多彩なコーデック対応と高性能ANCを備えた完全ワイヤレスイヤホン「SOUNDPEATS Air5 Pro」の2ヶ月間使用レビュー。バッテリー持続時間の実測データと音質を最大化する設定方法を詳しく解説します。
SOUNDPEATS Air5 Proとは?
概要
2025年3月21日に発売された完全ワイヤレスイヤホンで、以下のような特徴を持っています。
- 多彩なコーデックに対応:aptX Lossless、aptX Adaptive、LDAC、AAC、SBC
- AI適応型ノイズキャンセリング(ANC):最大55dBのノイズ低減効果
- マルチポイント接続機能搭載(ただしLDACコーデック使用時は利用不可)
- QualcommのQCC3091チップ採用

主な仕様は以下の通りです。
- Bluetooth:5.4
- 対応プロファイル:HSP、HFP、A2DP、AVRCP
- 対応コーデック:aptX Lossless、aptX Adaptive、LDAC、AAC、SBC
- 通信範囲:10m
- ケース寸法:66.88 × 48.33 × 26.92 mm
- ケース重量:50.3g(イヤホン込み)
- イヤホン重量:4.8g(片耳)
- 防水規格:IPX5
- バッテリー容量:520mAh(ケース) 35mAh*2(イヤホン)
- 最大再生時間:約7.5時間(イヤホン単体)、約35時間(ケース併用時)
- 急速充電:10分間の充電で約2時間の再生が可能
初回レビューは2025年4月3日に更新した以下の記事をご参照ください。
自腹レビュー:完全ワイヤレスイヤホン、なんでもありのSOUNDPEATS Air5 Pro
長所
2ヶ月間の継続使用による評価です。
- 耳に合うイヤーピースを装着すれば遮音性能が非常に高く、一部の低価格ノイズキャンセリングイヤホンよりも効果的に周囲の騒音を低減できます。
- 外音取り込み機能(パススルー)で聞こえる周囲の音が自然で、違和感が少ないのが特徴です。
- 専用のPeatsAudioアプリにより、タッチ操作のカスタマイズや完全無効化が可能です。
欠点
初回レビュー記事と一部重複する点もありますが、使用経験に基づく欠点を全て記載します。
- タッチ操作の応答音(確認音)が存在しないため、操作が受け付けられたか不明瞭で、何度もタップしてしまい予期せぬ動作を引き起こすことがあります。
- タッチ操作への反応速度が著しく遅く、これも誤操作の主要な原因となっています。
- 装着センサーが搭載されていないため、イヤホンを耳から外しても音楽や音声が自動停止しません。例えばSpotifyで音楽やポッドキャストを聴いている最中に会話のためイヤホンを外しても再生が続くため、再装着時に巻き戻す必要があります。
- バッテリー持続時間が公称値より著しく短い傾向があります。
- ANCオン/オフ間の音質差が顕著です。ANCオン時は低音と高音が豊かになりますが、オフにするとイコライザでも十分に補正できないほど音質が劣化します。
バッテリー持ちの検証
以下の条件で検証しました。
- iPhone 15 Pro Max
- 使用コーデック:AAC(iPhoneの仕様上、AACのみ対応)
- 再生コンテンツ:Netflixの映画(2時間)
- マルチポイント設定:デフォルト(ON)
- 検証前準備:Air5 Proをフル充電状態に設定
- ノイズキャンセリング(ANC)をONにした場合とOFFにした場合を同条件で測定
ANC設定 | 2時間使用後の消費率 | 推定総稼働時間 |
---|---|---|
OFF | 30%消費 | 約6.6時間 |
ON | 60%消費 | 約3.3時間 |
メーカーサポートによると「AACコーデックはバッテリー消費が少ない」とのことですが、Galaxy S24とペアリングして実際に測定してみるとapt-Xとはほとんど差が出ませんでした。
テスト結果のまとめ:
– AACコーデック・ANCオフ:約6.6時間駆動
– AACコーデック・ANCオン:約3.3時間駆動
– aptXコーデック・ANCオン:約3.3時間駆動(前回のテスト結果)
AACとaptXのコーデック間では測定上の差は見られませんでした。バッテリー駆動時間に最も大きな影響を与える要因はANCの使用有無であることが判明しました。
欠点をカバーする使い方
音質重視の使い方
ANCをオン設定で使用することをお勧めします。低音と高音が豊かになり、より臨場感のあるサウンドが楽しめます。ただし、バッテリーは1時間あたり約30%消費するため、充電ケースを携帯しない場合は約3時間でバッテリー切れとなる点に注意が必要です。
バッテリー持続時間重視の使い方
ANCをオフに設定して使用します。優れた物理的遮音性能があるため、ANCをオフにしても周囲の騒音はかなり抑えられます。ただし、音質面では高音と低音の表現力が低下し、イコライザーでも完全に補正できない点は妥協が必要です。
タッチに頼らない
タッチ操作は応答遅延と確認音の欠如により、誤動作が頻発する傾向があります。
最も推奨される対策は、PeatsAudioアプリから使う都度「タッチ操作を完全に無効化」することです。代わりにスマートフォン本体での操作か、お持ちであればスマートウォッチからの操作が確実です。
タッチ操作を無効化することで、イヤホンの再装着時に意図しない再生停止や曲送り、音量変更などのストレスから解放されます。実際の使用感は大幅に向上するため、積極的にお試しいただきたい設定です。