2種類のOneDrive

2種類のOneDrive

OneDriveにせよ、Google Driveにせよ便利は便利、超がつくくらい便利です。しかし、よく考えなければいけないのは、物事には必ず裏と表がある。綺麗な薔薇には棘があります。OneDriveに限った話ではないですが、利用するにあたり約款や規約をよく読まねばなりません。ま、ほとんどの人は読まずにサインアップしていると思いますが、実はとても怖かったりします。

さて、OneDriveには2種類あるのはご存知でしょうか?一般消費者向けのOneDriveと組織向けのOneDrive for Businessです。


消費者向けOneDrive

Microsoftが提供している有名なのがOneDrive(消費者向け)です。

  • 無料で5GBまで
  • 249円/月で50GBまで
  • 1,274円/月のOffice 365 Soloにすると1TBまで

注意すべきはMicrosoftサービス規約。これはマイクロソフト製品の消費者向けの製品についてのサービス規約で、「お客様のコンテンツ」のところをよく読む必要があります。

お客様は、マイクロソフトに対し、本サービスをお客様および他のユーザーに提供するため、お客様および本サービスを保護するため、ならびにマイクロソフトの製品およびサービスを改善するために必要な範囲で、お客様のコンテンツを使用する (たとえば、本サービス上のお客様のコンテンツを複製する、保持する、送信する、再フォーマットする、表示する、コミュニケーション ツールを介して頒布するなど) ための世界全域における知的財産のライセンスを無償で許諾するものとします。お客様が、オンラインで広範に制限なく利用できる本サービスの領域にお客様のコンテンツを公開する場合、お客様のコンテンツは本サービスを宣伝するためのデモまたはマテリアルに表示されることがあります。本サービスには、広告収入によって支えられている部分があります。マイクロソフトによる広告のパーソナライズは、Microsoft アカウント管理 Web サイトの「セキュリティとプライバシー」ページで制御することができます。マイクロソフトでは、電子メール、チャット、ビデオ通話、もしくはボイス メールでのお客様の発言、またはお客様の文書、写真その他の個人ファイルを、お客様に対する広告のターゲッティングに使用することはありません。マイクロソフトの広告方針は、プライバシーに関する声明に規定するとおりとします。

よく読んでください。つまり「お客様が、オンラインで広範に制限なく利用できる本サービスの領域にお客様のコンテンツを公開する場合、お客様のコンテンツは本サービスを宣伝するためのデモまたはマテリアルに表示されることがあります。」ということで、無制限で公開したコンテンツは、Microsoftは宣伝等に利用することがありますよ!ということ。

オンラインストレージは、何らかの形で提供側が検閲している可能性がありますが、OneDriveもMicrosoftサービス規約を読むと書かれています。読むべきは倫理規程のところ。

本規約に同意することにより、お客様は、本サービスを使用するときに以下の規則に従うことに同意するものとします。

i. 何であれ違法な行為をしてはなりません。
ii. 子どもを搾取し、子どもに危害を加え、または子どもを脅すような行為に関与してはなりません。
iii. スパムを送信してはなりません。スパムとは、不要なまたは未承諾の一括電子メール、投稿、コンタクトの申請、SMS (テキスト メッセージ) またはインスタント メッセージです。
iv. 不適切なコンテンツまたはマテリアル (たとえば、裸、残虐なもの、わいせつなもの、下品な言葉、露骨な暴力や犯罪行為に関するもの)、または地域の法令を遵守していないお客様のコンテンツまたはマテリアルを、公然と表示したり、本サービスを使用して共有してはなりません。

〜中略〜

viii. 他のユーザーの権利を侵害してはなりません (著作権で保護された音楽その他の著作権で保護されたマテリアルを許可なく共有する、Bing マップや写真を再販売その他の方法で頒布するなど)。
ix. 他のユーザーのプライバシーまたはデータ保護の権利を侵害する行為に関与してはなりません。
x. 他のユーザーによるこれらの規則違反に力を貸してはなりません。

まあ、これは常識的に考えればわかりますわな。ただ、注意してほしいのは、スマホで子供の入浴姿をとったりしたのが、まったく意図せずOneDriveにアップされてしまい、この規約に抵触すること。この手のものは当然人間ではなく自動チェックですので、気づいたらアカウント停止とかもありえない話ではないです。

では、抵触するとどうなるか?

強制執行お客様が本規約に違反した場合、マイクロソフトは独自の裁量によりお客様に対する本サービスの提供を停止したり、お客様の Microsoft アカウントを停止することがあります。また、マイクロソフトは、本規約を強制するための取り組みの一環として、本サービスからの通信または本サービスへの通信 (電子メール、ファイル共有、インスタント メッセージなど) をブロックすることもでき、さらに、理由の有無を問わず、お客様のコンテンツを削除し、または公開を拒否することができます。申し立てられた本規約の違反について調査する場合、マイクロソフトは問題を解決するためにお客様のコンテンツを審査する権利を留保し、お客様は当該審査を許可するものとします。ただし、マイクロソフトは本サービス全体を監視することはできず、これを試みることもありません。

通して考えると、「コンテンツの内容は常に監視して検閲しています」ということです。わかりますか?

組織向けのOneDrive for Business

個人的にオススメしたいのはOffice 365 Business (OneDrive for Businessを含んでいます)です。組織向けとはいえ個人でも契約できます。

  • 900円/月の「Office 365 Business」で、1TBまでのOneDrive for Businessと最新のOfficeアプリ(Outlook/Word/Excel/PowerPoint/OneNote/Accessを一人5台のPC/Macまでインストールできる)が使えます。
  • 1,360円/月の「Office 365 Business Premium」では「Office 365 Business」に加えてExchange/SharePoint/Skype for Business/Microsoft Teams/Yammerが使えます。

他にもBusiness Essentialsというのがありますがこちらは省略。

オススメは900円のプランです。

契約時/契約後に読める利用規約を見ると、禁止事項は概ね消費者向けと同じようなものです(当たり前)ですが、それらについてはあなた(利用者)が全ての責任をもちなさいと明記されています。検閲に類する事項は書かれていません。ただし、違法なサービス利用に関しては、利用権を停止するなどの権利は留保していますがこれは当然です。

検閲はしないけど、児童ポルノなどを故意か否かはを問わずUPした法的責任はMicrosoftは一切追わないよ、検閲もしませんからね。あなたが責任をもつのよということ。

消費者向けのOneDriveと組織向けのOneDrive for Businessではアプリの対応も違い互換性はありません。多くのアプリでは消費者向けのOneDriveとリンク可能だったりしますが、ほぼ例外なくOneDrive for Businessには対応してないので、その分不便ですが予期せぬ事故で情報が漏れたりする可能性も激減します。

また、Office 365 Businessの管理コンソールで、ユーザー(自分自身や家族)が勝手にゲストにアクセスをさせるようなことを阻止する(ユーザーが勝手にゲストユーザーにアクセス権を与えられなくする)こともできます。これは普通のユーザー画面では解除できず、管理コンソールでしかできないので、自分自身がうっかり共有してしまうことを防げます。



【広告】

消費者向けと組織向けの違い

世間にはいろいろな情報がとびかっていますが、Microsoftが出している公式な消費者向けと組織向けの違いはこれです。

【2017年版】一般消費者向けクラウドと組織向けクラウドの本質的な違い【10/21 更新】

少々長いですがよく読むことを強くオススメします。

特にはっきりと「ユーザーは自分の個人情報やデータを切り売りすることで無償の一般消費者向けクラウドを利用している」という部分は当然の内容なのですが、普通の人はそんなことはないだろうとタカをくくっている部分です。この時代、タダで物やサービスを利用できるはずがありません。必ず対価が伴います。

どちらがよいか?

コストパフォーマンスと検閲などの心配からすると問題なくOffice 365 Businessです。難点は他のアプリとのリンクがほとんどできないことですが、逆に見知らぬアプリに勝手にアクセスされてダダ漏れになってしまうことは防げます。

やはりOffice 365 Businessを個人で契約するのを強く推奨します。

それでも注意すべき点はあります。

  1. 災害等でデータが破壊される可能性はゼロではない(もちろん自宅のPCよりはるかに安全度は高いことは間違いない)。OneDriveの場合は東京と大阪にデータセンターがあるそうですが、南海トラフと首都圏直下型が同時発生すると絶望的になる可能性はあります。それでも、自宅よりはるかにリスクは小さい。少なくともPCの故障でデータが飛ぶというリスクはほとんどないと言って良い。
  2. 不適切なコンテンツ(利用規約にあるようなもの)を入れてしまうと、削除やアカウント停止の可能性があるが、なによりコンテンツについての法的責任は自分にある。他人に違法なものを預けてはいけない。オンラインストレージは他人の家に自分の財産を置くのに近いと思えば良い。
  3. 消費者向けのOneDriveには検閲がある。原則として組織用のOneDrive for Businessにはそれはないようだ。
  4. 世の中に100%安全なデータ保管場所は存在しない。「絶対」は世の中に存在しないが「100%安全な場所は絶対にない」という「絶対」は例外である。
  5. データのバックアップはオンラインストレージに頼らず、ローカルに信頼のおけるNASを複数台接続してそちらにもおく方が良い。

いろいろ、ありますが、気をつけて使えばこんな便利なものはありませんよ。



【広告】

PC・Mac・インターネット情報カテゴリの最新記事