバイや休止からのレジュームでは問題がない(正確には休止からの回復時にフリーズしてしまうというトラブルがあるが、これはWindows2000側がVIAのチップセットに十分対応できていないからであり、Microsoft社のWebサイトからQFE[バグフィックスモジュール]がダウンロードできるから、それを適用すれば問題なくなる)ので、ハードウェア認識のフレーズでの何らかの問題でタイムアウトを待っているのだと思うが、とにかくあまり気持ちのよいものではない。ということで、Intel純正チップにも興味があるのでi815/i815Eという820のSD-RAM対応がMTH issueでこけた穴をうめるためにでたチップセット搭載マザーに興味を持った。i815/i815Eはi810の後継で、不評だった外部AGP対応を加えたものだ。特にi815Eはi810にくらべてかなり進歩している。PC133メモリのサポート、外付けAGP対応(4x)、UltraATA100対応、USBコントローラを2つ内蔵等々だ。
CPUのほうも、ちょっと目を離している隙に、いつのまにやらSlot1が寂れてSocket370が主流になってきており、新しいマザーのほとんどはIntel CPUではSocket370対応になっている。それではこちらもその流れに乗ろうというわけで、Socket370対応で、i815E搭載のマザーで手ごろなものを探し始めた。先に買ったのはASUSだから、今度はAOPENかABITにしようかしらん、と考えていたところに目に付いたのが雑誌の新製品記事でABITのSA6Rというやつ。HPT370 IDE RAIDコントローラー(RAID0/1/0+1)をオンボードで搭載し、i815Eの制御する通常のIDEの2チャンネル以外に、HPT370のRAIDの効くIDEの2チャンネル、合計4チャンネル、8デバイス分を搭載しているというものだ。メモリの最大容量はi815Eの仕様で512MBというのが難点だが、まあ、仕方あるまい。とりあえず、今のWindows2000 Professionalを使う分には十分だ。結局、SA6RとPentium3(866MHz,Socket370,FSB133MHz)を購入した。
リテール版のSocket370についているCPUファンってどうしてこう取り付けにくいのだろうか。何か手ごろな器具がないものかと思う。手で装着できるようなやわなものではないので、どうしても何か道具を使わないといけない。かといって、堅いものを使うと滑ったときにマザーボードのプリント配線に傷を付けるし衝撃で多層基板のスルーホール部分が破損する可能性も高い。いろいろ考えたあげく、滑らないようにファンの間から先の柔らかな耳掻きのフワフワ側を金具にあててグイと押し込んでようやく装着した。CPUの装着に関してはリテール版のSlot1が一番簡単であると実感。
さて、このABIT SA6Rというマザーだが、今現在RAIDはまだ使っていない。今はオンボードRAIDコントローラーのHPT370のチャネルではなく、i815EのIDEを使っている。私はベンチマークなどには興味はないので、数値的な値はどうでもいいのだが(実際、ベンチマークの数値に喜んだり悔しがったり、さらにその数値を上げるのに異常な努力を払う輩がいるが、私からみれば彼らはかなり異常な種族だと断言する)、結論から言うと一カ所をのぞいて快調である。もちろん全部のポートやスロットにありとあらゆるデバイスを乗せたわけではないし、癖の強いマルチメディア系のカード(サラウンド対応のサウンドカードとか、TVチューナーカードとか、DVDのハードウェアデコーダーとかキャプチャーカードとか)を乗せたわけではなく、せいぜいTEACのCD-RWドライブとUSBスキャナとLANカードとモデムがついているくらいだから素直に動かないほうがどうかしているのだが.....。
その一カ所とはWindows2000のUltra ATAのドライバである。マザーについていたCDからi815/i815E用のinfファイル、オーディオドライバ、Ultra ATAのドライバをインストールすると、スタンバイおよび休止から復帰後十数秒でCD-ROMとHDのアクセスランプが点灯したままフリーズするのである。いろいろ調べてみる途中で、http://www.prolib.com/ (Professional Library)のBBSで、i815のチップセットのあるマザーで、音楽CDだけがだめだがIntelのUltra ATAドライバを削除しWindows2000のオリジナルドライバで認識させたらうまくいったという話をみつけた。音楽CDの問題は当方では発生しなかったが、試しに同じことをやってみたら当方の問題は見事に解決した。一応Intel (http://www.intel.com/)から最新のinfファイルとUltra ATAドライバをダウンロードして試してみたが状況は同じだった。HDBECHでインテルのドライバとWindows2000のドライバでHDアクセスを比べてみたが差は無かったので、Windows2000のドライバを使うことにした。
i815Eというチップセットだが、メモリ周りに制限が大きいのはやや問題だ。Single sideやdouble sideのDIMMの組み合わせにより実装枚数に制限があり、さらに全体でも512MBという制限がある。すなわち実装するメモリによっては、スロット4枚がマザーにあってもお、512MBに満たない容量であっても全スロットをつけるとは限らないのである。このあたりは、Intelのchip setのスペックとマザーボードのスペックなどを詳細に確認したほうがよい。そうでないと手持ちメモリが生かせない場合がでてくるので要注意だ。
CPUとマザーボードを変えるにあたって、GHz駆動のものという選択肢もあったわけであるが、GHz駆動になるとCPUからの廃熱が問題になる。すなわちCPUの熱処理がちょっとばかりやっかいになるし、何より価格がそれなりに高くなるから、安定度と熱処理のしやすさと価格のバランスからFC-PGA(Socket370)の866MHzにした。ちなみに850MHzとは少ししか違わないがFSBが866MHzは133MHz、850MHzは100MHzとかなり違うので要注意。
とにかう一連の作業で手持ちパーツがだいぶん増えてしまった。マザーボード二枚(Intel VC820とASUS P3V4X)、CPU (Intel Pentium3 733MHz[Slot1])、サウンドカード、電源ユニット、LANカードである。あとはメモリ、ハードディスク、グラフィックカード、ケースがあれば一台できてしまう。ハードディスクは今のものをRAIDにするために新たに二つ同じ物を買うつもりだから、そうしたら今使っている20GBを新たな一台にまわせるし、グラフィックスもかなり安くなっているGe Force2 MXにとりかえて浮いたGe Force256をGGatewayに入れると、Gatewayに入っていたTNT2が余る。そして今のCDをDVDに取り替えればCDが余る。あとはメモリとFDドライブとケースくらいだろう。
かくして組立PCはアップグレードしてゆくと、あまりパーツでそこそこの性能のPCが一台できあがることになる....。最大の問題はなんといっても置き場所であろう。
現在は、ABITのSA6RでIBMのDLTA-307030を二本使って、IDEのRAID0(ストライピング)を組んでいる。IDEのRAID機能はディスクとの相性があるようなので、事前情報収集が不可欠だが、私もWebをあさって情報を集め、HPT370ではこのドライブで問題ないことを知って購入した。結果は上々で、とても快適で、Windows2000の起動が爆速になった。オーバーヘッドがあるので単純に倍にはならないが、同条件での測定でも五割〜七割増しにはなっているようだ。
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