昨年(2000年)の11月末の話になるが、メインPCのマザーボードを 『ABIT SA6R』 というものに買い換えた。実はその十日ほど前にも一枚マザーを買っているので、そのあたりの話からはじめよう。
最初に使っていたマザーは 『Intel CC820』 という820チップセット使用でありながら、SDRAMが使えるというものでしたが、MTH問題がたたって全数リコールとなり、私もあるゲームを始めるといきなりリセットがかかることが多かったので、Intelに直接コンタクトをとって交換してもらったのが、 『VC820』 というものだ。
『VC820』 は、諸悪の根源であるMTHを使用してない。したがってSDRAMは使用不可で、本来の820チップセットの仕様どおり、RDRAMを使うもので、『CC820』 からの無償交換にあたり、Intelは 『VC820』 だけではすまなくて、128MBのRDRAM(当時は数万円もしたけど、今はPC700の128MB-RDRAMは一万円を切っている)
この 『VC820』 を何ヶ月か使っていたのだが、別段何の不満があるわけでもないが、あえていえば、どうしてもWake on LANをやりたくてマザーボードを交換してみる気になったのである。だが、CPUまで買い換えるのももったいないのでSlot1のPeintiumIII 733MHzがそのまま使えるものということで、選んだのが 『ASUS P3V4X』 である。
これまではIntel純正マザーだったが、P3V4Xは台湾ASUS社製のものだ。別に新しいマザーではないが、チップセットにApollo Pro133Aを使用したもので、EPSONダイレクトのEndevor Pro600Lがこのマザーを使っていて、大変好感を持っていたのでこれにしたのである。
Wake on LANについては、期待はずれでどうやらLANカードのドライバに原因があるらしいということがわかり、ここでもうきっぱりとWake on LANはあきらめてしまった。あきらめたのはいいが、Windows2000をこのマザーで使うときに問題があるのがわかった。
当時最新のBIOSを入れてあったのだが、Windows2000では二箇所で二分ほど完全に停止してしまうのである。まず一箇所はWindows2000のセットアップのときで、GUIセットアップに移行する時点でハングしたかのごとく二分ほど止まってしまう。最初は完璧にハングしたと思い(誰だって二分も止まればそう思うであろう)何度かやり直したが同じ。何かの拍子でしばらく離席していたら、続きが始まっていて驚いた次第だ。
二箇所目はWindows2000をインストールした後だ。普通に起動するとき、Windows2000ロゴが表示され、画面下部にブルーのゲージが進んで行くが、これが半分くらい進んだところで二分間とまるのである。これまたハングかと思ったが、先のことがあるのでしばらく放置したらきっちり二分後に再開した。
しばらくはこの原因を確かめるのがやっかいで、Micorosoft社のKnowledge Base (英語)を探したり、ASUSのサイトを見たりしたが情報はまったく無し。Web上も探したが類似情報は見当たらず。全てのPCIカードをはずし、ブート用のIDEハードディスク一基だけを接続し、他のFDやCDドライブのコネクションを全てはずしたけど同じ。ビデオカードとマザーの問題かと思って、まったく違うメーカー(チップ)のビデオカードを借りてきて、再インストールして試したけど同じ。しかし、Windows98SEではまったく問題なく動くし、Windows2000でも休止(ハイバネーション)からの再開では問題ない。
これで一週間くらい使っていたが、さすがに起動するたび二分も待たされるのは困る。これはいずれWindows98SE用のマザーにでもするとして、買い替えねばなるまいと財布を眺めていたところに、雑誌記事の 『ABIT SA6R』 の紹介記事を読んで「これだ!」と思い立った。
『ABIT SA6R』は、Intel 815Eチップセット搭載のSocket370対応マザーで、ユニークなのはi815Eによる通常のUltraATA100対応のIDE一組のほかに、High Point HPT370 UltraATA100対応RAIDコントローラーのマスター・スレーブを一組、合計四本のIDEをつんでいることだ。なかなか面白そうなマザーだが、いかんせん新しい製品なので、ユーザも少なくて人柱の覚悟が必要だ。それでも二分待つよりはかなりマシなので投資することにした。
だが、この投資はかなり高くつくのが難点だ。マザーボードだけではなく、CPUもSocket370になるので買い替えが必要だ。CPUはこれまでは733MHzだったが、財布の関係と熱処理を簡単にしたいことから素直にFSB133MHzの866MHzのCPUにした。そしてハードディスクはどうせならRAID0のストライピングにしたいので、IBMのDTLA-307030 (30GB)を二本買い求めた。単純に足し算すると、合計で約81,000円だから安くは無い。実際には、さらにPC133の256MB SDRAMを二枚買っているので、総合計では約126,000円ほどになる。
さて、この 『SA6R』 だが、Windows2000SP1、Windows98SEでまったく問題なし。ビデオカードはCreative GeForce256で、CD-R/RWはTEAC CD-R54W、サウンド機能は 『SA6R』 オンボードのものを使っている。RAID0の効果だが、サーバーPCにつかうRAID5ほどではないにせよ、その効果は抜群でオーバーヘッドがあるから単純二倍の速度にはならないけど、ハードディスクのアクセス速度は体感で最低でも五割から七割増しくらいになっており、Windows2000の再起動や大きなアプリの起動もメモリが大きいこともあって気にならない。
今までIDE RAIDなんて鼻でわらっていたのであるが、その効果の大きさにはびっくり仰天といっても嘘ではない。いくつかのBBSではベンチマークで一喜一憂があるようだが、ベンチマークというのは測定条件によってかなり変わって来る。最近のハードディスクはディスクの先頭(外周部)のデータ転送速度のほうが後ろ(内側)より速いから、たとえばC;ドライブでOSしか入れてない状態ではかるのと、ディスクをかなり沢山つかってしまっていて、後ろのほうでベンチを取るのとでは雲泥の差が出る。当然OSやファイルシステムでも差がでるから、単純に他人の数字と比較するのはおろかなことだ。
この構成にしてからの今のメインマシンには満足している。CPUの速度を上げても体感速度には限界があるが、ハードディスクのアクセス速度を上げると一目瞭然の効果がある。今の普通のディスクの速度よりもっと速いものを求めたい人にはオススメかもしれない。
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